発達障がい〜神からの贈り物〜

『嫌う』『嫌われる』ことが阻む自立、そしてその中に潜む依存。(『発達障がい~神からの贈り物~』第47回)

発達障害

出典:Photo by Priscilla Du Preez on Unsplash

『発達障がい ~神からの贈り物~』 第47回 <毎月10日連載>

つい先日、相次いで同じような相談を受けたので、そのことからお話しします。2件とも放デイの利用者がある職員を怖がっているという話。もちろん違う放デイで怖いとされる職員も同一でない。2件とも利用者が危険なことをすることを注意したものでした。1件は視覚障碍者を躓かせるような悪質なもので、叱った職員のことが怖いからもう放デイに行けなくなった、というもの。もう1件も同じようなものでした。

こういった相談を受ける時の対処法は私には簡単で、それについては機を改めて説明できればと思いますが、実は私にも似たような事案が複数ありました。一度は私塾を開いていた時で、構って欲しいチャン的な女子生徒が、私の何かの言動が気に食わなかったようで、そっぽを向いて結局はやめてしまいました。別の例はA型事業所で支援員をしていた時、何人かの利用者からベタベタとつきまとわれ、私が注意したことから同じようなことになりました。

実は、『嫌う』という行為の中に甘えが存在することにお気づきでしょうか?こういった場合、もともと自分のことを理解してくれる、つまり自分が依存している人に対して行動を起こします。なぜ彼らはそういう行動をとるのか?それは『嫌われること』を恐れる人間が存在するから。つまり『嫌う』ことによって自分の方に目を向けさせるのが目的と考えられます。もちろんその行動の裏側には、自分自身が『怖がられることに怯えている』ことも隠れ潜んでいます。

実はこの問題は福祉や教育に於いてまだまだ健在化されていないかもしれない、とても根の深い問題と私自身は感じています。生徒から嫌われる教員、利用者から嫌われる職員、これらはこの世界に於いてほぼ完全な『悪』としてとらえられることが多い。しかし、本当にそれが悪なのでしょうか?彼らのわがままをただひたすら受け入れて、勉強しない生徒、依存し続ける利用者を野放しにする『嫌われない』指導者が『善』でしょうか?残念なことに、おおくの福祉職員が利用者に振り回されて、挙句は虐待案件にまで持ち込まれる例も複数相談を受けました。この中には、仲の悪い職員が利用者に吹聴して利用していたこともありました。

もう少し話を広げると、家族会での相談などでも『子供をしかれない』親が多く存在することにも共通することと思われます。子供に嫌われることを恐れるがばかりに、ついつい甘やかし、やがて収集がつかなくなる、こういう相談事例も幾多も経験しました。

今回は障害とはあまり関係の話題に感じる方も多いかもしれませんが、上記のような『心の甘え』、言い替えれば『依存』こそが、生き辛さの大きな原因になっていると、私自身が学べば学ぶほどに感じることです。(先月のコラムでも依存についてお話ししています)私個人は、昭和の時代の雷親父的な頑として曲げない存在が平成の時代のゆとり教育の中で消えて言った弊害のように感じています。昭和が正しいとか、そういう問題でなく、人の成長には『優しさ』と同じだけの『厳しさ』の存在が必要だと、学べば学ぶほどに感じています。

上記の放デイの職員たちは、指導者として、人として、あるべきことを利用者に諭しただけで、決して暴力や虐待を行ったわけではない。ただ、利用者の都合の悪い事態を招いただけ。そしていつかは利用者はそこに向き合わなければならない、そこを彼らは外しただけです。良かったことに、どちらの事例も事業所側の理解があり、他の職員と協力してあたれているようだったのですが、中には辞めさせたい職員をこんな状況に追い込む事業所も先にふれたように存在します。(私が知る中でも当事支援者を3ヶ月で3人も退職させた事業所がありました。)

最後に、あなた自身は他人から『嫌われる』ことに怯えていませんか?もしそうであれば、無自覚の間に他人を嫌うことで自分が得をしようと行動しているかもしれません。『嫌う、嫌われない』は思想信条の自由であって誰もが有している権利であり、嫌われた人間を否定するものでもありません。ほとんどの人が心の中に『苦手な人』や『嫌いな人』がいるでしょう。なのに、自分は嫌っておきながら他人に嫌われることに怯える、なんて道理が通りませんよね。だから、私を嫌う人がいてもその人の権利として受け入れます。そうすると何も怖くありません。もちろん、嫌いだからと言って陰口をたたいたり、直接的に存在を否定するような言葉を投げかけるとそれはもはや暴力なのでご注意くださいね。あくまで思想信条の自由は心の中に留め置くものですから。そして、それら暴力的な行動を行ったものが酬いを受けることになるだけ。なので嫌われても毅然としてしていてくださいね。そして、『嫌っても意味がない』『嫌った自分の方が損をする』ということを利用者側も学ぶことにより一歩依存から抜け出せることになります。先にも述べましたが、今回は障害福祉だけでなく教育や人間の成長、自立についてとても大切なことだったと思うのでお話しさせていただきました。

公式ブログ https://ameblo.jp/suzie-net

Kei(ケイ)スズキ

Kei(ケイ)スズキ

いずみハッタツ友の会代表、高知大学農学部卒
放送ディレクター、スタジオ・ミュージシャン、カメラマン、道化師、学習塾経営など職を転々とする。10年の鬱の後に発達障害の診断を受ける。現在は福祉職員として当事者目線での支援を行う傍ら、ピアカウンセリングサポートにも積極的に関わる。自称『人生を楽しむパイオニア』
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