免許返納後の高齢者を視野に入れた新型車両Unimo、その反応は冷ややか…

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Photo by Jan Romero on Unsplash

私事なのですが、母の運転免許証が存亡の危機にあります。今年の免許更新はなんとか乗り切ったものの、白内障の目薬を処方され始めるなど、次の更新はかなり絶望的です。自主返納の四文字が頭をよぎりますが、地元は田舎ゆえ交通の便が良くないので、生活への甚大なダメージは免れないでしょう。

そんな状況になると自然に視線を吸い寄せられてしまうのが、高齢者の新たな“足”となる存在についての話です。最近、「Luup(ループ)」という会社が新型車両「Unimo(ユニモ)」を発表しました。Unimoは一人乗りの三輪車で、最高速は20キロ。速度制限を6キロにすれば一部の歩道でも使用でき、貸出オンリーでの運用を予定しているそうです。

大きな特徴は「特定小型原付自転車」という分類で、16歳以上であれば運転免許がなくても乗れるという特殊な区分にある事です。つまり、免許を返納した高齢者でも合法的に乗り回せるわけですね。実際に高齢者の利用も想定しており、横転防止のシステムなども備わっているそうです。

なんとも魅力的な話に思えますが、巷の反応は冷ややかなようです。高速な移動手段を与えては意味がないという声もありますが、Luupの企業姿勢もまた大きな要因ではあるでしょう。Luupは電動キックボードなどのシェアリング事業をメインに急展開しているのですが、その電動キックボードに制度が追いついておらず危険運転や迷惑行為といった問題が放置されている現状があります。それを繰り返すのであれば、決していい顔はされないでしょう。また、警察や官僚のOBを雇うことで手続きの壁を突破する強引さも指摘されています。

それを差し引いても、Unimoには二つの大きな穴があります。ひとつは本体の構造。スクーターのような形をしているのですが、荷物を置く場所がありません。精々、足を置く場所に紙袋ひとつが関の山でしょうか。日々の買い物をどうにかするのが大事だというのに、これでは片手落ちとしか言いようがありません。

もうひとつの穴は貸出オンリーの利用スタイルです。専用のアプリを用いて無人ポートから借りる形式だそうですが、この時点で利用できる高齢者というのは限られてきます。貸出拠点もおおかた都市部に集中するでしょうし、地方では利用しづらい、または借りる場所がないことは容易に想像がつくでしょう。買い物弱者に代表される“足”の問題は、地方こそ深刻です。自慢のツールやシステムも、使えないのであれば意味はありません。

結局のところ、Unimoは都会民の自己満足という領域を越えない代物であると思われます。免許返納後の“足”を本気で考えるならば、地方における車への依存性や公共交通機関の貧弱さについてまともに勉強して貰いたいですね。

参考サイト

Luupが新型車両を発表、免許返納の高齢利用者も想定 実証実験へ
https://news.yahoo.co.jp

遥けき博愛の郷

遥けき博愛の郷

大学4年の時に就活うつとなり、紆余曲折を経て自閉症スペクトラムと診断される。書く話題のきっかけは大体Twitterというぐらいのツイ廃。最近の悩みはデレステのLv26譜面から詰まっていること。

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