うつ病になって~診断前後の意識の変化

うつ病

出典:Photo by Metis Designer on Unsplash

自分や周りの人が「うつ病」と診断された経験はありますか?医師から診断が出た際にショックを、受けた方は少なくないと思います。私もうつ病と診断されてショックを受けた1人です。しかし、診断される前と後で自分に対する意識が変わりました。

どのように意識が変わったのか?今まで自分を「健常者」だと思って生きてきた私が、うつ病と診断されてからのことも、一緒にお話しします。

仕事ができず、馴染めない

私がうつ病と診断されたのは約1年前のことでした。営業職員として働いていた私は仕事のノルマをこなせないことが多く、指示されても行動に移すことができず、何度も面談を実施されたり、上司に呆れられてばかりいました。

コミュニケーションも苦手で、相談があっても中々話しかけることができず、面談という場を設けられても何も話せない状態でした。何が分からなくて、どう困っているのかが自分でも分からず、口にすることができなかったのです。

そのため「報告・連絡・相談」について繰り返し注意をされても、直前での相談や事後報告になることも多く、自分のことをダメな人間だと思い込んでいました。

そんな中、仕事や対人関係のストレスで体調を崩してしまいました。ノルマがこなせずクビ寸前の状態に陥ったからです。そこで、初めて心療内科を受診して自分がうつ病であること知りました。診断を聞いたとき、ショックを受けながらも自分が苦しいのは病気だからなんだと安堵した気持ちもありました。

友人への相談

医師の診断を受けて休職することになっても、独り暮らしをしていた私は実家にいる家族に伝える勇気がなく、けれど自分1人で抱えることが苦しくて悩んでいました。

そんなとき「なにかあった?」と友人が声をかけてくれました。その友人は趣味の合う人で、障害者でもありました。「この人ならうつ病であることを話しても否定することなく聞いてくれるのでは?」と、友人の優しさに甘えることにしたのです。

話を聞いてくれた友人は、予想外の話題で言葉に困っていましたが、私を気遣う様子が伝わってきたので、安心して話すことができました。友人に話すことで心の整理をすることができ、次第に気持ちが落ち着いていきました。

友人は「またなにかあったら聞くよ」といってくれて「頼っていいんだ」と安心感が私の中で生まれたのです。

いつも通りの家族

翌日、母に電話で自分がうつ病であることと休職することを伝えました。突然の告白だったにもかかわらず、私の身を心配する言葉をかけてくれて、泣いてしまったりもしました。

母から話を聞いた父が「休職中は実家で過ごせばいい」と車で迎えに来てくれました。車内で発症した時期について聞かれましたが「診断されたのは数日前だけど、前からそういうことはあった」と正直な気持ちを伝えました。父は「誰にでもそういうことはある」となんでもないことのように呟いて、追及も否定もしなかったのです。このとき父が何を思っていたのかは分かりません。けれど責めたり怒ったりせず、受け止めてくれたことに安堵しました。

実家で過ごすようになって、家族からしたら「私は普段通りにしか見えないんじゃないか」と不安に思う部分もありました。私自身が、診断を受けても「本当にうつ病なのか?」と疑ったり受け止められずにいたからです。

しかし、家族は休職中の私に特別に気を遣うことはなくいつも通りでした。それがなんだか不思議で、そしてすごく嬉しかったです。

うつ病でもそうでなくても私は私なんだ、ここに居ていいんだと。

そう言ってもらえているような気持ちでした。

意識の変化

診断される前は自分を責めることが多く「どうしてできないのか」「自分がダメだから」と1人で思い悩んでいました。苦しさやしんどさを感じても、自分よりも苦しい人がいると考えて生きていました。周りの人が許しても私自身が自分を許せず、気にし続けている事柄も多くあります。

ですが、うつ病と診断されたのを機に私の中で変化したことがあります。それは自分だけで抱えていては、再び苦しむことになるという危機感でした。発症当時のように苦しみたくないという思いが芽生えていたのです。

それからは自分がつらくならないように、少しずつ動けるようになりました。周りに思っていることや、感じていることを伝えたり、距離を置いたり、無理しておこなわないようにしました。

以前は周りを気にして合わせていたことや、抑え込んでいたことでも、発信してみると意外と大したことない様子で受け取ってもらえて「気にしすぎていたのか」と感じたり、どうするかを一緒に考えてくれることが増えました。

自分がこう思うではなく、相手に話すことで初めて分かる……。そんな当たり前のようなことを、私は気づけていなかったのです。

最後に

うつ病と診断されたことはショックでしたが、それ以上にえるものが大きかったと思っています。知る前のことを振り返ってみると、自分が生きにくい考え方をしていると感じても、前の私はこの生き方でいいと考えを固めて変える気がありませんでした。

うつ病である自覚が生まれて、ようやく自分に優しくできるようになりました。いい訳としか思えなかった自分の苦手や、我がままになると考えていた自分にとって、嫌なことを伝えることが前よりも許せるようになりました。これは私にとって大きな変化です。

目に見えて何かが変わったわけではありませんから、周りからすれば前も今も同じように見えるかもしれません。それでも、私の意識は診断を受けたことによって変化し、自分にとってよりよい形で前に進めるようになったのだと。そう感じています。

もこ

もこ

一年前にうつ病を発症、退職して就労移行支援事業所に通い始める。自分の障害や特性を少しずつ理解しながら、好きなことを楽しんで生きていきたい。

趣味は絵を描くこと。好きなものを好きなときに、自分の思うままに描きたい。

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