パニック障害、ジャニーズ問題で注目か
暮らし パニック障害・不安障害Photo by Krzysztof Niewolny on Unsplash
故・ジャニー喜多川元社長による性加害問題で揺れるジャニーズ事務所は、10月2日に再度会見を開きました。その中で、藤島ジュリー景子前社長が自身の「パニック障害」をカミングアウトしており、そちらの方面でも話題となっています。
ジュリー前社長は会見に欠席しつつも文書だけは残しており、この中で「20代の頃から時々、過呼吸になって倒れるようになりました。当時は病名が無かったのですが、今では『パニック障害』と診断されています」とカミングアウトしました。
パニック障害とは、突然何の前触れもなく動機や息苦しさやめまいなどの症状が複合的に出現する「パニック発作」を主とする精神疾患で、発作への不安が「予期不安」「広場不安」へと広がっていって生活が制限されます。発作そのものは「このまま死んでしまうのではないか」と思うほど激しく、不安を煽るには十分なほどです。
パニック発作そのものは、全人口の11%程度が一生に一度は経験します。その一部が何度も発作を繰り返し、パニック障害へ移行するという流れです。その割合は最終的に全人口の1.5~4.7%で、決して少ない割合ではありません。「不安を否定すればいいのでは?」と言われそうですが、そんな精神論で解決できないから病名としてしっかり存在する訳です。
パニック障害は精神疾患の中でも治るほうの部類ではあるものの、明確な原因は不明で周囲の無理解も未だに多いです。ただストレス環境が一因との説が根強く、ストレスフルな環境だとなりやすい傾向が指摘されています。ジュリー前社長も「母・メリー氏は、少しでも違う意見を言うとヒステリックな反応をしてくる人だった」「母の命令で名ばかりの取締役にされた」「孫と会わせる時も会話は避けていた」とストレスフルな親子関係を語っています。
ジュリー前社長は、ジャニー氏やメリー氏と関わらない環境で長年働いており、それも心療内科の医師から受けたアドバイスがきっかけでした。発作を防ぐには両氏から離れるしかないと言われていたのです。10月2日の会見を文書での参加に留めたのも、強烈なストレス環境による発作の再発を懸念するなら正しい防衛反応といえるでしょう。
パニック障害の治療は投薬を中心とし、認知行動療法も併せながら、発作の起こらない状態の維持を目指します。根気強く取り組む訳ですが、正しく治療の道筋を辿っていけば、精神疾患の中では比較的寛解まで早い病気であるとされています。ただ予後に関しては「治療は早く再発率も低い」だとか「不安障害の中では、寛解率も再発率も高い」だとかで、医師によっても意見が割れているようです。
会見で「パニック障害」の単語が出たことで、ネット上の少なからぬインフルエンサーや当事者も反応を示しました。「ジュリー前社長を『病名を言い訳にするな』『病気に逃げるな』と叩くのは、同じパニック障害を持つ人々をも傷つける」などの牽制や、「自分も当事者だけど、病名を出されると偏見が加速しそうで怖い」といった懸念の声などです。
当事者の中からは、「じゃあ俺たちはどうなんだ?自分がちゃんと喋れないから出てこないなんて、それだったら俺も表に出てこない。そんな甘えた話あるかってのが正直な感想」とジュリー前社長を更に追い詰める発言も飛び出しています。自助グループらしいのですが、同じ病気で苦しんでいる筈のジュリー前社長を「甘え」呼ばわりしていて大丈夫なのでしょうか。
参考サイト
ジュリー氏 20代で「パニック障害に」母・メリー氏との複雑な関係「話すことを極力避けて生きてきた」
https://news.yahoo.co.jp
パニック障害|メンタルサポート|ながうしクリニック
https://www.n-ushicli.com
パニック障害(PD)|ライトメンタルクリニック高田馬場院
https://light-clinic.com
パニック障害・不安障害