障害者にとって「eスポーツ」は新たな道たりえるか

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対戦型のコンピュータゲームないしビデオゲームというフィールド上で勝敗を争う新世代の概念「eスポーツ」。障害者福祉の間ではこれに希望を見出しているものが僅かながら見受けられます。

特に積極的な取り組みを見せているのは、北海道の国立八雲病院と群馬県の株式会社ワンライフです。今年9月13日に豊島区で行われたワークショップでも先進事例として紹介されました。

元々のeスポーツそのものが発展途上にある以上、障害者向けのeスポーツとなれば課題が山積しているであろうことは想像に難くありません。まして大成しないのが多い業界です。それでも、障害者の新たな稼ぎ頭となる可能性に溢れているのは、元々障害者の稼ぐ手段が限られているからでしょうか。

お手製デバイスも作る国立八雲病院

筋ジストロフィーやALSといった神経筋疾患を専門とする北海道の国立八雲病院では、作業療法にeスポーツを取り入れています。残された身体機能でも十分にゲームを動かせるよう、お手製のデバイスを作ってしまうほど本気の入れ込み具合です。

患者の意識も大きく変わり、「どうせ難病だからやらない」と諦めていたのが、好きな事を見つけて取り組む建設的な姿勢をみせるようになりました。

大会参加となるとバリアフリーや特殊デバイスの使用許可など課題は数多くありますが、海外では既にプロeスポーツ選手の肩書きを持つ筋ジストロフィー患者がおり、不可能ではないとも説いています。アメリカンドリームならぬ「チャレンジド・ドリーム」は実現可能だそうです。なんにせよ、理解の促進から始める必要があるでしょう。

大会まで開いた株式会社ワンライフ

群馬県で障害福祉事業を中心に行っている株式会社ワンライフも早くから障害者のeスポーツ参加に取り組んできました。通所型生活介護施設の「iba-sho」に設置された「eスポーツコース」では専門のコーチを配属し、日本初の障害者プロゲーマー集団まで誕生しています。プロを目指してはるばる鹿児島からやってきたメンバーさえ居ます。

ワンライフのeスポーツにかける情熱はすさまじく、今年8月31日にはオンラインバトルゲーム「League of Legends」を用いた日本初の障害者eスポーツ大会を開催しました。賞金100万円と気合十分で開かれた大会を制したのは京都のASD持ちをリーダーとするチームで、将来はeスポーツで生計を立てるのが夢とまで語っています。

ワンライフ社長が目指しているのは障害者による経済圏の確立で、重度障害者に仕事がないという現状やイメージを打破したいという思いがあります。また、eスポーツに拘らず他にも様々な選択肢を作っていきたいそうです。

成功者は一握りの世界。新たな道と言えるのか

まだ日本での認知度は低いeスポーツ業界ですが、それでもプロゲーマーやトッププレイヤーは一際輝いて見えます。業界が興る前から活躍されていた梅原大吾さんも書籍まで出している程ですからね。ところが、トップの座に就けるのはほんの一握りしかおりません。重要なのはトップクラスでなくとも安定して生計を立てられるようにすることではないでしょうか。

私も昔は「マリオカートDS」「ポケモンバトルレボリューション」「スマブラX」のWi-Fi対戦に興じている時期がありましたが、ほとんど勝った記憶がありません。オンライン対戦にいい思い出がないので、eスポーツが勃興しているからと言って「ゲームが好きだからプロゲーマーになる!」とはならない訳です。今のところは酷なまでの実力主義ですからね。

一握りのトップしか安定出来ないのであれば、それを新たな人生の道として誇らしげに紹介するべきではないと思います。障害者eスポーツが広まったとしても、「プロゲーマーになれる程上手くないから…」といって道に見向きもされないようでは障害者の新たなライフスタイルとは言えないでしょう。

競技者以外にeスポーツでの生き方があればまた別かもしれません。株式会社ワンライフが募集するようなeスポーツコーチの他には、ゲームのデバッガーやレビュアーくらいしか思い浮かばないのですが。

ADHDは服用薬次第だと参加不能?

ところで、障害者eスポーツの大会においてもADHDは不利であると言われています。その理由は薬で、処方されている当事者も多いとされるメチルフェニデートを含む薬品がアンチ・ドーピング規定における禁止薬物として指定されているのです。

作用としてはより過激なアンフェタミンを含む薬(日本では認可されていない)を服薬して出場したeスポーツ選手が批判のやり玉に挙がったケースも実際にあります。

女子体操のシモーネ・バイルズさんもメチルフェニデート系を服用するADHD当事者ですが、リオ五輪の時にロシアのハッカーがその情報を得ることでドーピング疑惑が浮上しました。しかし、アンチ・ドーピング機関などへ必要な書類を提出し「合理的配慮」を得ていたとアメリカ体操協会が説明し、バイルズさんのメダルは守られています。何か手続きの追加さえあれば、本来アンチ・ドーピング規定で禁じられている薬を服用しているからという理由でADHD当事者が道を閉ざされることもなくなるでしょう。

参考サイト

eスポーツに目覚めた障害者たち|けさのクローズアップ|NHKニュース おはよう日本
https://www.nhk.or.jp

「障害者e-sportsワークショップ in LFS」レポート。eスポーツが産業として成長するために、障害者の参加は欠かせない - 4Gamer.net
https://www.4gamer.net

ゲームの大会に参加できないかもしれない - カズマのボードゲーム日記
https://kazuma.yaekumo.com

「私はADHD。だけど、隠さない」体操女子金メダリスト、ドーピング疑惑に毅然と告白|ハフポスト
https://www.huffingtonpost.jp

遥けき博愛の郷

遥けき博愛の郷

大学4年の時に就活うつとなり、紆余曲折を経て自閉症スペクトラムと診断される。書く話題のきっかけは大体Twitterというぐらいのツイ廃。最近の悩みはデレステのLv26譜面から詰まっていること。

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