話し上手より、話させ上手に~電話応対で学んだ3つの心掛け

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出典:Photo by Jude Beck on Unsplash

みなさん、コミュニケーションは得意ですか?それとも苦手ですか?多くの方が「苦手」と感じているのではないでしょうか。かくいう私も、あまり得意な方ではありません。どちらかというと「コミュ症」です。

人付き合いが苦手で、一人でいる方が楽で、自分が好きなことや得意なこと、興味のあることに対しては、それこそマシンガンのように話せます。しかし、興味のない話だとつい違うことを考えて相手に気分の悪い思いをさせてしまったり、相手が話をしている途中で話の腰を折ってしまいます。また、会話が続かなかったり、言葉のキャッチボールができなかったり、気を遣いすぎて疲れてしまったりなどもあります。

コミュニケーションをなんとか改善しようと、それに関係する本や記事を読み漁ったり、セミナーにも何度も足を運んだり。ほかには、うまく行っている人のやり方を真似したりしました。ですが、どれもうまく行きませんでした。

そんな私が今や"コミュニケーション"について色んな場所で相談をされるようになり、「話しやすい」と言ってもらえるようになりました。どうしてそうなったのでしょうか?それは、「3つのこと」を意識して身に付けたからです。

私を変えた思いがけない配属先

私は「コミュニケーション」とは、相手がいるからこそ成り立つものであり、自分だけでは成立しないと考えています。つまり相互関係が大事なのです。それを明確に感じたのが、顔の見えない相手と話す「電話の仕事」に就いた時のことです。

仕事内容は「テレマーケティング」です。オペレーターが顧客に電話をして、商品を購入してもらうという業務で、私はその管理及び教育を担当していました。そこでは、通常業務以外にも随時発生するクレームの2次対応など、数多くのコミュニケーションが必要とされました。

冒頭でもお伝えしたように、私はコミュニケーションがあまり得意ではありません。この仕事を選んだのも、当初は「受電」を希望していたからです。掛かってきた電話注文を受けるという業務内容なら、あまりコミュニケーションは必要ではないと思い志望したのです。しかし、どういう訳か「発信」をメインとする事業部へ配属されてしまいました。

配属後は、驚きと不安で悪戦苦闘をしていたのを今でも鮮明に覚えています。コミュニケーションが苦手だった私は、知らない人に電話をして、商品を紹介し購入してもらうことや、さらにご立腹しているお客様の気分を沈め、納得してもらうクレーム処理などは到底できないと思っていました。

でも、乗り越えることができたのです。

それは、「聴くこと」「共感すること」「広げること」この3つに重点を置いたからです。

では、どのようにして「聴くこと」「共感すること」「広げること」をすればよいのでしょうか?

話すよりも聴くを大切に

「コミュニケーション」と聞くと「話す」ことが大事で、優先されるものだと思われがちですが、「聴く」ことのほうがより大事だと私は考えています。なぜなら「自分の話を聞いて欲しい」「自分を理解して欲しい、認めて欲しい」という欲求を誰もが抱いているからです。

「聴く」で一般的にいわれているのが「傾聴」です。うなずく、あいづちを打つ、目をみる、姿勢を向ける、笑顔になるなど。どれも、相手が目の前にいることを前提にしていますが、電話になれば直接的に相手の反応を見ることはできません。つまり、"見えない相手"とのコミュニケーションです。そこでのツールは「自分の声」しかありません。

「声」で相手に聴いていることを伝えないと伝わらないのです。そこで大事なのが、「はい」「ふんふん」「へ~」「なるほど~」「そうなんですね」「は~」「お~」「確かに」など、相手が話すタイミングに合わせて声を出して、聴いているということを伝えます。

この時、感情を込めて少しオーバーなくらいの方が伝わりやすいでしょう。(いえ、むしろオーバーなくらいのほうがいいです。特に年配の方に関しては……)

クレームに関しては、より重要です。謝罪することも非常に大切ですが、まず優先されるのは感情を全て吐き出してもらうことです。

ここでよくあるのが、こちらに非がない場合(相手による過失の場合)、どうにか納得してもらいたいがために、こちらの事情や言い分を伝えようとしてしまいます。また、感情をぶつけられているというフラストレーションから、耐えきれずに話しをしてしまうというのもよくあるパターンです。

ですが、相手も自分が間違っているのをわかっていても、どうにもこうにも気持ちが収まらず、行き場のない気持ちをどこかにぶつけて解消したいのです。

ですので、「自分を理解して欲しい」という欲求を満たしてもらうために、こちら側が見えない相手に対して、聴いている姿勢を「声」に出して伝えます。感情もある程度吐き出し終えたら、落ち着いてきます。落ち着いているからこそ、今度はこちらの話を聴いてくれるような心理状態になります。

