子どもの反抗挑戦性障害とは?〜反抗と怒りに隠れた想い

発達障害

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子どもがとても怒りっぽくて反抗的で、困っていませんか?学校の先生につっかかっていく、親をわざと怒らせる真似をする、悪いことをしても他の子どもや親のせいにする等。もしも、すでに家庭や学校生活に支障が出ているのならば、それは反抗挑戦性障害かもしれません。単なる反抗期とはどう違うのか。子どもの反抗挑戦性障害の特徴、原因、治療・対処について解説します!

反抗挑戦性障害とは

定義
反抗挑戦性障害(ODD:Oppositional Defiant Disorder)とは、10歳前後の子どもが示す反抗的で挑戦的な行動パターンが持続的に確認でき、日常生活や人間関係に支障が出ている状態です。ODDに当てはまる特徴は、反抗的・挑戦的の他、攻撃的、拒否的、破壊的な言動が目立つものです。

DSM5の定義では、下記のうち4つ以上当てはまる特徴が、6か月以上持続している場合、ODDと診断されます。↓
・怒りっぽく、腹を立てることが多い
・かんしゃくをよく起こす(欲求不満への耐性が低い)
・神経過敏でイライラしやすい
・挑発的行為が多く、口ゲンカが好き(子どもの場合は大人とケンカすることが多い)
・規則や権威者(親、先生など)への反抗と拒否
・主に大人をわざと怒らせる、神経を逆撫でにする言動
・自分の失敗や非を他人へ責任転嫁する
・意地悪で執拗、恨みがましい態度

10歳前後の子どもでイメージしてもらうと、次の言動をあげることができます。家庭では、親の言いつけを守らずに反抗する、悪口や罵声をあげる、親がしてくれなかったこと等をいつまでも根に持つ等。学校では、授業の邪魔をする、先生にくってかかる、悪い事や失敗の責任転嫁等、いわゆる非行少年に当てはまります。関連する障害には、行為/素行障害というのがあります。行為障害と違い、反抗挑戦性障害では、法律違反や他者に危害を与えるほどの逸脱した言動が見られないことです。

診断における注意点
では、障害としての反抗的な言動と、通常の反抗期は何が違うのでしょうか。子どもの反抗期は2回来ると言われています。1回目は、2歳〜3歳頃の幼児に現れます。3歳前後の子どもには自我や好奇心が芽生え、何でも自分でやりたがるイヤイヤ期が始まります。2回目は思春期に来ますが、最近の子どもは二次性徴が早熟傾向にあり、早ければ10歳から他人から見た自分を意識し始めます。この場合の反抗的な言動は、むしろ正常な発達に欠かせない過程の一つです。

反抗挑戦性障害と正常な反抗期を区別するポイントとしては、反抗的・挑戦的な態度が高い頻度で6ヶ月以上は継続して見られるか、それとも一過性のものか、という点です。

児童福祉や小児精神医療の現場では、反抗挑戦性障害への対応に苦心しつつも、本人が社会生活に適した行動や自信を持てるように支援します。ただ一方では、こういった子どもに、障害という診断を示すことへの疑問もあるようです。

何が原因なのか〜発達障害との関係性も〜

反抗挑戦性障害の原因としては、遺伝などの生物学的要因や家庭環境などの環境的要因が考えられます。

生物学的要因〜ADHD(注意欠如多動性障害)との関係〜
反抗挑戦性障害(ODD)の子どもにADHDも高い確率で合併しています。複数の疫学調査によると、ADHDの30%〜40%が反抗挑戦性障害を発症した報告もあります。ADHDの不注意・多動・衝動性は、勉強や人間関係のつまずきを生みやすいです。最終的には、暴力や恐喝などの反社会的行為に走るなどの行為障害や反社会性パーソナリティ障害へ至ることもあります。

