左利きと発達障害の類似点~マジョリティとマイノリティ
暮らし 発達障害出典:Photo by Kelly Sikkema on Unsplash
私はほとんどの道具を左で使う左利きです。
別に日常ですごく不便なことがあるとは思いませんし、右利き社会に適応しています。ですが時々、細かな苦労はしていると思いました。
その苦労は多数派(マジョリティ)に対して、左利きが少数派(マイノリティ)であることに起因しているのです。
左利きの日常~社会に潜む小さな苦労
右利きが圧倒的多数派の社会において、左利きは意外と苦労をしています。どの程度信ぴょう性があるかは分かりませんが、細かい苦労の影響なのか寿命が右利きに比べて短いという話もあるそうです。
左利きの人が何に苦労しているのか、右利きの皆さんは少し想像してみてください。
わかりやすそうなところかもしれませんが、道具の中でもハサミは苦労しやすいポイントです。左利きが右利き用のハサミを使うとしっかり切ることが難しいです。野球のグローブなど利き手ごとで完全に分かれた道具は色々とあります。
他にも意外なところで利き手の影響する道具はあります。調理器具のフライ返しは、その筆頭でしょう。形状で右上から左下へ斜めになっているタイプのものは、右利きが右側からフライパンに入れる想定になっています。これを左手で使うイメージをしてみてください。角度が逆向きでフィットせず、使いにくさを感じることとなります。
駅の改札は最も分かりやすいものです。通常、右側に右手で持った切符を入れるかカードをタッチします。これは左手でやろうとすると、腕を右斜め前にクロスするような方法を取ることになります。実際のところ左利きは右手で持つこともあるのですが、利き手で持たないことが不便であるのは分かってもらえると思います。
他にも習字などの毛筆は「とめ」「はね」「はらい」が右利き前提ですし、横書きの文字を書こうとすると手で擦れてしまう可能性があります。
左利きのメリット
そういった少数派ゆえの苦労をしている左利きですが、メリットになるところもあります。
まずは、スポーツなどで数が少ないがゆえの有利です。逆の腕を使うことによって、普段と違う目線や状況が生まれるので、相手は対応しにくく有利になります。特に野球の投手では左利きが重宝されるイメージが私の中では強いです。
他にも生活の中で適応させられるがゆえに、利き手でないほうの手もある程度、使えるようになっています。私の場合はPCのマウスを基本的に右で持ちますし、切符などのものは右手で持つ機会があります。両利きとは違いますが、利き手を骨折しても、右利きに比べると苦労する度合は少し低いと思われます。
また、どの程度科学的な裏付けがあるかはあいまいですが、右利きとは脳の違う部分が刺激で発達している可能性があります。それ以外でも、右利き社会に適応するための工夫は脳を発達させる可能性は高いです。
偏見や差別への不安
多少不便なときはあるものの、それを本人たちもあまり意識することなく生活していると思います。別にいいところもありますし、嫌だと思っている人は少ないでしょう。
しかし、そういう中で気になるのは、偏見や差別的概念を持たれることです。最近は減ってきましたが「育ちが悪い」というワードはひどく差別的なものと感じます。
昔は他人と違うから、または不便だから右利きに矯正するのが一般的ということで、そのことを知らない、大事に育てていない可能性から親が常識的でない、丁寧に育てていないと思うことからきているのかもしれません。異質なものや違いを恐れる社会の傾向が強かったこともあると思います。
仮にそう思う人がいるのだとしても、左利きをそのように見るのはステレオタイプとして悪しき行為です。はっきりした根拠もなく、事実をもとにしない決めつけが大変危険なのはわかるはずです。
幸いにも、現代では右利きに矯正することが子供の脳にとって負担になる話が明らかになりました。利き手を矯正しないことは自然な選択になりつつあるでしょう。
しかし、こういった差別的な考えが残っているのではないかと思うこともあり、私は自分から左利きであることを積極的には伝えません。別に特殊なことではないと思っているので、相手が気付いた場合や必要な場面で伝えればいいとも思っています。
右利きの人が「左利きは天才が多い」というような話をしてくれることは大変嬉しいです。あくまでイメージの話ではありますが、そういうポジティブな扱いをしてくれると少し安心するところがあります。やはり内心で相手がネガティブなことに思うのではないかという不安があるのだと思います。
発達障害と似ている?
私は発達障害でもあるのですが、左利きとは似ている点があると思っています。
例えば、見た目で分かりにくいという共通点があります。発達障害はほとんど見た目に出ないのでより、難しいというところはありますが、左利きも普段の外見からわかるものではなく、ふとした場面での違和感で気づくケースが多いはずです。
他にも、そもそも少数派ゆえに苦労しているというところです。左利きにしても発達障害にしても、純粋な能力の不足というよりも、環境や社会が自分と違うルールで動いているための苦労だと思います。別に左利きだからといって、右利きより不器用なのではなく、右利き用にできている中では能力を発揮できないのです。
上でも述べた左利きにメリットがあるように、発達障害にも強みとなるポイントを持ちます。能力が一般と違うということは、それを活用できる場面であれば活躍できるはずです。
ネガティブな話での類似ですが、やはり差別や偏見があるために明かしにくいというところです。見当はずれな根拠やイメージで悪く捉えられてしまうのであれば、隠すのが自然な流れとなるはずです。左利きのように一般的なイメージの改善があれば、隠さずに済みます。また同じように環境などにも配慮があれば適応できて、おたがいに上手くやっていけるのではないかと思います。
最後に
発達障害と左利きの類似性を説明してきました。様々な点で違うところはあると思いますが、何らかの参考にできるものだと私は思っています。
例えば、発達障害を抱えている右利きの人にとっては、他人からの印象を想像するのに役立つかもしれません。左利きが意外と苦労をしていることを知らなかったと思いますが、それは自分が抱えている苦労と似たようなことになるはずです。
また、能力の性質の違いであるなら、活用すればポジティブなものになりうるはずです。劣っていると捉えて、落ち込むのはもったいないと思います。幸いにも世の流れは少数派の権利について、意識を向けてきています。これによって左利きでも発達障害でもより受け入れが進む可能性に期待を持てます。
しかし、それと同時にあくまで私たちが少数派であることを忘れないでください。左利き向けが基本となる社会に変えてほしい、というわけにはいきません。基本的には右利きに合わせる方が使いやすい人が多くなります。
左利き用の道具のように別枠を用意してもらうか、両利き用やユニバーサルデザインといったように利き手関係なく誰にでも使えるものを求めるのが適切です。発達障害についても、合理的配慮の範疇で、無理な要求をするべきでないことは頭の片すみに常に置いておいてください。
左利きへの偏見は発達障害に比べて少なくなってきましたが、発達障害も同様に世間への理解が広まり、より過ごしやすい社会になっていくのではないかと期待しています。
参考文献
【脳内科医が断言!「左利きと右利きの脳」決定的な差】
https://diamond.jp
【「左利きの矯正」を当然とする社会圧の代償】
https://toyokeizai.net
【脳に悪影響? 利き手矯正の弊害】
https://jr-soccer.jp
【スポーツで左利きはやっぱり有利?サウスポーの秘密!!】
https://sportsneta.com
発達障害