カサンドラ症候群とは?〜身近に起きる問題

発達障害

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カサンドラ症候群とは、主に発達障害(広汎性発達障害・ASD)のある方の配偶者や家族などが、障害のある方とうまくコミュニケーションがいかず、その葛藤から精神的および肉体的に苦痛を感じる症状を現す言葉です。DSM(精神障害者の診断と統計マニュアル)には表れない考え方です。カサンドラ症候群について病気と断定できないという問題に注意する必要があります。

カサンドラ症候群の由来とは?

カサンドラはギリシャ神話に登場するトロイの王女です。太陽神アポロンに愛された彼女は、アポロンから予知能力を授かります。しかし、その能力でアポロンに捨てられる未来を予知した彼女は、アポロンの告白を拒否したので、怒ったアポロンに「カサンドラの予言を誰も信じない」という呪いをかけられました。彼女は真実を知って伝えても、人々から決して信じてもらえなかったということが由来となっています。有名なホメロスのイリアスにも登場します。トロイの木馬の事も予言していましたが、誰も信じてもらえなかったのです。

カサンドラ症候群は診断基準に含まれておらず、まだまだ認知が低く自分自身で抱え込んでいる方も多いと思われます。パートナーと関係を持つ事で起こるので病名が付かないため、「状態」や「現象」と呼称するのが良いとされています。「カサンドラ症候群」とは、周囲の理解が得られずにパートナーが周りから孤立してしまう事を表したものです。2003年に名付けられた新しい病名です。初めて聞いた人も多いと思いますが、カサンドラ症候群を訴える人が増えているそうです。

カサンドラ症候群が生まれるメカニズム

カサンドラ症候群が生まれる背景には、パートナーや家族との「共感」が大きなキーワードになってきます。発達障害、特にASDのある方は共感性に乏しいと言われています。(全ての発達障害に当てはまるものではありませんので注意して下さい。)恋愛関係初期ならば、まだまだ「外部」の方なので遠慮があり、お互いに気を使いますが、付きあう時間が長くなると相手を「内部」として認識してしまうため、遠慮がお互いになくなってきます。そうすると、発達障害の方の場合、相手に対する「共感」が抜け落ちてしまう場合があります。しかし「共感」は長期的な関係を結ぶために無くてはならないものです。そこが抜けてしまうと、相手は精神的に追い詰められる事になります。相手だけでなくご自身も発達障害の場合、お互いがカサンドラ症候群になるケースもあるのです。

パートナーの二次障害

ASDの発現は男性に多いため、パートナーになる女性側にカサンドラ症候群の発生率が高いと言われています。ですが必ず女性だけがカサンドラ症候群になるとは限りません。家族や関わりがある人も、知らず知らずに追い詰められてしまうこともあるのです。鬱や罪悪感・疲労・不眠症・偏頭痛・体重の増減などの症状が自覚症状として出てきます。カサンドラ症候群にとって一番傷つく事は、周りに相談出来ないこと。また、勇気を持って相談したとしても自分の思いを周囲に理解してもらえない事です。的外れな共感、悪気のない励まし、なぐさめがさらに本人を追い込んでしまうのです。

もし、ご自身が辛いと思った時に早めの相談をお勧めします。医師の診察・カウンセリングを受けるなど早めに受診するか、もしくは国立障害情報・支援センターのホームページに各都道府県の相談窓口が記載されております。まずは市町村で行っている無料の相談窓口で利用されてはいかがでしょうか?

国立障害情報・支援センター: http://www.rehab.go.jp/ddis/

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tkbn

40代男性。30代半ばでうつ病を発症。40代になって発達障害の疑いありと診断される。就労支援機関で自分の特性について学び、最後の就活を終えコラムを書いています。趣味は鉱石収集。年2回大阪・京都で行わるミネラルショーや即売会に行って、気に入ったものをコレクションするのが楽しみですが、部屋で飾る場所が無くなっているのが最近の悩みです。

発達障害 その他の障害・病気 自閉症スペクトラム障害(ASD) 広汎性発達障害

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