双極性障害の症状~過去の自分を振り返って

うつ病

出典:Photo by Sandro Schuh on Unsplash

最初に「うつ病」と診断されて15年が経ちますが「双極性障害」と主治医から説明を受けたのはつい先日のことです。

これまで転院を繰り返して主治医が変わることが多く、病名を聞いても答えてくれない主治医もいたことや一度措置入院をされたことで将来に悲観的になっていたこともあって、病気に対してあまり考えることをせず「ずっと薬を飲み続けなければいけないんだろう」「このまま何かが変わることもないのだろう」としか考えていませんでした。

現在、就労移行支援事業所に通所するなかで「まずは自己理解を深めることが重要です」とアドバイスをいただいて、自覚のない症状の把握と対処法を身につけるために、明確に聞いていなかった病名について改めて主治医に聞くことにしました。前任の退職により昨年4月に代わった主治医からは「双極性障害で双極Ⅱ型のように思えるが、躁うつエピソードから考えるとⅠ型ですね」と説明を受けました。

主治医から説明を受けたあと自分で調べたり学んでいくなかで、自分が「双極Ⅰ型」にあてはまることがとても腑に落ちて「双極性障害」の症状も過去や現在の自分にあてはまるものあることが分かってきました。

自分にあてはまる「双極性障害」の症状の前に、まずは私の病気の経緯について書いてみようと思います。

病気の経緯

発症前の2年間は夜勤や休日出勤、呼び出し対応もある業務を担当していました。日勤の場合でも終電や作業が終わる深夜2時過ぎにタクシーで帰宅したり、帰宅してもトラブルが発生した場合は深夜でも電話が鳴るような状況でした。

次第に夜は眠れなくなり、眠っていても携帯電話のマナーモードが一度振動するだけですぐ目が覚めるようになってしまいました。休日があっても身体の疲れはとれず、気分が落ち込みがちになりながらも、なんとか踏ん張って仕事を続けていました。しかしある日突然、家から出られなくなってしまって「睡眠障害」と「うつ病」の診断を受けて休職することになりました。

6か月休職したあと復職しましたが、休職者に対する会社の方針が産業医から聞いていたものと違い、人事総務担当者と衝突することも多くてかなり苦労しました。復職したあとは上司の勧めで異動しましたが、異動先の職場に馴染めなかったり、業務も慣れないものばかりでした。相談がうまくできなかったこともあって、ストレスを強く感じる状態は続き、体調も安定せずにその後も休職と復職を繰り返していたのです。

「もう一度普通に働けるようになりたい」と思っていましたが、気持ちが空回りするばかりだったある日、自宅で興奮状態となりベランダで暴れていると通報されて、3か月間措置入院を受けました。周りの人の話では、措置入院の直前はテンションが高くてよく喋り、些細なことですぐに怒っていたそうです。

退院後1年間休職している間、転院を繰り返すうちに「躁うつ病(双極性障害)ではないか」と診断を受けました。その後は復職したものの安定して働けない状況は変わらず、10年勤めた会社を辞めることになりました。

退職後は通院をしながら職業訓練にいったりしましたが、就職して働きだしても「思うように働けていない」と絶望感が強くて、最初は面白いと感じていた仕事が億劫に感じてしまい、長続きせず転職を繰り返していました。これまでずっとクローズで働いていましたが「これ以上クローズで働くことは難しいのかもしれない」と強く思うようになり、休職が続いたこともあって、勤めていた会社を昨年1月に退職して「就労移行支援事業所」に通所することにしました。

「双極Ⅰ型」とは

「双極性障害」は絶好調な状態から最低の状態へと両極端な状態を繰り返す病気です。誰にでもある「気分の浮き沈み」を遥かに超える激しく病的な症状が一定期間に現れて、困った問題が次々と起こります。

「双極性障害」にはⅠ型とⅡ型があり、私の場合は「双極Ⅰ型」と診断され、Ⅱ型よりはっきりした躁状態とうつ状態が表れるタイプです。

「躁状態」は気分が高揚して異常なほどハイテンションになった状態で「これが本来の自分だ」と感じたり「自分はなんでもできる」と万能感を強く持ちます。周囲の人から見ると、明らかにいつもとはまったく違う人になったように感じます。

「躁状態」は急に起こってコントロールができなくなってしまい、トラブルを起こしたり自分や他人を傷つけることを防ぐために入院が必要になることもあります。「躁状態」が一度でもあれば、うつ状態がなくても「双極Ⅰ型」と診断されます。

「双極性障害」の診断が難しいといわれるのは「躁状態」から始まったとしても、本人は病気の自覚がないため、受診しようとはせず「うつ状態」になって初めて受診する場合が多いからです。受診したとしても「躁状態」のときは「本来の自分の姿」だと思っているので、本人が医師に「躁状態」であったことを話すことがあまりないことから、多くの場合、最初は「うつ病」と診断されます。

