「土曜の祝日」で思いついた、マイノリティ配慮と還元のお話

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Photo by Towfiqu barbhuiya on Unsplash

今年は前年と違い、大型連休が絞られているようです。理由は、一部の祝日が土曜日にあるためです。2月11日(建国記念の日)、4月29日(昭和の日)、9月23日(秋分の日)がそれに該当し、ゴールデンウィークやシルバーウィークに大きく影響しています。

土曜が祝日になると、「休みが減る」「無駄になる」などのネガティブな意見が目立ち、メリットを感じる人はごく少数に過ぎないという論調の記事や投稿が幾つも見られます。土曜が土曜のままでいるより祝日になった方がいいという人は、働き先の定休日や休日への捉え方によりけりですが、相当限られてくるのではないかと思います。

言ってしまえば、土曜が祝日になることで損をする人間の方がマジョリティ側という訳です。

そこで思ったのですが、マイノリティへ向けた「配慮」や「バリアフリー」には2つのタイプに分かれています。他の人にもメリットが還元されるかそうでないかです。マイノリティが快適になるのと、マイノリティしか快適にならないのでは、圧倒的な違いがあるのです。

“しか”がもたらすもの

該当のマイノリティしか得をしないというのは、端的に言えば「不自由のお返し」です。障害の社会モデルに則して言えば、自分に課せられていた障害をそのまま相手に押し返すようなものです。

仮に全ての祝日が土曜日に配置されるとしましょう。実際にそのようなことは起こりえないのですが、あくまで説明のために立てた仮想ということでお付き合いください。「土曜は出勤だが祝日が優先されて休みになる」と喜ぶ人は多少居るかもしれませんが、「元々土曜が休みなので祝日が吸われて無駄になる」か「土曜も祝日も関係なく出勤である」という人がマジョリティではないでしょうか。子どもは特に祝日が土曜に吸われる悪影響を受けやすいです。このように、マイノリティは良くてもマジョリティが割を食うだけでは受けが悪いのも当然と言えます。

結果論でしか語れない部分もある

導入や配慮の後どうなるか、その未来について予想を立てることは出来ても確信することは出来ません。結果論でしか語れない部分も大いにある訳です。

今では当たり前となっている駅のエレベーターを例に話をしましょう。あれは元々、車椅子ユーザーの要望が形になったものらしく、要望があった当初は「エレベーターで楽をするなどけしからん!」と猛反対されていたそうです。

エレベーターをつけるには少なくない費用と専用のスペースが必要となり、そのぶん工事などの手間がかかります。ゆえに当時は抵抗感があったのかもしれません。しかし今では、車椅子ユーザーだけでなく足を怪我した人や足腰の弱ったお年寄りにも役に立っており、社会に受け入れられています。

車椅子ユーザー以外にもメリットがあったことで、駅のエレベーターは全国に浸透しました。配慮がマジョリティ側にも還元される未来を、果たしてどれほどの人が予想できたのでしょうか。予想がついたうえで実行するならば、それに越したことはありませんが、副次効果について正確に予測するのは無理ではないかと思います。それはもう「予言」の域に達しています。

明確なメリットは武器になる

とはいえ、予想されるメリットが明確であれば、交渉の上で大きな武器になります。これはマイノリティへの配慮に限らず、あらゆる宣伝や営業や交渉で言えることです。

例えば障害者雇用です。面倒臭がる企業が多い中でよく使われる語句が、「障害者の潜在能力」「企業が成長するための投資」なのですが、説明しただけで信じてもらえるとは思えません。そこで、実際に企業で活躍する障害者や、成長していけた企業の実例を集めて共有していくのが大事ではないかと思います。実例はそこそこの証拠になりますので、話は聞いてもらえるかもしれませんよ。目先の快不快にしか興味のない近視眼的な手合いが話し相手でなければですけれども。

遥けき博愛の郷

遥けき博愛の郷

大学4年の時に就活うつとなり、紆余曲折を経て自閉症スペクトラムと診断される。書く話題のきっかけは大体Twitterというぐらいのツイ廃。最近の悩みはデレステのLv26譜面から詰まっていること。

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