
アレクシオンファーマ合同会社は、5月23日の「難病の日」に合わせ、難病についての周知を目的に「難病に関する意識調査」の結果を公表しました。指定難病の患者500人と、指定難病に携わる医師500人を対象としたインターネット調査です。
2014年5月23日に「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」の成立を記念し、一般社団法人日本難病・疾病団体協議会が毎年この日を「難病の日」として登録しました。患者や家族の思いを一般の人に広く知ってもらう機会としてもらうのが目的です。
調査でまず明らかとなったのは、「発症から診断まで1年以上、人によっては3年や10年もかかる」という診断の長期化と、「患者も医師も『最適な治療方法がない』ことを最大の問題に挙げている」という点です。他にも様々な結果が公表されていますので、順に追っていきましょう。
治療方法がないという全否定
まずは「最も課題を感じていること」です(複数回答可)。難病を取り巻く現状について最も課題だと感じていることについての質問で、一番多かった回答は、患者と医師の両方が「最適な治療方法がない(患者46.8%、医師50.0%)」でした。この回答は2位以下に大きく差をつけており、病気と向き合う上で治療方法のない事がどれほどきつい全否定となるかを如実に表しています。
ほか患者の回答は、2位が「周囲の疾病理解が不十分である(33.6%)」で3位が「就労に困難がある(23.4%)」と続きました。医師は、2位が「正しい診断がされない(42.2%)」で3位が「非専門医の疾病理解が十分でない(37.2%)」でした。知識や理解の不十分さだけでなく、社会進出の難しさや理解度の差による孤立も深刻な課題と言えるでしょう。
診断が長引きがち
次は「診断までにかかった時間」です。総合的な結果を先にお伝えしますと、「患者の3人に1人は発症から診断までに1年以上要した」「患者の5人に1人は3年以上、10人に1人は10年以上かかった」という回答でした。
過半数が半年以内に診断されている一方で、診断までの時間に大きな格差が生まれています。人によっては10年どころか20年以上かかったケースもあり、難病を診断する難しさが浮き彫りとなりました。発症時は知られていなかったのが、後で明らかになり難病指定された流れもありそうですね。
その他の調査項目
患者と医師のコミュニケーションに関する課題については、患者側は「意思とのコミュニケーションをサポートしてくれる医療従事者が少ない」と窓口の不足を挙げました。医師側のほうは「疾患や症状の説明に多くの時間をかける必要がある」が最多で、患者へ十分な説明をするための時間が足りていないという認識があります。
生活支援における課題については、患者側から「通院負担が大きい」「行政や医療機関の難病に関する相談窓口が周知されていない」「支援・補助制度の情報がまとめられておらず、分かりにくい」といった、通院や情報面での課題が挙がりました。また、「家族の介護負担」については感じる側とそうでない側で二極化の傾向が示されています。
社会における難病理解の現状については、患者と医師ともに「難病の理解向上への啓発活動が不足している」「企業の理解が十分でなく、就労に困難がある」「難病患者が社会で孤立しがちである」を上位に挙げていました。特に患者側の6割強が啓発活動の不足を感じています。「家族の社会的孤立」は上位でないものの、患者側で見解が二極化している傾向にあります。
関係者からの言葉
「日本において今年で創設 15 周年を迎える当社は、『すべての希少疾患をもつ人々に人生を変える治療法と希望を届ける』を目的として掲げています。世界に先駆けて日本において難病法が成立したことを記念した『難病の日』を重要な道標と捉えています。
また、企業の社会的責任の一つとして、今回の調査で示されたように早期に難病を取り巻く環境を整える必要があると感じています。企業がさまざまな関係者と共に活動をすることで広く社会に貢献ができると信じています。今後とも、より積極的に多様な機会をつうじて難病への取り組みを行い、難病を抱える患者さんやその周りの方々へ希望をお届けしてまいります。」
(アレクシオンファーマ合同会社・笠茂公弘社長)

障害者ドットコムニュース編集部
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