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連載コラム2016.11.25

サービス化以前の思いやりを<後編>(セコラム!第4回)

サービス化以前の思いやりを<後編>(セコラム!第4回)
『セコラム!〜伴走者の立場から障害福祉を考えてみる〜』 vol.4 <毎月25日連載>

前回の記事「サービス化以前の思いやりを<前編>」の続きです。

脳性マヒの人と一緒に行った東京旅行ではハプニングがあり、楽しみにしていたライブが見れなくなるかもしれませんでした。そのピンチを救ってくれたのは…。今回は「サービス化以前の思いやり」を感じた体験談を紹介します。

数年前、電動車イスに乗る脳性マヒの人と一緒に、日本を代表するフォークシンガー友部正人のライブを観に、東京へ行きました。会場となるライブハウスに「こういう障害があり、電動車イスに乗っているが、入店可能でしょうか」と事前に連絡を入れ、入店可能と確認をしていました。しかし、ライブハウスへ到着してみると、ライブハウスはバリアフル。ライブハウスに入るには、急勾配な数十段の階段を下りなければいけません。エレベーターはない。彼は怒りを通り越したあきれた表情を浮かべながら、事前に入店可能と確認した旨をスタッフに説明しました。

「僕らが持ち上げるから車イスでも入れますよ。だから入店可能と電話で伝えました」とスタッフは返答し、総重量300kgに達する電動車イスに乗った彼をスタッフ6人掛かりで持ち上げ、1段1段ゆっくりと階段を下り、無事にライブハウスに入ることができました。

東京までライブを観に行ったのにライブを見ることができないというピンチを救ってくれたのは、ライブハウススタッフの「サービス化以前の思いやり」でした。


ライブハウスに入ってからも、車イススペースを作ってくれたり、ドリンクを頼んだら「ストローいるよね」と言ってくれたり、「彼にはどういうことに配慮したらいいのか」と想像し、その配慮が必要と決めつけて提供するのではなく、その配慮が必要かどうかを提案してくれました。でも障害があるからといって、普通のサービスが享受できるようにする配慮以外は特別なサービスはなく、特別な客として接するのではなく、あくまでも普通の客として接してくれました。

彼らの意識のなかに福祉の考えが無意識に溶け込んでいました。サービスを受けている側が福祉っぽさを感じないくらい、彼らはごく自然にサービスのなかに福祉を取り入れていました。福祉が自然に溶け込んでいるサービスこそ「サービス化以前の思いやり」ではないでしょうか。

ライブを見るようにするには何をしたらいいのか/黒板が見えるようにするにはどうしたらいいのかを想像し、提案。そして提供。車イスを持ち上げ、階段を降りたからライブを見ることができた/黒板が見える位置に席を移動したから黒板の文字が見ることができた。

障害があるからできないだろうと考えることは、社会が障害をつくっていると置き換えることができます。その考えをぶち壊すのが「サービス化以前の思いやり」。障害があるから「できない」を障害があっても「できる」に変えていくべきで、社会が障害をつくるのではなく、社会が障害をなくす存在に変化していかなければいけません。私たち1人ひとりが「サービス化以前の思いやり」を持つことが、その変化をもたらすきっかけとなるでしょう。

ライタープロフィール
世古口 敦嗣(せこぐち あつし)
世古口 敦嗣(せこぐち あつし)

障害者支援を通して、あらゆる人の「らしさ」があふれる社会を目指す
介護福祉士。
音楽や映画に携わる仕事がしたいと思ったが、
就職活動にことごとく失敗し、
風の吹くまま流れに身を任せて障害福祉の世界へ。
働いているうちに、より多くの障害者の
「したい」を「している」に変えたいという思いが高まり、
なんとなく始めた仕事が仕事を超えたライフワークへ。
また、福祉系若者ユニット「真っ向勝負」や
医療福祉エンターテインメント集団「NPO法人Ubdobe(ウブドベ)」でも活動し、マルチに福祉に関わる。

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