えっ、「お里が知れる」って不適切用語なんですか。
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「ホテルをホテルと発音してるようじゃお里が知れるね。この国ではホテルはオテルなのさ。…えっ?じゃ、ホタルはオタルかって?そんな事はシラーヌ・ド・ゾンゼーヌ」(MOTHER2 モブキャラのセリフ)
「お里が知れる」という言葉があります。goo辞書では「言葉遣いやしぐさによって、その人の生まれや育ちがわかる。よくない意でいう」と書いてあり、例えば「反射的に“ガイジ”と口走るなんて、お里が知れるね」なとど言って相手の非常識や無教養を窘める言葉です。「育ちが悪い」「精神年齢が低い」「人格が陶冶(とうや)されていない」といった意味合いを持っています。
実は、「お里が知れる」が差別用語だと憤慨する者たちも居ることをご存知でしょうか。単に「お里」の二文字に囚われて出身地差別だと蒸け上がる、国語力に問題のあるケースもありますが、どうもそればかりではないようです。なお、「お里」とは元々「嫁入りした妻の実家」のことで、平たく言えば成人までの教育レベルを指していました。
キレる理由① 字義に囚われ過ぎ
上述した、「お里」の二文字から出身地差別だと蒸け上がるケースですね。ハッキリ言って、文章どころか文字の読み方にすら問題があります。「片手落ち」「脳死撃ち」などでもそうなのですが、わずか数文字の字義に囚われて全体の意味も考えずキレ散らかすのは、甚だ迷惑としか言いようがありません。
キレる理由② 親や地元まで馬鹿にするな
成人するまでの環境、すなわち親や地元まで馬鹿にするのは卑怯だという声もあります。とはいえ、「俺への悪口は構わないが、仲間を悪く言うのは許さない!」みたいな甲斐甲斐しいものではない気がします。もしかしたら本当にヤンキーの地元愛に似たものがあるのかもしれませんが、大抵は自分が怒られたことへの被害者感情の表れでしかない訳ですね。環境は選べないだの教育格差だの、好きでこうなった訳ではないと言いたげな反論も多いです。いずれにせよ、自身の振る舞いを反省するより先に屁理屈や自己正当化が出てくるのは、いい大人として如何なものでしょうか。
キレる理由③ 語源から気に入らない
語源を知った上でキレる、一番どうしようもない手合いです。元来「嫁入りした妻の実家」を指す都合上、姑が嫁を叱る時の言葉だった訳ですが、そこだけ拾って「現代にそぐわない」「男尊女卑だ」などと拒否感を露わにしている訳ですね。こういう背景があるためか、“自称サバサバ女子”のような女性ほど嫌いやすい傾向にあります。別に男性に対しても「お里が知れる」と言いますけどね。慣用句ですから。
反感を抱く理由は様々ですが、いずれにしても自身の非常識や不道徳や無教養を窘められた際の反応としては「逆ギレ」の域を出ない未成熟な態度です。お叱りに対して言葉尻を捕らえて差別用語だのアナクロニズム(前時代的)だの騒ぎ立てるのは、とても誠実な対応とは言えません。自身の振る舞いを咎められた時、素直に恥じて反省できるのが“強い人間”なのだと思います。過去の成育歴は変えようもないですが、将来の人格はいくらでも陶冶できる筈ですからね。お叱りに感謝しろとまでは言いませんが、自分を見つめ直す“強さ”だけは大事にしたいものです。
参考サイト
マナーうんちく話2123 お里が知れる!大切にしたい「氏より育ち」
https://mbp-japan.com