身体表現性障害になって~私の体験談

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出典:Photo by Jude Beck on Unsplash

身体表現性障害という障害をご存知でしょうか?

簡単に言ってしまうと「身体には異常が無いのに身体的不調が出てくる病気」です。名前から想像すると身体障害のように勘違いしてしまいそうですが、実は精神障害になります。

原因は主にストレスによるものだと考えられています。症状は様々なものがありますが、私が抱える身体的不調は異常な倦怠感、めまい、腸の痛み、のどのつっかえ感などです。どれも精密検査を何度もしてみましたが、結果は「異状なし」でした。

病気の発症前

私は大学時代はかなり怠惰な生活を送っていたので「何とか学校を卒業できるかどうか」という感じでした。単位は1,2年生ではほとんど取れず、3,4年生でどうにか全単位取得して卒業したという形でした。

ぎりぎり何とか卒業をした形になったので、就職活動は全くしておりませんでした。

就職氷河期ということもあり、なかなか良い求人も少なく、また何をしたいかもはっきりとしていなかったので積極的に就活をすることもなく、アルバイト生活を卒業後2年間ほどしていました。

しかし、周囲からのプレッシャーや「このままではいけない!」という焦りから、ある日住んでいる市の合同面接会に行き、なんとなく面接を受け、ある老舗小売店に就職することになりました。

就職した会社は週一日の休みで、一日の拘束時間も11時間ほどと、求人票に書いてある内容とはかなりかけ離れていました。ただ、仕事内容自体はそこまできついと感じなかったので、とりあえずは1年間は続けようと決めて働きはじめました。

そこから2年間ほどは体調不良もなく順調に働けていたように思います。ただ、当時の店長からのプレッシャーはかなり強いものでした。「お前は数字で誰にも負けるな!」「この会社に骨をうずめる覚悟で働けよ」と事あるごとに言われておりました。

器用な人であれば聞き流してうまく働いていくものだと思います。しかし当時の私は真面目に言葉を受け止め(真面目に取りすぎて?)「自分はまだまだだし、いつか自分が店を任されるのだからしっかりしないといけない!」と感じる様になりました。

病気の発症

そうこうしているうちに1年が過ぎた頃、「石の上にも三年だ!」ということで、3年は続けてみようと考えて働いていた矢先、急に体調不良がやってきました。

身体が異常にだるく、咳も続いていたので内科に受診しました。するとお医者さんから「百日咳ですね」と診断を受けました。「なるほど、どこかでうつされたのかな?」くらいにしか考えず、百日咳の薬を飲み様子を見ることにしました。薬を飲み切ってから再度受診をすると、お医者さん曰く「百日咳は治っていますね」との事でした。しかし、身体の倦怠感は全く治っておりません。その頃は滋養強壮剤などの栄養剤も試しましたが一向に効果が表れませんでした。そこで一度、大学病院の内科にて調べてもらうことにしました。

大学病院で色々な検査をしてもらいましたが、原因は全く不明。私は「どうすればいいですか?」と担当のお医者さんに尋ねました。返ってきたのは「うーん、原因が分からないからとりあえず心療内科に行ってみてはどうですか?」という答えでした。

ここから現在までにわたる心療内科通いが始まりました。

心療内科に通い薬を飲み始めて2ヶ月くらい経った頃、体調が少しずつましになり始めました。しかし、薬の副作用で眠気がひどく、仕事中に少し居眠りをしていました。ちなみに診断名は「自律神経失調症」でした。

ただ、症状に波がありましたが薬を増やしたり減らしたりしながら、だましだまし仕事を続けていくことは出来ていました。

30歳、気が付けば入社してから6年が経過していました。結婚をし、平社員から主任という肩書も頂いていました。

しかしある日突然、お腹が「モヤモヤ、チクチク」と痛むのが続くようになりました。胃腸科を受診すると、原因不明で、胃も腸もきれいだということでした。

「99%ストレスが原因の過敏性腸症候群でしょう」と言われました。薬を貰い飲んでみましたがほとんど効かなかったことを覚えています。

5回ほど胃腸科に通いましたが、全く良くならないので、やはり心療内科に相談することになりました。病名は「自律神経失調症+過敏性腸症候群」です。時を同じくして、のどの詰まり感を自覚するようになりました。調べてみると、これも自律神経失調症のひとつみたいです。

「原因は仕事にあるんだ」とは感じていましたが、仕事はどちらかといえば好きでしたし、どんどんと新しい仕事を与えられて楽しくもありました。ただ、人間関係がややこしい職場ではありました。