共感とは受け取ること、居心地のいい場所になること

次に大事にしていたのが「共感」です。ここでも、相手の「自分を理解して欲しい」という欲求を満たします。つまり気持ちを"受け取る"のです。

どんな会話にも、感情が乗っていると私は考えています。たわいもない話でも、何かしらの気持ちは乗っています。おもしろい話も笑ってもらえるから嬉しくなり、悲しい話も感情に寄り添ってくれるから心が軽くなります。怒りも同様に悔しさや悲しみといった感情が隠されており、その気持ちを"共有する"ことで「安心」が生まれたりします。

この「聴くこと」と「共感すること」を繰り返すことで安心感が増し、話が広がり相手が心を開いてくれます。心を開いてくれることで信頼感が生まれ、商品の購入やクレームの解決につながることがよくありました。

クレーム処理に関しては、一通り感情を吐き出すと落ち着きを取り戻し冷静になり、ときには憤慨してしまった自分を責めてしまい、挽回するかのごとく、お詫びの代わりにと商品を購入してくれたり、後日謝罪や感謝の電話など、予想もしないようなこともありました。

本当のことは会話の延長線で語られる

自分が悩んでいる時、ツライ時など誰かと話をしたくなったことはありませんか?また、伝えたい事がすぐに出てこない……なんてこともよくあることですよね。

こんな時、話を最後までじっくり聴いてもらえると嬉しいですよね。ですが、最後まで聴いてもらうのはなかなか難しいです。また、逆に自分が相手の話をじっくり聴くということも難しいのが現実です。

「傾聴」と「共感」を繰り返せばある程度話が続きますが、気の合う人以外だと途中で途切れてしまいます。なぜなら、話題の共通点が見つからずネタが尽きてしまうからです。

そんな時、ぜひ使っていただきたいのが「話を広げる」ことです。この「広げる」に効果的なのが「質問」です。

「質問」も相手主体で答えやすいものにしましょう。相手も自分自身のことなので、反応しやすく「自分に興味を持ってくれた」と思い親近感が湧きます。

では、相手主体の質問とは具体的にどんな内容でしょうか?それは、相手の興味への質問です。ヒントは相手の話の中に隠されています。相手の話で気になるものがあればそのまま質問をすればいいのですが、具体的な内容でなくとも、何かしらのキーワードを拾って、それに対して質問します。

相手の言葉をそのまま聞き返すだけでもいいです。そうすると相手は自分が発した言葉なので答えやすく、話が続きます。

この時、注意して欲しいのが、せっかく質問に答えてくれたにも関わらず、「自分は──」など自分の話に変えてしまったり、「あ、そう」や「そうですか」」など、軽く聞き流してはいけません。

相手は何のために質問してきたのか分からなくなったり、時に傷ついたり、悲しい気持ちになってしまいます。そうなると話が続かなくなったりするので、相手が話を続けたくなるようにしっかりと気持ちを受け取りましょう。気持ちを受け取って相手への「理解」を示しましょう。

これにより、相手は本音で話しやすくなり、さらに安心感をえます。つまり、話しやすい環境を作ることが大切なのです。クレーム処理の場合、この本音の部分が非常に大切で、お客様が何に期待し、何を望んでいるのかがわからないと解決できないことが多いです。

「話し上手」は「聞き上手」とよく言われますが、私は「話し上手」は「話させ上手」だと捉えております。

まとめ

「聴くこと」「共感すること」「広げること」の以上、「3つのこと」を意識することで、できないと思っていた電話での仕事ができるようになり、人に教える、管理する役職まで頂くことができました。

ですが、今でもコミュニケーションは得意とはいえるほどの自信はありません。なぜなら、意識しすぎてしまったことによる弊害もあるからです。

コミュニケーションには正解がありません。マニュアル通りにはならないものです。相手によって受け取り方、捉え方が異なり、コンディションやタイミングもあります。あまり考えすぎない方がうまくいく場合もあります。

「コミュニケーションは苦手」という心構えのほうがよいと思います。自分が得意だと思っていても相手にとっては……ということも考えられます。

今回、紹介したものはあくまでも私の成功事例にすぎません。みなさんも失敗と成功を繰り返し、自分なりの方法を身に付けましょう。

オレンジ

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休みの日は家でテレビ見てのんびりしています。
好きな番組はゆる~いローカル番組や、グルメ・ショッピング・観光ロケ番組など。行ったことのない場所に行った気分になったり、食べたことのないものを食べた気分になったり。日々妄想が広がります。

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