障害者の目線でバリアフリーを広めたい!〜一般社団法人Ayumi代表、山口広登さんインタビュー
暮らしバリアフリー認証事業に携わる一般社団法人Ayumiの代表理事、山口広登さんにインタビューしました。障害者の視点からバリアフリーの審査やアドバイスを行い、広告やPRを通じて企業や店舗に貢献しています。また、バリアフリー基金や情報サイトの運営にも力を注いでいます。
未来へ期待し続けられる社会を
──バリアフリーの課題を解決するためにどのような取り組みをされていますか?
「2年前に設立し、来年で3期目を迎えます。私たちはバリアフリーの認証事業や広告サイト、バリアフリー基金などを20人のチームで運営しており、13社の企業とも業務提携しています。私たちのミッションは、『未来に期待できる社会に変える』ことです。障害者が『だから』できないことではなく、『にしか』できないこととして捉えられるよう、社会を変えていきます」
──この取り組みを始めるに至ったきっかけがありましたか?
「私のいとこが14年前に車椅子ユーザーになり、元気で前向きだった彼が『できないこと』に目を向けるようになった時期がありました。旅行でバリアフリーの温泉付きホテルを探し、予約したところ、入り口だけがバリアフリーであることが分かりました。温泉を諦めなければならなかった彼の言葉『慣れてるからしょうがない』に違和感を覚えました。ホテルに悪気はなく、私もリサーチ不足でしたが、社会が課題を抱え続けることは望ましくありません。私たちは障害や病気で未来を閉ざすのではなく、未来への期待を持ち続けられるよう事業を続けています」
障害当時者ならではの視点からの取り組み
──具体的な取り組みについて教えてください。
「バリアフリーの実現には、『環境』『認識』『情報』という3つの課題解決が求められます。私たちは当事者の視点からアドバイスや審査を行い、基準を満たした場合には広報やPRもサポートしています。店舗が当事者と相談できる環境を整え、伴走支援も提供しています」
「バリアフリー基金は、事情により導入が難しいけれどもバリアフリーに貢献したいという方々と協力し、Ayumiへの寄付による社会貢献を行っています。私たちは障害を価値に変える瞬間を増やすため、自社開発のコミュニケーションボードなどを企業と連携して活動していきたいと考えています」
──企業やスポンサーとの連携は、具体的にどのようになっていますか?
「最近では、バンクーバーパラリンピック銀メダリストの上原大祐さんをアドバイザーとして迎えるなど、スポンサーとの協力も進めています。バリアフリー認証や情報サイト、寄付金活動を促進するために、Yogiboさんをはじめとする企業とパートナーシップやスポンサーシップを築くことも重要な活動の一環です」
「また、バリアフリー情報サイトで、当事者にとって情報が得られない状況や法人がPRできる場所をつなぐ役割を果たしています」
マネタイズへの展望
──スポンサーを募るための取り組みはどのように進めていますか?
「徐々にオンラインやオフラインのイベントを開催し、協賛企業を募っていく予定です。ロゴをサイトに掲載するだけでなく、Ayumiとの関わりを通じて社会貢献のPRにつなげていただけることを期待しています」
──他にどのような活動がありますか?
「平日は主要な事業に専念していますが、土曜日などは企業の新規事業立ち上げや店舗のマーケティング支援も行っています。バリアフリー認証自体は非収益事業ですので、収益事業への転換を計画する必要もあります」
──バリアフリーと一口に言っても、障害ごとに異なる要望がありますね。
「まさにその通りです。私たちは車椅子ユーザーの身体障害者を中心に取り組んでいるため、他の障害の方々から批判されることもあります。全てを一度にカバーしようとすると、情報量が膨大で何も成し遂げられなくなるジレンマもあります」
「例えば、知識のないままオフィスをバリアフリー化しようとすれば、事故のリスクが高まり、当事者や来客に迷惑がかかる可能性があります。私たちは確実に、丁寧に進めていくことの重要性を他の事業よりも深く理解しています」