コンサータの効果と副作用

発達障害

出典:Photo by Myriam Zilles on Unsplash

ADHDの治療薬に"コンサータ"というものがあります。私が実際に使ってみた効果と副作用について書いていきます。服用しようかどうか悩んでいる方や、現在使用している方の参考になれば幸いです。

あくまで私の場合です。薬の効果や副作用には個人差があるため、必ず主治医にご相談ください。

服用にいたるまでの経緯

私は大学4年生の夏に不注意優勢型ADHDの診断を受けました。卒業後、一般雇用でIT企業に就職しましたが、そこで大きな問題に直面しました。

とにかく眠いのです。眠くて眠くて、しかたがありません。ただ眠いだけではなく、頭痛や吐き気、全身の倦怠感をともない、出勤しても座って意識を保っているだけで精一杯でした。とても仕事どころではありません。まるで徹夜明けのような状態です。

睡眠時間がたりていないのではないかと思い、会社から徒歩5分のところに引っ越し、始業ぎりぎりまで眠れる環境を整えたり、原因を探ろうといくつもの病院を受診しましたが、状況は変わりませんでした。

それだけではなく、決まって14時ごろになると、耐えがたいほどの睡魔が襲ってきて、自分の意思とは無関係に眠り込んでしまうのです。前日早めに寝ても、昼食を抜いても効果はなく、必ず寝落ちしていました。ナルコレプシーの検査を受けたものの、結果は陰性でした。その後も書籍やインターネットで調べましたが、原因はわからずじまいでした。

この件について主治医に相談したところ、ADHDの治療薬であるコンサータの服用を提案されました。私自身、薬に頼ることには抵抗があったものの、強烈な睡魔により業務に支障をきたしていたため、服薬を決意したのです。

   

コンサータの効果

コンサータはドーパミンという脳内伝達物質を増やすことで脳の覚醒度を上げ、ADHDの不注意や多動の症状を抑える効果がある薬です。

強力な薬であるということは聞いていましたが、その効果は想像以上でした。何時間寝ても改善しなかった眠気や頭痛、倦怠感が嘘のように消え去り、意識がはっきりとする感覚がありました。

毎日14時ごろに襲ってくる耐えがたい睡魔も感じず、就業中に寝落ちすることがなくなりました。眠気がないため、業務にも集中することができ、上司からも勤務態度を褒められるようになったのです。

周囲が寝不足や、昼食後で眠そうにしているときも、コンサータを服用している私は、まったく眠気を感じず、毎日安定して業務をこなすことができていました。

コンサータの強力な覚醒効果により、仕事を終えたあとの余暇が充実するようにもなりました。

服用を開始するまでは、ひどい眠気や頭痛を少しでも抑えようと、睡眠時間を長く確保するため21時には布団に入っていました。定時で帰宅したとしても、21時に寝なければならないため、食事とシャワーを済ませるだけで精一杯で、趣味を楽しむ時間がまったくありません。

しかしコンサータを飲みはじめてからは、睡眠時間に関係なく、昼間に眠くなることがないため、毎日0時過ぎまで趣味を満喫することができるようになりました。

コンサータの副作用

あれほど悩んでいた、強い眠気を感じることがなくなって本当に助かりましたが、その代償は非常に大きなものでした。コンサータを服用しはじめてから、重い副作用に悩まされることになったのです。

もっとも顕著だったのは、食欲不振でした。薬が効いているあいだは、まったく空腹を感じないのです。何かを食べようとしても、喉を通りません。もともと朝食はとらないのですが、薬を飲むようになってからは昼食も食べられなくなり、薬の効果が切れたあとの夕食のみになってしまいました。

昼間は一口も食べられないため、会社の同期や先輩から昼食に誘われても断るしかなく、だんだんと食べ物を見るだけで、精神的苦痛を感じるようになっていきました。

1年半ほど服用を続けた結果、43kgあった体重は37kgまで落ちてしまい、食事をとらないことによる慢性的な栄養不足により、コンサータを飲まない休日は、歩いて数分のコンビニに行くことすら難しくなるほど体力が低下していました。

おそらく、体質的に薬が効きやすく、大きな効果を感じられるかわりに、副作用も強く出ていたのだと思います。

コンサータをやめる決意

コンサータを約1年半服用して、最初こそよかったものの、食欲不振、緊張型頭痛、動悸、不眠、全身の関節の痛みなど、あらゆる副作用に苦しみ、体調が悪くなる一方であったため、2020年の夏に主治医と相談のうえで、服薬を中止しました。

そして、それは今の会社での就労をあきらめるということでもありました。コンサータを飲まなければ、眠気に襲われてしまい仕事はできません。しかし服薬すれば副作用により、いずれは身体を壊してしまいます。薬を飲まないのであれば、退職する以外に道はありませんでした。

現在はコンサータを飲まなくても就労できるような方法を探して、就労移行支援事業所に通っています。

コンサータは私のような強い眠気に悩まされている人にとっては、大いに効果を発揮するかもしれません。しかし人によっては、重い副作用がでる可能性もあります。主治医と相談のうえ、服用するかどうか、あるいは中止するのかを決める必要があります。

いずれにせよ、薬の効果と副作用をよく理解したうえで、自身の障害とうまく向き合っていきたいものですね。

参考文献

【大人の発達障害 ADHD治療薬について|疾患について 名古屋市瑞穂区の心療内科・精神科あらたまこころのクリニック】
https://www.mentalclinic.com

Majiko

Majiko

大学4年生のときADHDと診断される。一般雇用で2年半就労するも体調不良により退職。現在は就労移行支援事業所に通いながら再就職を目指して奮闘中。モットーは浅く広く。

注意欠陥多動性障害(ADHD)

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