第六の義指と多指症は何がどう違うのか

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Photo by San Fermin Pamplona - Navarra on Unsplash

事故の後遺症などで義肢を装着している人は、その過程で身体に馴染ませ自分の意思で動かせるようにしてきました。同様に、本来存在しない器官も人体に馴染むのかどうか、そんな実験が一昔前に実施されていました。

電気通信大学とフランス国立科学研究センターの合同研究グループは、小指の横に人工の指を装着して「第六の指」とする実験を行いました。以前の義指は他の身体部位と連動させる様式でしたが、今回は筋肉の動きと連動させることで完全独立を果たしています。

被験者らは屈伸しかできない義指をたった1時間装着するだけで、本来存在しない六本目の指が馴染んだと回答しました。更に、義指を外してもその感覚が残っているような動きも示されており、人体の拡張性を示唆する結果も出ています。研究に参加した教授の一人は「例えば人が羽を持った時、脳は制御できるのか。本来は持っていない体を、脳はどこまで柔軟に受け入れられるのか。脳の限界を知りたい」と振り返りました。

一方、手足の指に現れる先天奇形として「多指症」が存在します。歴史上では、豊臣秀吉の右手が六本指だったという逸話が最も有名ですね。どのように余分な指が出るのかは様々ですが、手指だと親指がもう一本ついてくる場合が多いそうで、秀吉もそれに該当します。また、骨はしっかり繋がっています。

現代の多指症はほとんどの場合、1歳時に手術で余分な指を切除します。切除後の予後も良好であることが多く、先天奇形の中では相対的に軽度であるといえるでしょう。また、ヒト以外の動物にも多指症はみられ、小説家ヘミングウェイの飼い猫がそうだったと伝えられています。ネコの場合は遺伝性があり、その飼い猫の子孫もまた半数が多指症です。ゆえに、多指症の猫を「ヘミングウェイの猫」と呼ぶこともあります。

参考サイト

体は機械で拡張できる!?「第6の指」独立に動かすことに成功
https://scienceportal.jst.go.jp

遥けき博愛の郷

遥けき博愛の郷

大学4年の時に就活うつとなり、紆余曲折を経て自閉症スペクトラムと診断される。書く話題のきっかけは大体Twitterというぐらいのツイ廃。最近の悩みはデレステのLv26譜面から詰まっていること。

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