セコラム!〜伴走者の立場から障害福祉を考えてみる〜

「「そろそろ3ヶ月が経ちましたね」の一言に襟を正されている」(セコラム第36回)

仕事

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『セコラム!〜伴走者の立場から障害福祉を考えてみる〜』 vol.36

三休は就労継続支援B型という枠組みで、障害のある人たちと一緒に農業をしています。どのようなサービス形態でも支援のゴールがあります。もちろん三休でも目標を見据えて日々過ごしています。「万願寺とうがらしをこれくらい収穫し、これくらいの売上をつくりたい」、「三休で一緒に働く人たちを定員まで増やしたい」などの三休全体の目標は設定していますが、それだけでなく一緒に働くメンバー1人ひとりの目標を一緒に考え、決め、それを日々の作業に落とし込んでいます。

「三休を通してどういう風になっていきたいのか」「どういった働き方をし、どのような暮らしをしたいのか」をメンバー1人ひとりにヒアリングし、「こういう目標を持っていこう」と初めて三休で働く日までに決めています。ただ正直なところ、農業の忙しさにかまけてメンバー1人ひとりの目標を見失ってしまうことがあります。

そんな僕に喝を入れてくれるメンバーが三休にはいます。彼の目標は就労継続B型事業所でリズムをつけ、A型事業所にステップアップし一般就労をすることです。彼は週3日午後のみでスタートしたのですが、3ヶ月ごとに働きぶりを振り返り週4日、週5日、そして午前から夕方まで働くことを目標のスモールステップとしています。3ヶ月が経つ少し前に「世古口さん、そろそろ3ヶ月が経ちましたね」と確認の連絡をしてくれます。「じゃあ振り返りをしましょうか」と個別支援計画のモニタリングをし、新たな計画を策定します。この一連の作業を行うことで、なあなあの支援にならないようになっています。良い意味でピリッとした空気となり、僕たちスタッフもメンバーも「なぜ三休で働いているのか」を意識するようになっています。

経営という立場から言うと、同じ人がずっと働き続けていることが良い側面があります。福祉的収入が安定し事業所の土台が固まっていくからです。福祉という立場から言うと、三休を巣立っていくメンバーがいて新しい人が入ってきて、それだけでなく十年選手がちらほらいるという状態が理想の形です。三休で経験を積みリズムをつくり働き方を変容していく人もいるし、三休が日々の過ごし方として活用している人もいる、そんな様々な使い方をしている人で構成されている。もちろん双方が相容れることの大変さはありますが、その難しさ故に達成していきたいという気持ちには溢れています。「そろそろ3ヶ月が経ちましたね」とメンバーから言われる度に、襟を正され理想の形を思い出しモチベーションにつながっています。

世古口 敦嗣(せこぐち あつし)

世古口 敦嗣(せこぐち あつし)

就職活動に失敗し、何となく障害福祉の世界へ。障害者が暮らしやすいまちをつくるNPO法人サポネや医療福祉エンターテインメントのNPO法人Ubdobeなどを経て、農業を中心とした障害のある人が働く拠点「三休 – Thank You -」を今年4月にオープン。それ以外にNPO法人月と風と理事やKAIGOLEADERS OSAKAコアメン、ふくしあそび探求舎代表を務める。

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