当時の私に伝えたいこと~双極性障害と向き合い続けた20年

双極性障害(躁うつ病) 仕事

出典:Photo by Jonatan Pie on Unsplash

双極性障害という病気になって、20年あまりがたちます。発症したのは、社会人になって半年がたったころです。きっかけとなったのは、残業時間の急増でした。長い時間をかけて、自分と向き合い続けてきた今、もし、戻ることができるのであれば、当時の私に伝えたいことがあります。

初めての精神科受診

私は、双極性障害という病気と20年あまり付き合ってきました。社会人になって半年がたったころ、残業時間の急増により、精神的に疲弊し、気分の落ち込みがひどくなりました。精神科を受診し「うつ病」と診断されました。その半年後、睡眠薬を大量服用し、自殺未遂を起こしました。3か月の入院をへて復職しました。

きっかけ

入社後、半年間は準社員として扱われ、その後正社員として登用されました。しかし、配属された職場は残業が日常化していました。入社当初こそ、定時で退社していましたが、徐々にその回数が減っていき、正社員に登用されてからは、残業時間は月40-60時間になっていました。

しかしながら、新入社員という立場では、直接、上司や指導社員に改善を求めることはできませんでした。

ただ、指導社員は、私に負荷がかかっていることを十分理解していたので、こっそり私の業務をサポートしたり、話を聞いたりしてくれました。指導社員もまた、直属の上司には改善を求めることはできなかったのです。

指導社員との人間関係はうまくいっていたため、自分が置かれている現状に問題があると認識しながらも、そのまま受け入れてしまいました。

当時の私に伝えたいこと

その一方で、他部署に配属された同期たちは、同じ職種でありながら、定時で退社していました。

もし、当時に戻ることができるのであれば、自分が置かれている状況と同期たちが置かれている状況、両方の事実を冷静に受けとめ、理解することから始めると思います。

そして、それらの事実を社内の信頼できる誰かに、感情的にならずに相談します。

そうすれば、何かしらの動きが生まれ、状況を打破できるチャンスが広がるように思います。

今の私ならできること

必要なのは、最初の一歩を踏み出す「勇気を持つこと」だと思います。そして、その勇気を生み出す言動力となるのは、「みんな残業しているから、私もしなければならない」、「新人の私が、自分の考えを言ってはならない」といった、「~しなければならない」という、自分の思考のクセに気づき、修正することだと思います。

当時の私は、そもそも「思考のクセ」という概念すらなく、それゆえ、自分がそういった思考のクセを持っているということに思いがおよぶ余地すらありませんでした。

しかし、今は違います。長い時間をかけて、自分と向き合い続けてきた今なら、自分の思考のクセに気づき、正しい方向へ軌道修正できます。

さらなる試練

話を少し戻します。ここまでは、人生で初めて精神科を受診するまでのお話です。

そして、さらに私は追い詰められていきます。

残業時間の急増により、精神的に疲弊している私に、追い打ちをかけるような事態が待ち受けていました。それは、私のスキルを越えた内容の仕事の依頼でした。差し迫った緊急性があったわけではありませんが、部署としてはそれなりに重要な仕事でした。

部署では、さまざまな手順書がありました。それぞれの手順書は必要に応じ、その都度作成されるため、既存の手順書と重複したり、整合性がとれていないところが多々ありました。また、名称や用語が時代の流れにより、新しいものに置きかわっており、改訂が必要な手順書が数多くありました。

しかし、緊急性や優先度の高い業務に追われ、これらの作業は、長い間、放置されたままでした。そこに、私があてがわれたのです。

そもそも私には、部署内にどんな手順書がどのくらいあるのかすら分からず、初めて目にする手順書がほとんどでした。手順書を使い慣れているベテラン社員でも、手を出したがらない仕事で、今から考えれば、無理難題といっても過言ではありません。

仕事を依頼された時点で、とても私の手には負えないと認識していましたが「依頼された仕事は引き受けなければならない」という思考に囚われ、身動きをとることができませんでした。

「できそうにない」と先輩社員に話したりはしましたが「しなければならない」という思考に囚われていたため、本当の気持ちを伝えることができず、相手も深刻には受け取らなかったと思います。

残業時間の急増によりストレスが蓄積していた私は、限界に達し、壊れてしまいました。

成長した私

以上の事例から学べることは、ふたつあります。

ひとつは「~しなければならない」という自分の思考のクセを認識し、正しい方向へ修正することです。

もうひとつは、ひとりで抱え込まず、早い段階で周囲に助けを求めることです。

今の私なら、どちらも実践できると自信をもっていうことができます。

この20年間、双極性障害という病気に翻弄され続けてきました。しかしながら、逃げることなく、自分と向き合い続けてきたことによって、ここまで成長することができたと思います。

これからも、自分と向き合い続け、成長していきたいと思います。

ハナミズキ

ハナミズキ

一人暮らしをしています。ドラマを観たり、ラジオを聴いたりして気分転換します。育てているサマーキャンドルという植物が、今年もたくさんつぼみをつけています。初夏ごろ、花を咲かせるのを今から楽しみに毎日成長を見守っています。

双極性障害(躁うつ病)

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