PTSDからうつ病に~自分で気付いたきっかけ

パニック障害・不安障害 うつ病

出典:Photo by Cristian Palmer on Unsplash

昔の私は、うつ病という言葉は知っていても「うつ病とは縁がない、自分がなるわけない」と思っていました。ですが、今の私は「いつ、誰がなってもおかしくない病気」だと認識を改めました。うつ病に関して、いっさい知識を持たず、関心もなかった私が、うつ病を発症したきっかけ、なぜ自分で気づくことができたのかについて、発病した経験から書いてみようと思います。

発症当時の状況

発症当時、私は祖父の代から続いていた小さな会社を経営しており、いわゆるリーマンショックも乗り越え、順風満帆とまではいかなくとも、なんとか会社を維持していました。しかし、その時は突然やってきました。引き継いで10年経ったころ、その会社が火事で全焼してしまったのです。この時のショックがきっかけとなり「PTSDからのうつ病」と診断されました。 PTSD(心的外傷後ストレス障害)とは「とても怖い思いをした記憶が整理されず、そのことが何度も思い出されて、当時に戻ったように感じ続ける病気」です。

あれ?いつもと違う?……おかしい

火災に遭った当時は、さまざまな症状に悩まされ、苦しんでいました。後から振り返ると、すでにこの時には、PTSD(うつ病)を発症していたのだと思います。私に表れていた症状を、箇条書きですが紹介させていただきます。

眠れない(不眠・中途覚醒)……うたた寝はできても、3日以上連続で、まともに眠れない日が続きました。火災に遭う前には、短時間睡眠で働いていた時期もあったので「火災でショックを受けているのだから仕方ない」と無視していました。

火災の映像が見れない……そもそもテレビを見る気にもなっていませんでしたが、ニュースなどでたまたま火災の映像が流れたりすると、フラッシュバックを起こし、頭痛や吐き気が症状として出ていました。これもまた「火災でショックを受けているのだから仕方ない」と軽く考えていました。

サイレンが怖い……緊急車両(パトカー、消防車、救急車)のサイレンの音を聞くとフラッシュバックが起こり、体がこわばり、足がすくんで身動きが取れなくなっていました。これもまた「火災でショックを受けているのだから仕方ない」と思いこんでいました。

フラッシュバック……私の場合ですが、頭の中で、その時の状況(火災現場、現場検証での怒声、警察での取り調べなどが)がリアルにそのまま再生され、匂いや音までもリアルに再現されていました。そのたびに、頭痛、動悸、吐き気、めまいなどの症状が同時に、私に襲い掛かってきたのです。

外に出られない……火災後、人の目にさらされることを極度に嫌うようになりました。買い物もほとんど24時間あいているスーパーに深夜帯に行くほど、人の目を気にしていました。

過食と拒食……私はもともと少食で、独身時代は1日1食の夕食だけ、という日もあったほどでした。その私が、数日にわたって昼夜問わず1時間おきくらいに食べ物を口にする、それでも満腹にはならない。かと思えば、翌日からは全くお腹が空かない、食べ物を見ると吐き気もする。この状態を何度か繰り返し「食に関する異常性」を認知したことで、私が自分はうつ病ではないかと疑うきっかけとなりました。このことが妻に打ち明け、相談する決定的な症状となりました。

その後の行動

「自分がうつ病ではないか」と疑い始めてから、インターネットで調べまくりました。「自分と同じ症状の記事はないか」「自分の症状が、うつ病によるものである可能性はどの程度なのだろう」など、思いつく限りの検索をかけて、該当しそうな記事を読み漁りました。

その結果「うつ病の可能性が高い、病院で診察してもらった方がいいかもしれない」との結論にいたりました。妻に打ち明けるときには、かなり勇気も必要でした。火事で迷惑をかけている上に、さらに病気の相談までしていいものか、相当悩みました。

私の妻に対する悩みは杞憂に終わりました。意を決して打ち明けた時の妻の言葉は今でも覚えています。「辛かったね。話してくれてありがとう。自分でうつ病に気付いて、自分の症状について調べることまでやったのはすごいよ。一緒に病院を探そう」妻の言葉にホッとしたのと同時に、号泣してしまいました。

終わりに

最近では、ほとんどフラッシュバックは無くなりましたが、途中で書いたような症状に、4年ほど毎日悩まされ、苦しみました。 うつ病は、心の病気です。それは、周囲の方がぱっと見ただけで理解してもらえる病、障がいではありません。表面に出てくる症状も人それぞれ異なると思います。自分で「おかしいな」と思えた方は、思い切ってご家族、信頼できるご友人に相談してみて下さい。相談ができたら、できれば心療内科を受診してみて下さい。誰にも言わずに、1人で苦しむ必要はないと思います。

参考文献

【厚生労働省|知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス|こころの病気を知る|PTSD】
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/

ODYSSEY

ODYSSEY

40代後半の男性です。8年ほど前から、PTSDからのうつ病(社交不安障害、睡眠障害、適応障害)と闘ってます。加えてADHDのグレーゾーン、HSPの傾向が強いとの診断も受けました。現在は、就労移行支援事業所に通所しながら、オープン(障害開示)での長期就労を目指しています。

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