Photo by Kenny Eliason on Unsplash

マジョリティとマイノリティは単に数で決まるものではありません。ごく少数だからといって、世界長者番付の上位30人がマイノリティとはなりませんよね。実際には上下関係や社会的地位など別の要素が複雑に絡んでいるものです。どこかで載せましたが、マイノリティとはマジョリティが無視できる存在であるとも言われています。

最近、ある都市伝説が再燃しました。「飯盒炊爨（はんごうすいさん）AV」という都市伝説です。飯盒炊爨は「飯盒（はんごう）」という器具を使った調理法で、林間学校で体験した人もいるでしょう。炊飯器が発明されて久しい今も「はじめチョロチョロ、中パッパ」が生きている一幕です。昔の2ちゃんねるに、とあるアダルトビデオの中で飯盒炊爨が扱われたことへの書き込みが元の都市伝説だそうです。

書き込みの内容はこうです。キャンプ（のちに林間学校と判明）を題材とした企画モノAVで、女優の一人が「飯盒炊爨とかやるの？」と言いました。すると周りの出演者一同から「“すいさん”ってなんだよ、“炊飯”だろー」と馬鹿にされてしまいます。しかも編集スタッフまでご丁寧に「×飯盒水産（原文ママ）」とテロップを出す徹底ぶり。その女優は「そっか、間違えちゃった」と周りに合わせたものの、後はおバカキャラ扱いされたそうです。

実は炊爨（すいさん）も炊飯も同じ意味なので、飯盒“炊飯”も間違いではありません。ただ、「飯盒炊爨」も間違いではないのに、集団の無知と圧力で間違いにされてしまったのが問題となります。このような「周りが無知なせいで間違いにされてモヤっとした」という経験は共感を集め、定番コピペの一つとなります。そして、類似の事例が出ると、時々このコピペが登場します。

このコピペは「都市伝説」の側面も持っていました。書き込みで語られていたAVが何なのか、15年の間謎に包まれていたからです。一時は「そのAVは存在しないのではないか。書き込みは創作ではないか」と疑われたこともありました。しかし、ここ最近になって、2004年に発売されたビデオに該当のやり取りがあったと判明し、実在が証明されたそうです。

その場面が台本通りなのかアドリブなのかまでは分かりませんが、どちらにせよ善悪や正誤を決めるのはマジョリティの集団意思に因るところが大きいです。無知どころか誤った知識であっても、正しさだけでマジョリティの暴走を止める力はマイノリティにはありません。

参考サイト

「飯盒炊爨」と「飯盒炊飯」どちらが正しい？おすすめ商品や調理方法も紹介
https://www.bepal.net