私は「躁状態」の自覚はありませんでしたが、措置入院をしたこともあり、主治医から「双極Ⅰ型」と診断を受けました。

自分にあてはまる双極性障害の症状

過去の自分にあてはまる「躁状態」の症状をエピソードをふまえて挙げてみると、自分の考えていることが正しいと自分の意見を言い続けて、上司が理解を示さないと「なぜ理解できないのか」と攻撃的な口調になり「(部長や課長は)おかしいのではないか」と暴言を吐いてしまったことがあります。

自分は何でもできて思いつくことがすべてできれば「自分はすごい人間になるはずだ」「自分には間違いなんてない」と根拠もなく思い込んでしまうことがありました。

電車で服装について一言交わしただけの外国人と話続けて「今度一緒に飲みに行きましょう」と言われて名刺をもらい、後日連絡をとったことがあります。(連絡したのは一度きりで、実際には飲みにいくことはありませんでした)

携帯電話に登録している友人に電話をかけて、一方的に話続けて電話を切ると、次の友達へ次々と電源が切れるまで電話をかけ続けてしまったことが何度もあります。

仕事で作業トラブルを対応したメンバーが報告メモを書いていなかったことに対して、怒り続けて業務に支障をきたすぐらい落ち込ませてしまったり、何度も同じミスを繰り返す人には怒鳴り散らすこともありました。

今必要かどうかを判断せず、思いつきで買い物を続けてしまい、購入した商品が届くと「なぜ購入したんだろう」と思うことがあったり、気前よくお金を使ってしまうこともありました。

自分にあてはまる「躁状態」の症状は、発症前後や発症後3年ほど経過して措置入院をした時期に多くみられました。主治医からは「双極Ⅱ型のようにも思えるのは、今のところ躁状態の症状がみられないから」と説明を受けました。

自分にあてはまる「うつ状態」の症状は現在も頻繁に現れます。将来に対する不安や焦燥感、絶望感が強くなると、激しく落ち込んで考え込んでしまい、憂うつな気分が何日も続いてしまいます。激しい落ち込みを感じているときは表情が硬くなり、無表情になってしまうことが多いようです。

残業が何日も続いたり、帰宅時間が遅くなる日が続いたときには「ずっとこのままの状態で働き続けなければならないのだろうか」と悲観的になり、翌朝、気分がひどく落ち込でんでしまうことが多くなると感じています。

朝、気分がひどく落ち込んで憂うつな気分が続くと、会社にいこうと家を出ても欠勤してしまうことがあります。一度欠勤してしまうとなかなか立て直すことができず、ズルズルと1週間以上欠勤が続いてしまうことが多いです。

他の人と比べて「自分はダメな人間だ」と考えてしまうことが多く「自分ができることは誰でもできる」とも考えてしまいます。業務量が少なく時間を持て余していると感じてしまうと「このままでは自分はダメになってしまう」と考えるようになりがちです。

仕事でミスが続いたり、自分がした作業に修正や指摘されることが多くなると「この仕事はもうやっていけない」「自分よりも他の人がした方がいい」と仕事を続ける自信がなくなり、落ち込んでしまいます。「周りの人に迷惑をかけている」と感じて避けるようになり、視線も合わせようとせず話すこともなくなるようです。

疲れを強く感じると十分に睡眠をとっていても疲れがとれず、背中がひどく痛くなったり、たまにギックリ腰になってしまうこともあります。

物事がうまくいかないことに腹を立てて、自分自身にイライラしてしまうことが多いです。

現在の状態

過去の自分の症状を振り返ってみると、現在は「躁状態」だったり「うつ状態」であったりと上下している状態ではなく、症状が落ち着いている状態が続いていると感じています。しかし「うつ状態」になってしまうことはよくあると自覚していて「うつ状態」になるときはストンと一気に落ちて、1か月から2か月ぐらいかけて緩やかに回復していくように感じています。

私は通所している就労移行支援事業所で周りの人からは「穏やかで怒ることがなさそう」とか「怒っているところを想像できない」と言われることが多いので「躁状態」になったときは周りの人に指摘してもらうことで、自分が自覚するよりも早く「躁状態になっている」と気づくことができるのではないかと思います。

さいごに

私はこれまで自分の病気について考えることがなかったので、とても時間がかかりましたが、過去を振り返ることで自分の「双極性障害」の症状について少しずつ理解することができました。

過去を振り返ることで嫌な気持ちになったりするかもしれませんが、自分の病気や症状が把握できていないと感じている方は、一度ゆっくりと過去を振り返ってみる時間を作ってみてはいかかでしょうか。

参考文献

『知っておきたい双極性障害』 加藤忠司監修 翔泳社 初版第4刷 2021年 10p,11p,12p,13p,16,17p,18p,19p,20p,21p,24p,25p

KIA KAHA

KIA KAHA

「KIA KAHA」はニュージーランドのマオリ族の言葉で、「強くあれ」という意味です。
通院を始めて15年が経ち、「双極Ⅰ型」と診断を受けています。
現在は就労移行支援事業所に通所して、オープンでの就労を目指しています。

双極性障害(躁うつ病)

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