ADHDの子どもが→反抗挑戦性障害→行為障害→反社会性パーソナリティ障害の流れを辿る負のスパイラルを、DBD(破壊的行動障害)マーチと呼びます。ADHD以外にも、軽度の知的障害や学習障害の子どもがODDを示すことも少なくないです。発達障害ではなくても、周囲の変化に影響を受けやすい敏感気質な子どもにも、ODDを含む心理的・行動的な問題が出やすいです。ただし、発達障害や気質等の遺伝子そのものが、ODDを確実に起こすことはありません。遺伝はあくまでスイッチであり、そのスイッチを押す指(環境的要因)が加わることがない限り、発症することはありません。スイッチを押したとしても、力が弱くて出ない場合や、出たとしてもそれが反抗挑戦性障害とは限らないのです。

家庭や学校などの要因
家庭環境と学校環境の要因については、次の特徴やリスクが挙げられます。
「家庭環境」
・ルールやしつけにとても厳格な家庭
・親が支配的で過保護
・褒めることよりも、叱責や否定的な評価を出すほうが多い
・家庭内不和(両親の不仲、きょうだい間との差)
・病気や障害、家庭内暴力(DV)、失業、貧困問題など、親の抱える問題
・虐待(身体的・心理的・性的・ネグレクト等)

「学校環境」
・勉強でのつまずき
・先生による叱責、体罰など(スクールハラスメント)
・クラスでの孤立やいじめ、友達関係でのつまずき

家庭環境の要因としては、家族との関係性や生活の問題、しつけや養育の悩みなどがあります。子どもの努力や人格を否定する態度や、きょうだいとの間に大きな差別をつける行為、さらにDVを子どもに見せる行為も、心理的虐待に入り、子どもの心を傷つけます。また親が良かれと思って本人の勉強や趣味、努力に助言や意見をした場合でも、本人は自分を否定されて傷ついていることもあります。

とはいえ、同じ家庭で育っても、他者への反抗や攻撃ではなく、自傷行為に向く子どもや、別の分野で自信や居場所を見出す子どももいます。また、親自身が発達障害や被虐待経験、パートナーとの関係、貧困等の問題を抱えている場合、親にアプローチすることで子どもが安定するケースも多いです。家庭に起こっている問題とその解決を求めるSOSサインとして、子どもが反抗挑戦性障害等の問題を示すのです。学校においては、子ども本人の勉強でのつまずきや、クラスメイトとの関係、自信を損なわないようにするために、教師や学校による働きかけは重要になります。

結論として、反抗挑戦性障害はあらゆる要因が混ざりあうことで生じます。同じ家庭環境で育っても、ODDを示すとは限りません。またODDの生物学的リスクを持っていても、それが直接ODDを起こすことはありません。親は、子どもの問題にただでさえ不安や自責に苦しんでいることが多いです。周囲は、親のしつけや態度を責めるなどの追いつめるような態度を取らないようにしてください。子ども本人が、どうすれば適切な行動を学習し直し、自信や居場所を見いだせるようになるのかを大切にします。

反抗挑戦性障害の治療・対処

反抗挑戦性障害には、早期の対応が必要となります。年齢が上がるにつれて、反抗的な行動パターンは固定化されてしまいます。反抗挑戦性障害に対する治療・対処には、以下があります。

心理的アプローチ
代表的なものには、子どもが社会スキルを身に付けるSST(ソーシャルスキルトレーニング)や、子どもに対する親の態度に働きかけるペアレントトレーニング等の認知行動療法があります。

ペアレントトレーニングにおいて、子どもの適切な行動は褒めることによって増やしていき、逆に望ましくない行動は無視することで減らしていくようにします。また子どもが悪さをした時は、はっきり注意します。注意する時のポイントは、感情的・否定的な言い方をせずに、適切な行動を具体的に教えます。トレーニングにおいては、子どもの自信と意欲を保てるように、※1スモールステップで、※2トークンエコノミーなどの工夫をしていくことも大切です。心理療法は医療機関に限らず、学校にスクールカウンセラー(臨床心理士)やスクールソーシャルワーカー(福祉士)がいる場合、学校と連携しながら実践することもあります。

※1スモールステップは、その子ができるところから段階を踏んで少しずつ、適切な行動を増やしていく考えです。焦りや一喜一憂はしない、ともいえます。
※2トークンエコノミーは、望ましい行動をするたびに1ポイントのスタンプやシールを与え、それが一定数たまるとごほうびや景品をもらえる手法です。ごほうびは、子どもの好きなもの、楽しくポイントをためるようなものに設定しましょう。

