踏切用の点字ブロック、奈良市役所で試作品などの体験会
暮らし 身体障害Photo by craig kerwien on Unsplash
視覚障害者の通行バリアフリーにおいて重要な役割を担う「点字ブロック」は、数ある設備の中でも比較的安価かつ短期間で設置できるという特徴があります。晴眼者(視覚障害を持たない人)との解釈のブレから、却って危険な設置をされることもありますが、そのぶん長年にわたって施工の知恵が積み上がってきました。
しかし、点字ブロックの影響力が及ばない所というのはどうしても存在します。電車の踏切内部もその一つで、2022年4月には奈良県で視覚障害者がはねられる死亡事故が発生しました。警報器しか頼れる音が無いので、踏切の外側にいると勘違いされたのが事故の原因と見られています。
この事故を受けて、踏切内にも点字ブロックが必要だとする機運が高まりました。踏切の内側であることを知らせるために、既存と違うデザインのブロックもまた求められます。
翌年10月には、奈良市役所内で試作品の点字ブロックなどを試す体験会が開かれました。突起を三角形にしたり、ハシゴ状に並べたりした4種類の点字ブロックを、会場に訪れた視覚障害者や車椅子ユーザーなどが試し、分かりやすさや使いやすさなどをチェックしています。
事故の起こった踏切では既に内部の点字ブロックを敷き終えていますが、踏切内に設置できた数は関西2府4県で11か所に留まっているそうです。新しいデザインがどれほど安全に貢献できているかの具合も未知数ですし、広まるまでは依然年月を要するでしょう。
点字ブロックの施工は、方法にもよりますが、狭い範囲ならば一両日中には完了するそうです。工事としてはかなり短い日数ですが、施工で踏切内に留まるとなると工事中はその線路が使えなくなるため、交通への悪影響は懸念されます。1~2日でも、線路そのものを封じられる期間としては長すぎますよね。
施工中の交通との折り合いをどうしているのか実際のところは分かりませんが、こういった事情も点字ブロックの広まりを遅らせているのでしょう。しかし、踏切が渡れないとなると線路を超えるには高架下を潜るほかなく、通行ルートが大きく制限されます。これこそが「社会の課した障害」の例であることは少なくとも理解してもらいたいものです。
参考サイト
奈良市役所 踏切に設置の点字ブロック 試作品など並べ体験会
https://www3.nhk.or.jp
踏切内にも点字ブロックを…視覚障害者の死亡受け国交省が指針改定
https://www.yomiuri.co.jp
点字ブロックの施工・やり方・手順や使い方・流れ
http://www.houhou-labo.com
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