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連載コラム2017.7.30

ほんの少し先を 『心の一歩 』vol.7

ほんの少し先を 『心の一歩 』vol.7
『心の一歩 』 vol.7 <毎月30日連載>

今は今しかない。「今」出来る事を「後悔」しないように精一杯生きる。多くの人達が語っているし、実に当たり前のことだ。しかし、私自身、心底それで生きていくのは難しい。

脊髄小脳変性症。この病気が確実に緩やかに進行している。が故に、文字には起こせないような恐怖や不安はある。今は今しかないと分かっていても、過去の自分、今、未来の自分を思うと心が打ち震える。先月まで出来ていたことが、今はできない。来月はもっと出来なくなるであろう。

誰かにすがりたい。神様にしがみつきたい。分かっている。この恐怖から、この病気から、誰も何も助けてはくれない。この病気が突然、治癒することは無いのだから。自分の運命を恨みかける。

今、考えてはダメだ。あとで存分に考えればいい。目の前だけを見つめて一歩踏み出す。根拠は無いけれども、未来の自分を信じてみよう。結果がどうであれ、とにかく一歩踏み出せば後悔はしないだろうと。

車椅子を漕ぎまくった1か月だった。数年、愛用してきた杖とはサヨウナラをした。全身が震えてしまうのでこれ以上、杖の生活は危険極まりなく、決断したのだ。

車椅子に乗り始め、最初は腕が辛く、すぐに筋肉疲労で使い物にならなくなった。ただでさえ、思い通りに動かないのだからこれは大変だった。また、外出時に使い出してみて、他人や社会からの思いやりを感じることは多々あったが、それ以上に不満もつのっていった。

感謝することも本当に多いけれど、愛を欠く事柄や心無い差別に幾度となく接していると、心が折れることの方が大きくなってしまう。でも、もう少しだけ考えて頂ければ、格段に良くなる施設や設計があるし、少しだけお互いに気持ちを口に出し合えば、より良くなる環境があることに気が付いた。落胆している場合じゃないな、そういったことを少しでもいいから是正していきたい。そうなるように行動していきたいと、いつの間にか思うようになった。

車椅子生活を選択することは、私にとっては恐怖そのものが形になるような感じであった。進行する身体の震えや眼振。杖を離れて車椅子に乗るということは、深刻化する病気の跡を追っているようで、自分自身には受け入れがたいものだったのだ。しかし、乗り出してみると前に進むことに必死で必死で、何だか前よりも筋肉がついてきたような気もするし、障害者として不服に思うことから産まれた社会への提案というか、そういう気持ちも芽生えてきた。

不慣れな車椅子生活に入ったけれど、1か月も経つと何だか慣れてきて、順応できた自分自身に驚くこともある。いずれは電動車椅子になるであろう。それがいつかは分からず、また不安と恐怖の思いを繰り返すかも知れない。けれど、その時、新しく気が付くこともあるだろう。自分に課せられた運命でしか、気が付けないこともあるのかも知れない。それをまたどこかで発信していければ、何もしないよりは少しでも何かの役に立つことがあると思う。自分にしか出来ないこともあるだろう。

考えていても何も始まらない現実があった。今は一歩一歩、今度は目の前のほんの少し先をみて、踏みだしてみるしかないか。

ライタープロフィール
 佐久間 勇人(さくま はやと)
佐久間 勇人(さくま はやと)

約7年前、小脳が萎縮し、伝達神経系が徐々に破壊されていく神経難病脊髄小脳変性症であることを知りました。そこから今日までは沢山の経験・後悔がありました。人と出会い、生まれた笑顔、そのありがたみを人一倍感じとり、今まで気が付かなかったようなことを学べてきたような気がします。
ハンデがある。でも、それは「個性」でもある。そう思うようになった時、生き方がかわりました。そして、障がい者水泳というスポーツに出会うことが出来たのです。
目標を持ち、チャレンジし、全国障害者スポーツ大会(2015わかやま大会・2016いわて大会)においては新記録を樹立しました。まだまだやりたい。まだまだチャレンジしたい。継続していくことに最大の意義があると思います。何もしないで、後悔するのではなく、「いま」できることを思いっきりやりたい。
限りある時間の中で出会うべくして出会えた“こと”。体験の中で見つけた思いをお伝えしています。

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