発達障害の原因とはいったい何なのか?なぜ増え続けるのか?

発達障害

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発達障害とはそもそも何なんでしょう?また、発達障害の原因とはいったい何なんでしょう?遺伝、環境、子育てなどとの関係性はあるのでしょうか?発達障害を防ぐ方法はあるのでしょうか?その様な素朴な疑問について、現在の医学でわかっていること、わかっていないことを簡単にまとめてみたいと思います。

はじめに〜発達障害とは何なのか?

発達障害とは、幼少期から現れる発達のアンバランスさにより、脳内の情報処理や制御に偏りが生じ、日常生活に困難をきたしている状態のことを言う様です。偏りにより、特定のことには優れた能力を発揮する一方、ある分野は極端に苦手といった特徴が見られる様です。こうした得意なこと、苦手なこととの差、いわゆる凸凹は誰にでもありますが、発達障害の人は、その差が大きく、生活に支障が出やすい様です。発達障害は、行動や認知の特性によって、大きく3つに分類される様です。それぞれが重複することもあり、人によっては複数の特性を合わせ持つ場合もあると言われています。

(1)自閉症、自閉スペクトラム症(ASD)
平成15年3月「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」より抜粋
自閉症(自閉スペクトラム症)とは、3歳位までに現れ、他人との社会的関係の形成の困難さ、言葉の発達の遅れ、興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする行動の障害であり、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。

(2)注意欠陥/多動症(ADHD)の定義
平成15年3月「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」より抜粋
ADHDとは、年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、及び/又は衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすものである。また、7歳以前に現れ、その状態が継続し、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。

(3)学習障害(LD)の定義
平成11年7月「学習障害児に対する指導について(報告)」より抜粋
学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。学習障害は、その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されるが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではない。

自閉症でも知的発達の遅れを伴わないものについては高機能自閉症と呼ばれる様です。知的発達だけでなく、言葉の発達の遅れも伴わないものは、アスペルガー症候群と呼ばれる様です。高機能自閉症やアスペルガー症候群は、広汎性発達障害と分類される様です。ただ、大きく発達障害の分類を理解するという意味では、上記の3分類がわかっていれば良いと思います。

発達障害の原因とは何なのか?

(1)原因としてわかっていること
発達障害の原因としてわかっていること、わかっていないことを以下に整理してみました。

【わかっていること】
・脳機能の障害であり、遺伝要因(遺伝子、DNA)が主な原因であること。
・上記に次ぎ(主に妊娠中の)環境要因が主な原因であること。
・遺伝要因と環境要因が組み合わさること。
・ワクチン、子育てが原因ではないこと。

【わかっていないこと】
・どの遺伝子、DNAがどのように関連して症状を引き出すのか?
・親からの遺伝がどの位の確率で発生するのか?
・遺伝でなく、発症する確率(突然変異)がどの位なのか?
・環境要因が具体的に何なのか?

(2)脳機能の障害とは?
発達障害で起こっている脳機能の障害については、近代医学でも、まだまだわかっていないことが多くある様です。脳に関する書籍を数多く出版されている医学博士の加藤俊徳氏の話によれば、脳の中にある海馬の発達の遅れ「海馬回旋遅滞症」に原因があると考えられる様です。発達障害者の脳のMRIや病理像を診ると、海馬の発達が遅れている場合が高頻度に認められる様です。海馬は、(隣接する)偏桃体から記憶を出し入れする際に用いられる箇所で、短期記憶の機能も有する箇所になります。

(3)環境要因とは?
妊娠中に母親が受ける様々なストレスが胎児に悪影響を与えると言われています。一般的に以下の様なものがストレスと言われますが、妊娠中はストレスの少ない環境にいることがよいと言えるでしょう。

【ストレスの分類】
・物理的ストレス:暑さ、寒さ、騒音などによるストレス。
・化学的ストレス:薬物、化学物質、酵素などによるストレス。
・生物的ストレス:細菌やウイルスへの感染、炎症を起こすことなどによるストレス。
・社会的、心理的ストレス:社会生活、人間関係での怒り、悲しみ、緊張、不安などによるストレス。

また妊娠中の飲酒・喫煙は、胎児の発達障害の発現リスクを高める行為と言われています。日本でも飲酒・喫煙の習慣を持つ女性が、特に若い層で増えてきていますが、妊娠中の飲酒・喫煙で、胎児がアルコールやタバコで被爆するケースが増えてきている様です。妊娠中の飲酒・喫煙を控えることは、もっと世の中に周知されてよいのではないでしょうか?

