知的障害者の新たな働き口は「タレント業界」か

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Photo by Yogendra Singh on Unsplash

知的障害者にとって最も深刻なのは、就職先がないことです。大半の大人は知的障害者に任せられる仕事をイメージできず、それがそのまま低い就労率へと繋がっています。知的障害者の雇用は、若い女性を使い捨てるブラック風俗でさえ“進んでいる”とされる程、極めてレベルの低い状況です。これが「親なき後」の生活不安にも直結していることは想像に難くないでしょう。

「無いなら作る」というのも一つの手です。それで実際に救われる人自体は少ないでしょうが、それほど一般職が難しいのだというメッセージにはなるでしょう。そうして作られた働き口の中に「タレント業界」があり、健常者のタレントと共演するなど本格的な仕事をこなしています。

障害者専門の芸能事務所や部署は幾らか存在し、そこで働く人々はこう訴えます。
「教えればいろいろなことができるようになる。何をするにしても、最初から『できない』と可能性を狭めないでほしい。やる気や使命感を持てば人は変われるのだから」
「彼らは『どう見られるか』を意識せずに演技ができる。独自の世界観を理解し、必要な点を配慮すれば『これこそがエンターテインメントだ』というすごい演技に繋がるのだ。芸能界はその人の魅力を売り物にする世界。障害という特性を生かすのが悪いこととは思わない」
「共演陣やスタッフへの分け隔てない姿勢が、現場全体で自然なコミュニケーションを生む。彼らの真剣な姿勢や成長する様子を見て、共演する役者たちが刺激を受ける相乗効果もある」

事務所側は「福祉や慈善でやっている訳ではない」として、起用の際にはしっかり出演料を求めます。しかし、企業や制作陣はそう思っておらず、「どう接したらいいか分からない」「『障害者ビジネスだ』などと批判を受けそう」として起用を躊躇っているようです。ゆえに所属タレントへ仕事が舞い込むことも少なく、芸能活動だけで生活できないのが現状です。事務所の意識や覚悟に社会が追い付いていません。

タレントやアーティストのような表面上キラキラしている世界というのは、よほどの上澄みでもなければ生活に四苦八苦する不安定な仕事です。そうした不安定な仕事が「働き口」として見られているのは、障害者から安定した選択肢が奪われていることの裏返しでもあります。一般職の人事担当者は、こうした事実と向き合い恥じて猛省せねばなりません。

知的障害者は軽度だと見た目で分からないことが多く、映像作品での起用となると身体障害者の方が圧倒的に“コスパの良い”存在であることは否めません。だからこそ、知的障害を持つタレントを起用出来ている企業や制作陣には、その辺の「甘ったれた大人たち」にはない決断力や行動力が備わっているともいえます。

参考サイト

知的障害があっても芸能人になれる?「挑戦できる場つくりたい」専門事務所が相次ぎ登場
https://news.yahoo.co.jp

遥けき博愛の郷

遥けき博愛の郷

大学4年の時に就活うつとなり、紆余曲折を経て自閉症スペクトラムと診断される。書く話題のきっかけは大体Twitterというぐらいのツイ廃。最近の悩みはデレステのLv26譜面から詰まっていること。

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