『僕でいたい~地声と化粧とワイシャツと』

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出典: https://www.photo-ac.com

大学の卒業式の日、会場前に到着し、友人たちやお世話になった先生方と挨拶を交わした後、男の先生方が僕を見てしみじみと、こう言いました。「女性は化粧すれば変わるとはよく言うが、このことか……。」 先生方が僕を見てこのように言うのには理由があります。なぜなら僕は、日焼け止めやリップ以外の化粧をせずに4年間通学していました。同時に大学生活の大半を“メンズのワイシャツにネクタイ”というスタイルで過ごしていたからです。

中学時代 地声

中学一年の音楽の授業中、歌うときだけ何故か、ソプラノが出るタイプだと初めて知って、自他ともに驚きました。中学二年半ば、演劇部の劇のリハーサル後、後輩から「さっき、先輩が調整室からマイクを通して顧問の先生と打ち合わせしている間、舞台上にいた役者の先輩方が両耳塞いで嫌な顔をしながら、調整室の方を睨んでいたのですが……」と告げ口を受けました。この日から、自分の地声の低さが嫌になりました。

 高校時代 一人称

高校時代のある日、いつものように、クラス内でクラスメイト達が、それぞれの仲間内で騒いでいました。何気なく聞いていた彼らの声は、時間が経つにつれて、その音量や高さが、僕にとって我慢出来ないものへと変わっていきました。最後にはイヤホンを外して、指で直接耳を塞ぎたくなるほどでした。(後に、聴覚過敏が関係していたことを知りました。)この時初めて周りの声、特に僕には出せない大声や高い声、女の子っぽい可愛らしい声が僕にとってコンプレックスであり、ストレスでもあると気がつきました。これを機に、僕を一人称にした方が、今以上に自己表現が出来ると思い始めました。 しばらくして、親と何気ない会話をしている最中に、一人称を私から僕に変えたいと言ってみました。これに対して親たちは、「あんたは、女の子なのだからダメ!」と即答しました。当時、世間一般に知られていた性別の違和感に関する言葉が『性同一性障害』だったため、両親はその後に「次にそんなこと言ったら、精神科に連れて行くからね。」と付け加えました。なぜそうしたいのか?等は聞いてもらえませんでした。僕は、きちんと理由を聞いたうえで、言ってほしかったです。「大学受験を控えている今はダメ。だけど、大学へ入ってからなら良い」というセリフを…。

大学時代 ワイシャツとネクタイ

大学に入学してしばらくすると、僕はスーツにネクタイを締めて大学に通うようになりました。制服が無くなったから、ワイシャツにネクタイのスタイルの方がスカート姿よりも好きだったからです。そんなある日、親が偶然メンズのワイシャツとネクタイを買った時のレシートを、僕の部屋で見つけました。その際のお説教のときに、この時点までに、私がワイシャツにネクタイを締めた姿を一度も見たことがない両親が言った言葉は、「何で大学にワイシャツにネクタイで行っているの?そんなことする必要がどこにあるの?変な恰好で大学に行かないで!!」「そんなに男になりたいなら、坊主にしなさい。自分で貯金して性転換手術をしなさい。男になったら、親子の縁は切ります。」でした。

まとめ

皆さんは、『Xジェンダー』という言葉をご存じですか?これは、男女の性別の性質両方を持っていると感じたり、逆に全く性別を持っていないと感じたりするなど、従来のLGBTのいずれにも当たらないと意識する人たちのことです。僕もXジェンダーの一人で、心は男女両方ともあります。だから、一人称は僕がいいです。ネクタイにパンツスーツを好みます。こんな僕は変ですか?おかしな人間だと思いますか? 上記した、ワイシャツにネクタイで通っていた大学生時代。大学の友達や先生方も、この格好での通学を止めるように言いませんでした。反対に、カッコイイという声をかけてくれることが多かったです。しばらくすると、ずっとそのスタイルで通学していたため、大学構内では、ソレが普通や当たり前になっていきました。

今現在、周囲との違いや、自身の性別に対して悩んでいる貴方へ

一人一人は十人十色。違っていて当たり前です。社会全体や世間は間に合わないかもしれませんが、いつかきっと、周りと異なる自分を褒めてくれる・認めてくれる人に出会えます。 意外にも、貴方にとって身近なところで……。

参考にしたページのタイトル・サイト名 :【NHK 男でも女でもない私" 語り始めた「Xジェンダー」】
https://www.nhk.or.jp/

チタカ・トモヒロ

チタカ・トモヒロ

女性(チタカ)の心と、男性(トモヒロ)の心を持つXジェンダーです。
発達障害で、自閉症スペクトラム障害と、不注意特性の注意欠陥多動性障害の両方を持っています。
視覚過敏(弱度の老眼)と聴覚過敏(昔から地獄耳)があるため、日頃からサングラスと耳栓が手放せません。
恐怖系やグロテスクなものではない限り、広く浅く様々なジャンルの漫画やアニメ、海外ドラマを楽しんで毎日を過ごしています。
今は就労移行支援事業所へ通いながら、障害をオープンにした状態での就職を目指して頑張っています。

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