この頃には転職も考えていましたが、30歳を過ぎてくると給料もそれなりに上がります。転職するとなると給料とそれ以上に病気の存在が大きく感じて、転職を躊躇し「そのうちに治ってくれれば、、、」と甘く考えていました。

病気の大波がやってきた

ところが34歳になる年に大きく状況が変わります。社長が若い新社長に変わり環境が大きく変わってきました。仕事が大幅に増え、責任をかなり伴うものになってきます。そのうえ「店の店長になるための研修に参加してほしい」と言われました。

その頃の私は社長に頼られることが多く、嬉しさ以上に何倍も苦痛を感じていました。わがままなお坊ちゃん新社長だったので話を合わせるのが大変で、もちろん逆らうことも出来ません。「このまま店長になったら一生この関係で仕事をするのか」と暗い気持ちになりました。

また、この時期に一軒家を購入し、35年のローンを組みました。かなり郊外の方に購入したのでゆったりとした環境の代わりに交通の便は悪くなりました。子供もいないので夫婦二人だけで住んでいる一軒家です。

当時、私の心配事は主に3つありました。1つは昇進に伴う社長との関係性。2つ目はフライング気味に購入した家のローン、3つ目は夫婦での不妊でした。その中でもやはり一番の心配事は仕事の事でした。

この3つを毎日のように考える様になり、次第に仕事中に酷いめまいや倦怠感に襲われるようになりました。

酷い体調不良が始まってから1か月ほど経ち、ついに気持ち悪くて立っていられなくなってきました。文章を書いても漢字はおろか、ひらがなまで間違えてしまうほど、頭も回らなくなってきてしましました。

「これはとんでもないことが身体の中で起きている」と思い、ついに8年ほど隠してきた心療内科通いも打ち明け、休ませて欲しいと社長に話をしましたが「人がいないから出てくれ」とこちらの状況が分かってもらえない感じでした。

次の日、何とか身体を引きづって1日出勤しましたが、どうしても体調が付いてこずに早退してしましました。

早退してからの体調は最悪で酷い下痢と倦怠感があり、ほとんど起き上がることが出来ず、食べることも飲むこともせずに過ごしていました。すると、ついに脱水症状になってしまい救急車で運ばれてしまいました。

この時からから会社に出勤できず、休職となりました。

10日ほど寝込んだ後、様々な検査をしましたがどこにも異常はなく、身体は健康であるとのことでした。そして心療内科で付いた診断名が「身体表現性障害」でした。

2ヶ月ほど家で休んだ後、心療内科のリワークプログラムに参加して復職を目指していくことになりました。朝9時から12時までの短い時間のプログラムでしたが、2ヶ月休んだ身体にはかなりの負荷になっていました。ただ、この時も「いずれ良くなって復帰できる」と楽観的に考えていました。

リワークプログラムの他のメンバーが次々と復帰していく中で私の体調が安定することはありませんでした。そしてプログラムは10ヶ月で終了してしましました。この時に休職してから約1年間経過してました。

その後、うつ病や自律神経失調症に効くとされる整体や運動を半年間、かなりがんばってやってみましたが思ったほどの効果は得られず、休職から1年6ヶ月が経過しました。ついに休職期間中に復帰できず退職となりました。

就労移行支援事業所にたどり着く

退職後にインターネットで調べたり、主治医に聞いたりして就労移行支援事業所の存在を知りました。そして、電車が必要な少し遠い就労移行支援事業所に通うことを決めました。「電車に乗って通うことにより通勤の練習にもなる」と思ったからです。

私の通っている就労移行支援事業所では、主に勉強中心でパソコンのMOS資格や簿記の勉強を行っています。通い始めて1年間ほどはまだまだ体調が悪く休みがちでしたが、1年8ヶ月通った現在、ようやく体調も落ち着いてきました。今後は体調面を考えながら再就職に向けて活動していきたいと考えています。

おわりに

体調が悪くなり始めてから長い年月が経ちました。その間色々な薬や健康法などを試して、どうにかしようともがいてきましたが、結局は時間が必要だったのかもしれません。無理を通した分のツケが長い休息を必要としたのです。

まだまだ、倦怠感やめまいなどの不調を感じることは多いです。やはりまだ気付いていないストレスがあるのだと思います。それらのストレスとうまく付き合い、潰れてしまう前に対処していけたらいいなと感じています。

自分に障害があるという事実を受け入れるのにも多くの時間がかかりましたが、うまく障害と付き合いながら、長く安心して働ける職場を探すため、これから就活をしていきたいと思います。

くまんばち

くまんばち

30代、男性。
前職にて身体表現性障害を発症し、退職。今は再就職に向けて就労移行支援事業所に通いながらPCスキル等を勉強しています。
趣味は読書、ドライブ、麻雀など。

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