京都に松本ハウスがやってきた!家族への暴力は精神障がい者のSOS
イベント11月20日、京都の龍谷大学響都ホール校友会館にて「近畿ブロック家族の集い~ともいきで笑顔あふれる地域の集い」が開催されました。
第1部では大阪大学准教授の蔭山正子さんによる精神障害者から家族が受ける暴力に関しての講演がありました。
これまで家族内での精神障害者の暴力を語ることはタブーとされてきました。今まで家族への暴力を誰にも相談できず抱えてきた家族は少なくありません。中には暴力に耐えきれず殺人にまで発展するケースも発生しています。
蔭山さんは「家族も心の傷を負っている当事者である。家族が家族会、専門家とつながり、適切な支援を受けることで家庭内暴力を予防することができる。親と本人が別居することが有効な手段となることもある。」と話されました。そして「在宅の当事者に対しては、訪問による医療・看護の一層の充実が必要で、入院している当事者については、特に保護室や閉鎖病棟で隔離拘束されている方に対する医療の改善が急務である。」と訴えれらました。
第2部は、お笑いコンビ松本ハウスがコントを交え、統合失調症を抱えながら活動する本人と相方の立場から体験談をお話されました。
中学の時に幻聴が聞こえ、統合失調症を発症したハウス加賀谷さん。病気を抱えながらも「タモリのボキャブラ天国」「電波少年」などテレビで活躍しましたが、1999年病気が悪化して活動休止。10年後になんとか復活を遂げましたが順風満帆ではなかったそうです。
お笑いコンテストで審査員に「障害者を舞台に上げていいのか?」と言われ、差別的屈辱を受けたことも。わざわざチケットを買って応援に駆けつけてくれたグループホームの仲間に申し訳ないと、ハウス加賀谷さんは悔しくて一晩中泣いたこともあるそうです。
相方をずっと支えてきた松本キックさん。「統合失調症の加賀谷は存在しない。相方の加賀谷が、たまたま統合失調症になっただけ。病気の前に人がいる。」ということを力強く話す松本さんの言葉が印象的でした。
最後に近畿ブロック家族の集いを企画した主催者より「これまで、精神保健福祉の充実を目指し。家族会として相談や研修、啓発活動など取り組んできたが、今なお孤立して命の危機を抱える障害者、家族が存在する。整備されつつある制度や法律を絵に描いた餅にするかどうかは、私たちと関係者の不断の努力にかかっている。あきらめずに前進させていきたい。」というアピールが発表され、会は締めくくられました。
主催者の京都精神保健福祉推進家族会連合会は、これまでの家族会は精神障害のある子どもをもつ親を中心に活動を行ってきました。家族会会員の高齢化に直面している中、親とはまた違った悩みや苦労を抱える精神に障害のある人のきょうだい・子どもそして配偶者同士の集いといった新しい試みも始めています。野地芳雄会長は「今回のイベントでテーマとした当事者の家庭内暴力問題をはじめ、変化する精神障害者における課題に対して風穴を開けながら、福祉を前進させていきたい。」と強調していました。