発達障害とうつ~立ち直るのに必要なこと

うつ病 発達障害

出典:Photo by Gadiel Lazcano on Unsplash

発達障害を持つ私ですが、健常者雇用での仕事を辞めた2022年、うつになっていました。その中でどう切り抜けてどう立ち直ってきたのか。本を参照にしつつ紹介していきたいと思います。

あえて何もしない

うつ病になった後、まず考えたのが「何か対策を打たなければ」でした。「発達障害というそれだけでも、生きていくのが大変なのにうつにまでなってしまって、どうしよう」「何かしなければ……」そういった焦りが突拍子もない行動を起こしました。

うつに関する本を買いにフラフラと書店へおもむき、適当に何冊か買ってしまったのです。

でもそれは間違いでした。1冊目に読んだ本にも書いていましたが「うつの底は、吹雪の吹き荒れる原野のような場所」なのです。正直にいいますと、その言葉を見て、他の本を読めるのをやめました。そして本を参考に人肌ぐらいの温度のお茶を枕元に用意し、ひたすら寝ることにしました。

本のいう通り、うつの底にいた私は本当に何もできる状態ではありませんでした。だから、ひたすら寝て、起きたらお茶を飲み、お茶がなくなったらキッチンで温かいお茶を作ってマイボトルへ……。そんな暮らしをすること約1週間、やっとベッドから離れることができるようになりました。

ただ、幸いなことに自殺する気にはなりませんでした。そんな気力すらなかったのです。そのおかげもあってか、自殺未遂で病院へ、なんてことはありませんでした。

ただひたすらにぼうっとする

ベッドから離れることができるようになったものの、何かをする気にはなれません。だからひたすらにぼうっとしていました。気が向けばパソコンを開きますが、だからといって激しいゲームをする気にはなりません。

そんな私を救ってくれたのはマインクラフトでした。サンドボックスがうつの治療にはいい、とよくききますが、私の場合はマインクラフトでした。ひたすらにだらだらとしたペースで遊んでいました。

建物を建てたり敵と戦うなんてことはせず、ひたすら地下を採掘したり、色んな場所へ観光にいっていました。リアルで観光などできればもっとよかったとは思いますが、そんな気力もありませんし、コロナ禍でお出かけするのもたばかられる状況。そんな状況でもマインクラフトではいつでも自分を癒してくれました。

精神科でうつと診断されて1か月ぐらいは経ったでしょうか。何とかその時期も脱出することができるようになりました。ただ、焦らずゆっくりするようにはしていました。本に書かれているように「1ミリの階段こそがゴールへの最短距離」と考えるようにし、ゆっくりと日常生活が出来るように戻っていったのです。

一緒に頑張る仲間を見つける

日常生活ができるようになっても、それは仕事ができる状態とイコールではありません。仕事ができるようになるためには、仕事を離れていた期間でなまってしまった勘を取り戻す必要があるのです。そのために私が利用しようと決意したのが「就労移行支援事業所」です。

もともとうつになる前に、取ろうと思っていた資格の関係で就労移行支援事業所の存在は知っていたのですが、1か月ほどはそれを利用しようという気にはなりませんでした。うつの底にいた私は、家を出ることすらかなりハードルが高い状況だったのです。

何とかその状態を脱出した後、1回見学にいってみようと思いました。そこで出会った支援員さんは満面の笑みで向き合えて下さり、とてもいい印象でした。講義を体験したのですが、途中で休憩も挟まったのでとても聞きやすかったです。また、居心地もよかったのでそこに通うことにしました。

通い始めて出会った仲間たちも何かしら問題を抱えていましたが、それでも必死に生きていました。私はその光景に感動しました。「自分が独りじゃない、同じように問題を抱えながらも、就職に向けて取り組んでいる」そう思えたからです。

現在は精神科の先生とも月に1回お話をしつつ、就労移行支援事業所に通いながら、障碍者雇用での就職に向けて活動できるようにまでなりました。自分に向き合い、理解し直すことで自分自身を再認識し、適切な配慮を求めることができるようになったのです。

おわりに

いったんうつになってしまうと、なかなか抜け出せませんが、うつの底での過ごし方、そこから少し立ち直ってからの過ごし方、日常生活ができるようになってからの過ごし方について紹介しました。うつの底でも、本当に何もせずただひたすら寝て、温かい飲み物を飲んで寝て……のくり返しで乗り切れます。

あせる必要なんてありません。自分なりの「1ミリの階段」をみつけて、それを少しずつ上っていけばいいのです。「ゴールがいつになってもいい」そんなゆっくりとした気持ちでいれば、いつかきっと元の100パーセントまでは戻らないにしても、それに近づくことはできます。急がずマイペースに生きていきましょう。


参考文献

【『発達障害サバイバルガイド―「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47』 借金玉著 ダイヤモンド社 第10刷 2021年 273~313p】

猫目漱石

猫目漱石

20歳の頃に広汎性発達障害と診断されて以降、大学を卒業後30歳まで健常者として仕事を行なう。2022年に障碍者手帳を取得し現在は障碍者雇用を目指し勉強中。
座右の銘は「孤高であり、至宝であれ」。一人として自立し自律出来るようにしつつオンリーワンの価値を見出すために日々奮闘中。

発達障害 うつ病

関連記事

人気記事

施設検索履歴を開く

最近見た施設

閲覧履歴がありません。

TOP

しばらくお待ちください