発達障害はどうやって調べるのか?診断、検査とは?

診断、検査は医療機関により多少異なる様ですが、一般的には以下から医師が総合的に判断される様です。

(1)成育歴の把握
幼少期からの経過・発達状況、家庭や学校や職場での日常生活の状況、診察での様子などから、本人の特性を把握する様です。

(2)心理検査
発達検査や知能検査を行い、本人の発達・知能レベルを把握する様です。知的能力が境界域である人は日常生活では気付かれにくいですが、学校生活や職場生活で困難を抱えている場合があります。代表的な心理検査としては、WPPSI(3歳10カ月〜7歳1カ月)、WISC(5歳0カ月〜16歳11カ月 )、WAIS(16歳〜89歳 )があげられる様です。

(3)基礎的な疾患の確認
基礎的な疾患がないかを確認する為、血液検査やMRI検査などを行う場合もある様です。

さいごに〜今後の医学への期待

年々、発達障害者の数は少しずつ増え続けています。文明の発達、それによる社会生活の変化、ストレスの増大が環境要因となっていることは、ほぼ間違いないでしょう。また、昔であれば発達障害と診断されていなかった子どもが、今は診断される世の中になったことも大きいでしょう。

一方で生物学的に考えると、アスペルガーなどの特性を持った発達障害の人間が、社会的に成功をおさめ、種族を増やしてきたという考え方もある様です。過去の偉人では、エジソン、ライト兄弟、ナポレオン、アインシュタイン、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ピカソ、ガリレオ・ガリレイ、ベートーヴェン、モーツアルト、ベーブ・ルース、織田信長なども発達障害であったと言われています。この様な特殊な才能のある人間が活躍しやすい社会を実現する事が、これからの行政には強く求められると思います。

発達障害はうつなどの二次障害で大人になってから発見される(いわゆる大人の発達障害)ことも多いのですが、早期発見され、早めに対策を打つ方が、後々の人生にもよいことであるのは間違いないでしょう。今後の医学に、発達障害の謎の解明、対処方法の確立を願っています。

参考文献

文部科学省ホームページ 〜 主な発達障害の定義について
http://www.mext.go.jp/

NHKハートネット 〜 大人の発達障害ってなんだろう?
http://www.mext.go.jp/

公益社団法人 日本産婦人科医会 ホームページ 〜 飲酒、喫煙と先天異常
http://www.jaog.or.jp/

アスペルガー症候群(幻冬舎新書) 岡田 尊司

株式会社 脳の学校 ホームページ 〜 大人と子どもの発達障害と脳検査・発達障害の脳検査
https://www.nonogakko.com/

KID ACADEMYホームページ 〜 ストレスが子どもの発達障害を引き起こす?
https://kid-academy.jp/

株式会社Kaienホームページ 〜 発達障害は遺伝ですか?
https://www.kaien-lab.com/

発達障害・ADHDアスペルガー症候群・自閉症を支える為の情報サイト〜アスペルガー症候群の著名人
https://asperger-syndrome.jimdo.com/

AKIRA

AKIRA

IT業界で社会人生活を開始し、うつ病を発症。20年近く働き続けるも、体調悪化で転職を何度か経験。その後、自閉症スペクトラムが確認され、根本治療に乗り出す。現在は、脳科学やマインドフルネスを独学で学び、就労移行支援所で、学んだ事を検証して体調が大幅に回復。趣味は野球とビジネス書の読書。最近は脳科学に関する本を読みあさり、オタク化が進行中。

注意欠陥多動性障害(ADHD) 学習障害(LD) 自閉症スペクトラム障害(ASD)

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