作業所クッキーは「得」と言われて

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Photo by Sara Sperry on Unsplash

「糸引きマフィン」についてご存知でしょうか。イベント会場で出されたマフィンが異臭か何かを放っており、後にずさんな管理をされていたと判明した一連の騒動です。厚生労働省からも、極めて高い致死性を持つという「CLASS 1」に認定されるほどで、これは「大腸菌」「ボツリヌス毒素」「魚種不明フグ」「毒キノコ」などと同じレベルとされています。

そのマフィンに関連して、ある投稿がなされました。「こんなマフィンが多くの人に買われた一方で、消毒や検便などの防疫が高水準で整っているのに『障害者が作ったから』というだけで作業所のパンやクッキーは買われない」健常者によるマフィンの食中毒騒動にかこつけて、何故作業所で作られる食品を引き合いに出したのか、その思惑は測りかねます。ですが実際に食品を扱うB型作業所などは、万全たる防疫体制のもとで食品を加工販売しています。

これに触発されたのか、「作業所クッキーの凄さを説いてやる!」と少なからぬ数が、自分の知る「作業所クッキー」のいい所を挙げ始めました。クッキー自体の味や、個性的なデザイン、色々と出る中で多く挙がったのが「得」だということです。

作業所で加工販売される食品は、そこらの店にある同水準の食品より圧倒的に安い、言い換えれば「コスパが良い」という傾向があります。大衆に売られている商品と遜色ない出来で、より安く買うことが出来ます。まさに「得」でしょう。

しかし作業所で売られているものが「得」であるうちは、施設に通う障害者らの生活は何も改善されていないと思います。売り上げはそのまま工賃に繋がりますし、市場価格を知らない施設側が弱気な価格設定にしている側面もあるからです。勿論、適正な価格で販売して工賃へ反映させ、最低賃金にさえ迫っている作業所もあるにはあるのですが。

それでも積極的に買えば多少はプラスになってくれるでしょうが、幾らか気をつけて欲しい事があります。まず作業所は通常の業者に比べて制限が多く、急な増産や減産には対応していないので、売り切れていても文句は言えません。また、添加物を使わないぶん日持ちしないので、どのみち食べられる量しか買えません。

そもそも、自分の行動圏内で食品を扱うB型事業所がどれだけ存在するか把握している人の方が少ないのではないでしょうか。きっかけの投稿では「障害者というだけで嫌がられる」などと書いてありましたが、実際のところは偏見や差別などよりも、単純に「情報が無い」というだけだと思います。広報に力を入れる作業所は少なく、限られた販路や取引先や仲間内だけで売れればいいというのが多数派ではないかという印象です。

身近に美味しい食品を売っている事業所があれば、是非チェックしてみてください。私の行動範囲の中でも、定食の味噌汁が非常に美味しい飲食系の事業所が運営されています。そこの味噌汁はコクも旨味も抜きん出ており、私が知る中では間違いなく最高の一品です。ランチタイムの混みようが酷くなってからは全く足を運んでいませんが。

遥けき博愛の郷

遥けき博愛の郷

大学4年の時に就活うつとなり、紆余曲折を経て自閉症スペクトラムと診断される。書く話題のきっかけは大体Twitterというぐらいのツイ廃。最近の悩みはデレステのLv26譜面から詰まっていること。

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