今の自分のままでいい~自分の個性を再確認して

その他の障害・病気 発達障害

出典:Photo by Kumiko SHIMIZU on Unsplash

32歳の時に広汎性発達障害と診断されてから10年……カウンセリングを受け続けています。その中で自分の考え、気持ち、相手と話すときの目線、姿勢などコミュニケーションにおいて少しづつ気づきが増えて、色々な人たちに出会いコミュニケーションが取れています。

今も、これからも、自分は発達障害と向き合っていきます。慌てずに、焦らずに、自分のペースで歩いています。

学生時代を振り返ってみると

学生時代は「できないこと」が多すぎて周りに責められてばっかりでした。小学生の時、授業で先生に当てられたとき答えることができず、授業が終わった後一人残され問い詰められたことがありました。それ以外にも「できないこと」で先生によく怒られていました。小学生の時に限らず学生時代はいろいろと先生に責められることが多かった気がします。私の「できないこと」の多さに先生方がイライラして怒りをぶつけられているような気がしていました。

怒る叱るは違うと思います。「怒る」は相手を思いやることなく一方的に自分のイライラをぶつけていることで、それをされて相手がどう思うか全く考えていません。それに対して「叱る」は相手のダメなところを改めてほしいという相手への思いやりが込められています。(先生方が私に愛情をもっていたかどうかは定かではないですが)

先生方の行動が「叱る」だったら良かったのにと思います。もし叱ってくれていたら、できない自分自身を責めることもなければ、周りからも「何でできないの?」と責められることはなかったはずです。

カウンセリングを受けて10年

32歳のとき学生時代のことや日々の出来事から、「もしかしたら何かしらの心の病なのではないか」と思い立ち、インターネットで障害や心の病のことを調べました。しかし自分が「そう」だと認めたくなくて、なかなか病院へ行く気にはなれませんでした。しかし結局、親について来てもらってですが、心療内科の病院へ受診しました。

病院で診察を受けたあと発達障害の検査を受けることになりました。テストの内容は計算や図形の問題があったと記憶しています。結果は「広汎性発達障害」。それを聞いた時、ショックを受けました。「何で……今?今わかっても意味がない」と。それからカウンセリングを受ける生活が始まりました。

カウンセリングを受け始めた頃は他の人の悪口や愚痴ばっかりでした。先生の顔も見れず、目線も下がったままで問いかけに答えることもできませんでした。答えることができてもはいいいえだけでした。

カウンセリングを受ける前は、家族以外と話すことが全くと言っていいほどありませんでした。時が経つにつれて、他の人の悪口や愚痴などマイナスなことはほとんど言わなくなりました。最初の頃は漠然と「どうすればいいんですか?」と相談することだけでしたが、今では自分のことも周りのことも客観的に考え、自分の意見を先生に伝えられるようになりました。また、先生の意見に違和感を感じたら、「私それは違うと思うんですけど……」と自分の考えを言えるようになりました。

診断を受けてから10年たった今、やっと自分の障害を前向きに捉えて、向き合えています。そして、先生とだけでなく他の人とも話すことにも慣れてきています。

社会への一歩を踏み出して

カウンセリングの先生の勧めで、今、就労支援施設に通っています。最初、見学をしようと、ひとりで行こうと試みましたが、怖くて入ることができず、区の基幹相談支援センターの支援員の方の力をお借りしました。 見学から月日が経って、体験通所することになりました。体験通所を重ねるにつれてテキストの音読や、当てられて意見を求められるなど、学校みたいで小さいころに味わった嫌な気持ちがフラッシュバックすることもありました。さらに、ビジネスマナーやコミュニケーションの技術、応募書類の書き方など知らない事が多々あり、「今まで自分は何をしていたんだろう……」とショックを受けました。「そうじゃない!新しいこと学べたんだからいいんだ!」と思おうとしても、当時はやはりショックの方が大きかったです。

ある時から心が引き締まることに……

本通所が始まり、訓練のうちにいっぱい失敗して慣れておこうとして声をかけて、スタッフの方に声をかけました。しかしタイミングが悪く仕事中だったので、注意を受けてしまいました。注意の理由に納得しました。この注意は自分のためだったと。

それにもかかわらず、同じ失敗をくり返してしまいます。頭の中でわかっているのに、考えすぎて、頑張りすぎて、また同じことを繰り返します。そして、失敗したことを後悔し、自分を責めすぎて、行動に移せなくなってしまいます。ときには過去の嫌なことのフラッシュバックを起こすことさえもありました。

就労移行支援の訓練生は自分より年下の人がほとんどです。その人たちのスピードについていけなかったり、周りを見渡すと他の人と比べてしまいます。「人と比べて自分はダメだ」と自分のできなさに落ち込んだり、独りになると失敗したことを思い出し泣いていました。

しかしある女性スタッフのアドバイスで心が楽になりました。

「周りと比べなくていいよ。過去の自分と比べたらいいよ」「過去の自分と比べて、今の自分ができているところ見つければいいよ」と。

「確かにそうだなぁ」と思いました。思い返してみると、施設に通うようになってからできることが増えています。人に話しかけられるようになっていたり、会話も長く続いていたり、多少の嫌なことでも、場の空気を壊さないように笑って返せるようになりました。

おわりに

学生時代、カウンセリングの時間、就労支援施設での訓練などで、今まで自分が蓄えた力は絶対にムダにはならないと思っています。「周りよりも」ではなく「自分にできること」を見つめて、自分の得意なことに力を発揮していきたいと思っています。

カウンセリングの先生に教わったことですが、「何事にも行動するのに早い遅いはない!」今、自分はこの言葉を実感しています。人生をふりかえって「あの選択は正しかった」と心から思います。周りとスピードが違っても、自分のペースで動いてみようと考えられているから。

3's power

3's power

32歳の時に、広汎性発達障害と診断されて今年の10月で10年になる。このコラムを書きながら、自分の今までの人生とカウンセリングの10年を振り返る。現在は、就労支援施設に通って、後悔なく納得して働けるように、訓練に力を注いでいる。

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