場面緘黙症ってどんな障害?

その他の障害・病気
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場面緘黙症という言葉をご存知でしょうか。緘黙症とは、身体的な障害があるわけでもないのに、人前で全く話せなくなるという障害です。これによって、人とうまくコミュニケーションがとれず、日常生活に支障をきたすこともあります。また、行動面や学習面も特に問題はなく、一見して普通の人に見られることが多いのもこの障害の特徴です。

場面緘黙症の症状

場面緘黙症は選択性緘黙症とも呼ばれ、家などでは会話ができるにもかかわらず、学校や職場などの特定の場面でのみ発話が困難です。また、不安が強くなりすぎるため、体を思い通りに動かせない緘動という症状が見られる場合もあります。それ以外にも、他人からの評価に対して過敏になったり、極度に周囲の人との関係や人混みを避けたり、公衆トイレを使えなかったりと、社交不安障害など他の障害の症状が出る場合もあります。
人見知りや恥ずかしがり屋といった性格的なものとの違いは、それらの症状が一ヶ月以上続くことにあると言われ、なかなか改善されないのです。また、場面緘黙症の子どもは男の子よりも女の子の方が多いと言われています。

考えられる原因

緘黙症が起こるメカニズムはいまだ解明されていないのが現状です。一般的には幼児期に発症し、2015年現在では場面緘黙症の人は0.5%いると言われています。また、2002年にアメリカの精神医学誌が行った調査では、その発生率が1000中7人であると報告されています。ただ、発症する要因として、環境の変化など社会的な問題が大きく関わっているのではないかと考えられています。
例えば、もともと不安になりやすい傾向のある子どもが入園や入学、転居などによって周りの環境が変わった時、不安が一層高まって発症するとされます。また、先生からの叱責やクラスメイトからのいじめなどによる心的外傷が原因になることもあります。緘黙症は遺伝や親のしつけが原因だと誤解されることもありますが、ほとんどの場合、それらは関連がないということがわかっています。また、それとは少し話が違いますが、両親の使う言語が異なる場合、子どもは求められた言語に対して自信を喪失し、言葉の問題がストレスとなって、緘黙に陥るケースもあり得ます。

治療法

場面緘黙症は成長につれて症状が自然に改善されていくわけではありません。そのため、早期治療が肝要です。主な治療法として、学校の先生やスクールカウンセラー、保健センターへの相談、心療内科や精神科での受診などが挙げられます。場面緘黙症の多くは自分の声を他人に聞かれることに対して不安を抱いています。だから、無理に話させるのではなく、「話しても大丈夫なのだ」と思わせることにより、緊張を取り除くことが一番効果が期待される治療法だと考えられます。
また、「スモールステップ法」といって、目標を細分化し、初めはハードルを低くしてから、クリアできたらもう少しそれを高く設定してみるなど、一つ一つのステップを踏んでいくという方法もあります。これらの方法で、子どもの不安を取り除くことが大事です。
また、大人の緘黙症の治療はあまり行われていないため、場面緘黙症を疑った時点での受診・治療をすることが大切です。 場面緘黙症は、世間に認知されることが少なく、他人から心無い言葉をかけられることもあります。それによって、当事者の心を更に塞ぎ込んでしまうという結果になることもあるかと思います。また、緘黙症の子どもには内向的な子が多いです。なかなか受け入れてもらいにくい障害ですが、一人でも多くの人に理解してもらい、認知されることによって、心のケアがしやすくなり、症状の改善に繋がるかもしれません。

参考文献

『話したいのに、話せない…。“場面緘黙(かんもく)”を知っていますか?』
https://www.nhk.or.jp/

『フリー百科事典 ウィキペディア』「場面緘黙症」
https://ja.wikipedia.org

Ickey

Ickey

実習生。現在、就労移行支援センターで就活に向け訓練に励んでいます。趣味は小説を書くこと、バンドのライブに行くことです。

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