断薬~自己判断は危険

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出典:Photo by T.H. Chia on Unsplash

精神疾患を抱えている方の多くは、何かしらの向精神薬を服用されていると思います。向精神薬とは、抗うつ薬や抗不安薬、睡眠導入剤(睡眠薬)の総称です。みなさんは向精神薬に対してどんなイメージを持っていますか?私は「副作用がきつそう」「長期間は飲みたくない」と思っていました。

なぜ断薬を……

私はうつ病と診断され、抗うつ薬を処方されました。

飲み始めは効果が分からず、ただ「義務として飲んでいる」という感じでした。しばらく続けましたが、強い不安や気分の落ち込みに悩まされることはなくなりません。それでも、決まったタイミングで服薬し、習慣になっていきました。

服薬期間が半年ほど経過したころから、私の中で服薬がいやになっていきました。副作用で、眠りが浅く夜中によく目が覚めました。なかなか眠れずに朝を迎えるため、体がだるく、頭がうまく働かなかったのです。

加えて私は、うつ病を受け入れることができていませんでした。「落ち込むことぐらいだれにでもある」と心のどこかで思っていたのでしょう。

「もう飲まなくてもいいや」と勝手に判断した私は、断薬を決めました。

断薬の結果

「薬を飲んでも落ち込むことはあったし、飲まなくても大丈夫だろう」

断薬当初は、このように考えていました。そして、断薬して数日、体調を崩すことはありませんでした。なにより、薬に頼らなくてよくなったので、気持ちが晴れていたのです。

しかし、体調を崩さなかったのは数日の間だけでした。急な発汗と動悸をともなう焦燥感に襲われたのです。発汗と動悸が落ち着くと、今度は不安な気持ちがどんどん大きくなっていきました。不安な気持ちは消えることはなく、それをきっかけに気分が沈んでいったのです。そして気分が沈んだまま、何もできずに過ごしていました。

勝手に断薬した結果、私の症状は改善するどころか、以前より悪化することになったのです。慌てて服薬を再開しましたが、あとの祭りでした。

2週間に1度通院していた私は、主治医に断薬について正直に話しました。怒られましたが、症状のことや処方されている薬についてしっかり話を聞くことができました。

それまでの私は、主治医にすべてをまかせていました。飲むようにいわれた薬をただ飲んでいるだけ。自分の口に入るものなのに、関心など全くなかったのです。病気に向き合わことなく、ただ逃げているだけでした。

服薬再開したけど……

処方薬の効果を改めて知った私は、用法をまもって服薬を再開しました。

服薬を再開しても、強い不安や焦燥感、気分の落ち込みに襲われることがありました。そこで気づいたのは、以前服薬していたときより、症状がひどくなっているということでした。

特に不安が強くなり、気分の落ち込みが何日も続くこともありました。そこで初めて、継続した服薬のおかげで、症状が少しずつ緩和されていたにことに気づけました。

自己判断での断薬は、自分で自分を苦しめるだけだったのです。

最後に

自己判断での断薬は、本当にやめてください。

安定してきた精神状態を一気に崩すことになるからです。決められた用量の服薬が、脳内のバランスを保っています。そして継続した服薬が、症状の悪化を防いだり、つらい症状を和らげていることを忘れないでください。

「薬をやめたい」「薬を減らしたい」と思うのなら、まず主治医に相談を。主治医に話しづらい場合は、処方薬を受け取る薬局で薬剤師でもかまいません。

素人判断だけは絶対にやめてください。

参考文献

【抗うつ薬、減薬の難しさ『中止後発現症状』とは|ベスリクリニック】
https://besli.jp/

主水

主水

うつと診断されてから長い引きこもり生活へ。そして現在、就労移行支援事業所に通いながら再就職を目指しています。趣味は、ジムでの筋トレと読書、編み物です。

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