医学的アプローチ
反抗挑戦性障害の怒りっぽさや、背景にある発達障害の症状が重く、心理療法だけでは改善が難しいケースもあります。その場合、心理療法と併せて医師による薬物療法を行います。問題行動や症状が重いケースでは、心理療法と薬物療法をバランスよく合わせると、治療効果が大きくなります。反抗挑戦性障害の子どもが飲む薬には、以下があります。

・メチルフェニデート塩酸塩:ADHDの不注意、多動、衝動性を和らげる薬
・(定型・非定型)抗精神病薬:多動、衝動性、反抗挑戦性障害、興奮、攻撃性の緩和
・気分安定剤(炭酸リチウム):うつ、イライラ、怒りっぽさ、攻撃性の緩和
・抗てんかん薬(バルプロ酸など):怒りっぽさやイライラ、かんしゃくに有効

反抗挑戦性障害の子どもへの薬物療法では、発達障害の症状や衝動性、怒りっぽさを和らげ、本人が少しでも楽になれるようにするのが主な目的です。子どもへの薬の投与については、服薬量や種類、副作用の心配事などについて、医療機関・医師と相談してください。

福祉的アプローチ
反抗挑戦性障害の背景にありうる発達障害や、家庭環境と生活問題に対し、スクールソーシャルワーカーが学校や専門機関と連携しながら支援することもあります。さらに、市区町村や児童相談所、発達障害者支援センターにも相談できます。専門機関では、子どもの障害や家庭環境の問題に関する相談支援をします。子どもが必要な治療や訓練を受けるための障害福祉サービスの申請や、家庭の経済的負担などの軽減を図ることもできます。

まとめ

子どもの反抗挑戦性障害(ODD)について、以下にまとめます。

・ODDは、10歳前後の子どもによる反抗的・挑戦的な行動パターンが持続し、日常生活に支障が出ている状態です。

・ODDが生じる理由は、遺伝や気質、発達障害等の生物学的要因、と家庭や学校、人間関係等の環境的要因が影響し合うことが考えられます。

・ODDへの治療・対処には、ペアレントトレーニングやSST等の心理療法や、怒りっぽさや発達障害の激しい症状を和らげる薬物療法、子ども本人と家庭の生活問題に働きかける福祉的支援などを組み合わせるのが理想的です。

反抗挑戦性障害の子どもは、周囲からの叱責や失敗体験が積み重なることによって、劣等感や疎外感を抱えます。自己否定の感情が、やがて周りへの怒りと不満、不信感に変わったものを、ODDと呼べるのかもしれません。

どうせ家庭でも学校でも怒られる。どうせ頑張ったってムダなのだ。自信も居場所もないのだから、親や先生、社会の期待に反する行動を取るしかない。

そういった悲しみや寂しさが、子どもの反抗的な態度やかんしゃくに隠れています。その可能性を心に留めたうえで、周りがその子と向き合えることを願います。

参考文献

・「反抗挑戦性障害・素行障害、診断治療ガイドライン」信州大学医学部付属病院・子どものこころ診療部
https://www.ncchd.go.jp

・「子どもへの服薬・発達障害の子どもにはどういう薬が用いられるのでしょうか?・」一般社団法人日本小児神経学会
https://www.childneuro.jp

・日本精神神経学会(日本語版用語監修)『DSM-5精神疾患の分類と診断の手引き』医学書院

・岡田尊司(2012年)『発達障害と呼ばないで』幻冬舎新書

・星野仁彦(2012)『発達障害を見過ごされる子ども、認めない親』幻冬舎新書

・清水將之(2012)『子どもの精神医学ハンドブック第2版』日本評論社

*Misumi*

*Misumi*

自閉スペクトラム症のグレーゾーンにある、一見ごく普通のネコ好きです。10代の頃は海外と日本を行き来していました。それもあいまってか、自分ワールドにふけるのが、ライフワークの一つになっています。好きなものはネコ、マンガ、やわらかいもの、甘いもの、文章を書くこと。最近は精神保健福祉士を目指しながらコミュニケーションを学び、今後の自分について模索する心の旅人。

発達障害 注意欠陥多動性障害(ADHD)

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