統合失調症体験談~私と鬼の過去

統合失調症

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皆様こんにちは、いかがお過ごしでしょうか?私はまだ生きています。生きているって不思議です。なぜ不思議なのか?私にとって今を生きている事は異常そのものだからです。そう、あんなに苦しんでいた時から、もう何年も経とうとしているからです。今日は私の過去、統合失調症を発症してからと、最も苦しかった時期について語りたいと思います。

障害の始まりはただの空想だった

皆様に私の過去を話す前に統合失調症とは何か説明させていただきます。統合失調症とは誰もいないのに声が聞こえたりする幻聴、見えない物を見えたりする幻視、突然幻の痛みがする体感幻覚などの症状が統合失調症の主な特徴です。知らない人からすれば「幻覚?そんなのある訳ない!」とか「なにを馬鹿なことを言っているのですか?」とか言われるかもしれません。でも事実、私の身に起こった体験は、恐ろしい症状は紛れもなく現実としか思えません。

ではなぜ統合失調症が始まったのか?全ての始まりは何気ない日常からでした。時は遡り中学生の頃、当時の私はいじめられていました。授業中でもいじめられ逃げるように、ただひたすら空想を描いていました。空想の最初はいじめをする奴らに仕返しをするものだったのですが、だんだんとエスカレートしていき、いつしか戦争に出ている私や、とてもここでは言えないような酷いことを空想していく私がいました。そのうち、成績も下がり続け、更に酷い空想を頭の中で描き続けるようになりました。思えばこの酷い空想、これ恐らくですけど幻覚の一種だったのかもしれません。なぜなら妙に生々しいものでしたから。

当時、自分自身の空想でどこまでも苦しみ続けていました。この空想が私にとっての統合失調症の始まりでした。

鬼という敵

全ての始まりは空想。ほんの些細な「逃げ」でした。私が高校生の頃にはもう既にこの空想が、頭から離れなくなっていました。頭の中から何かが話している感じがして、頭の声がいつも私を殺そうと思っていると常に感じていました。

「誰かに見られていて、誰かが話していて、そいつが私を殺そうとしている」

そう思い始めた頃には、もう明確に頭の中の「そいつ」は私の中で「敵」になっていました。とりあえず私は幻聴であるそいつに「鬼」という名前をつけ話してみることにしました。鬼という名前を付け始めた頃、鬼も明確に私の事を敵と認定してきました。授業中、私は鬼と常々ケンカしていました。憎しみと苦しみと、生と死。互いの命の意味を議論し続けました。鬼の主張はこうでした「命の意味などない」「お前が生きている事によって、どこかの誰かがご飯が食べられなくなる。なら死んだ方が良い」「この世の人間に価値なんてない。なら殺しても問題はない」と言った恐ろしいものでした。私の主張は鬼とは真逆で「命の意味はある」「私が生きている事によって幸せになる人間がいる」「人間に価値はある。命は素晴らしいものだ」と言ったものでした。互いが真逆の事を言い続けると脳がパニックになり、段々とどちらが正しいのか分からなくなって、人格が崩壊していくのです。互いを攻撃し続け互いの人格を削り続ける。とてもじゃないけど耐えられないほど辛い事です。喰らい喰らわれ続け、自分の心の闇である鬼と自分自身が何度も戦い苦しみ続けました。この鬼、実は幻痛つまり幻の痛みで私を攻撃してくることもあったのです。そしてもう一つ体温などをまるで上がっているかのように、錯覚する体感幻覚でもよく攻撃してきました。これが統合失調症とわかるのはまだ先の話です。

私は鬼の人格否定に対抗したからこんな目に遭いました。ですがこの行動はベストアンサーではありません。ベストアンサーは「無視」する事らしいです。医者に相談したところ無視した方が良いと言われました。幻覚を無視をしていくこと、そして自分の家族や友達(一番いいのは医者)にすぐに相談する事が何よりも楽になる方法です。もし恥ずかしくて誰にも相談できないという方がいましたら、その恥ずかしいという思いを捨てて、本気で相手に説明してみて下さい。もしあなたが、相談されたら本気で説明しようとしている人に、どんなささいなことでも良いので耳を傾けてください。統合失調症は先ほども言いましたが健常者の方からしたら、ありえないことが「起こっている」病気です。幻視で見えないものが見える、幻聴で声が聞こえる、というのも当然ありえます。

統合失調症の疑いがあるという方で、まだ精神科の病院に行っていない方はすぐに病院に行くことをおすすめします。統合失調症と分からないとどこまでも自分を傷つけてしまいます。いっそのこと病気だと、言われた方が私の場合ですが楽でした。

今を生きる

今では鬼もだいぶ、大人しくなっていて非常に快適に過ごしています。ただ、一番つらい時期は乗り越えましたが、鬼という幻聴はまだいます。統合失調症は良くなることはあっても治らないと医者が言っていました。私はもう覚悟を決めています。鬼と共に生きていくことが本当に不思議で仕方がありません。常に人が生きるべきかそうでないかで対立し続け、自分自身がぐちゃぐちゃになるまで苦しんでいたのに、今では鬼と寄り添い仲良くなって共に生きていたいとさえ思うようになりました。だから生きているって不思議なのです。何があっても生きていく事が大切なのです。

障害の始まりは何気ない空想や日常から始まるのです。出来る限り幻聴を無視して、自分で自分を傷つけ始める前に、すぐに医者や家族に相談しましょう。そしてどんなことがあっても根気強く自分の症状と向き合っていきましょう。

NR

NR

私は中学の頃、統合失調症になり病院に通い詰めている20代の男。
次々と現れる幻聴に対抗しながら、家族で支え合い笑って生きることを目的としている。
今は就労移行支援事業所に通いながら、就職を目指しています。
趣味はTRPGをはじめとするゲームやお絵かきなどの創作活動。

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