うつ病にまつわる「お金」の話~お金の心配を減らして、療養に集中しよう

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出典:Photo by Towfiqu barbhuiya on Unsplash

「休職で給与はもらえない」「その間傷病手当がはいるというが、実際どのくらいもらえるのか」「傷病手当が切れても働けない場合は、どう食いつなげばいいのか」どれも筆者がうつ病にかかってから、実際にいだいた不安です。

貯金なし、家族に頼れない状況でのうつ病休職からの退職。どういった費用がかかってくるのか。筆者の経験を振り返ります。

お金の不安が療養に悪影響だった

うつ病にかかった筆者は当時、正社員で働いていました。貯金なし、両親もそれぞれお金の都合がつかず頼れません。さらに借金の返済中で、仕事もできれば辞めたくない状況でした。

病院で相談をしたり、ネットで検索をして知識をえましたが、それでもわかっていなかったことが多くありました。

そんな状況だったので、給与がでないことを知って会社に「傷病手当」について問い合わせました。傷病手当はまずかかりつけ医へ提出し、自身も記載後に会社へ送付します。その後、健康保険組合へ会社より送付し、健康保険組合で審査の後に支給されます。

筆者の場合は、まずかかりつけ医で記載してもらうのに、1週間かかりました。会社に送付後、会社から健康保険組合に送付されるのにも約1週間。さらに健康保険組合では、初回の審査があるため「振り込まれるまで2週間から4週間程度かかる」ということがわかりました。筆者の会社で入っている保険組合では、振込日が決まっており、その日付に間に合えば月初に入ることも、月末に入ることもありました。

すぐに支給されるわけではないこと、しばらく生活が不安定になるということがわかり、療養に集中できませんでした。毎日お金のことについて悩み、早く復帰しなければという気持ちでいっぱいでした。

また、収入が不安定な状況でも毎月の給料日に、会社から社会保険料と住民税が差し引かれます。貯金などない状況でしたので、なんとか待ってもらい収入をえられれば支払いをしました。

初回は、かかりつけ医の診断書を発行してもらうための費用も発生しており、手持ちがない状況での出費がいささか多くなってしまいました。

傷病手当は、支給開始日以前の12か月の報酬月額から計算されます。だいたい月給の2/3程度が支給されるといわれています。

6か月がたち受けられた支援

休職から6か月は、収入と支出のバランスが悪く療養に集中できませんでした。しかし、それも休職満了期間を迎え、退職してからのち変わります。まず、社会保険料の支払いから国民健康保健・国民年金への支払いに切り替わりました。社会保険とは違い、それぞれ申請をすることで減免や全額免除が適用され、無理のない範囲で支払うことが可能となりました。

住民税についても、本来は自己都合による退職では減額・免除申請が適用されませんが、今回の筆者のような病気による退職の場合は、正当な理由のある退職に該当するため、減額・免除が適用されました。

病院代に関しては、初診日から6か月がたったこともあり、自立医療支援を利用することができるようになりました。おかげで診察代、薬代については負担が減り生活費にまわせるようになったのです。

しかし、減った費用だけでなく増えた費用もあります。再就職を目指していたため、より症状を安定させるためにもと、自立訓練(生活訓練)に通い始めたのです。利用料は前年度の所得から計算されるため、たとえ現在働いていなくても負担額は固定でした。筆者の場合、月9300円と事業所までの交通費、お昼代がかかるようになりました。

交通費に関しては、市の助成があり定期券の半額は支給されます。しかしこちらも、申請は2か月に1度であり、はじめに大きな金額を負担する必要があります。

月の利用料と交通費が負担だったため、一度退所して就労継続支援Bへと切り替えました。こちらでは施設にもよりますが、送迎があり交通費はかかりませんでした。利用料やお昼代はかかりますが、工賃から差し引きができたのです。そのおかげで、利用料を支払いつつあまった工賃で、生活費をプラスにすることができました。筆者の場合、月2000円程度は生活費がプラスになりました。

また、生活での困りごとがあり、計画相談支援員を通じてヘルパーを申し込んだので、利用料がかかります。こちらは、だいたい払える範囲で通ってもらうように調整しましたが、月2000円~3000円になりました。

タイミングを逃すと受けられない支援

1年6か月後、傷病手当金がきれたらどうお金を工面するのか。

筆者の場合、籍自体は1年を超えていたため、雇用保険失業給付を利用することができました。本来であれば、退職後に手続きをするものですが、療養するために失業給付を受給する申請ができませんでした。なので、いったんハローワークで療養に専念するむねを伝え、受給期間を延長する手続きをおこなったのです。

雇用保険失業給付を選択したことで、利用できなかったものもあります。障害年金、住宅確保給付金、緊急小口資金などです。

本当であれば、一度傷病手当金が切れる前の段階で、市役所の生活相談窓口や社会福祉協議会へ相談するべきでした。療養が必要な身で、生活費が途切れる不安から、無理をして「働けるのだ」と主張し、失業給付の申請と就職活動を始めました。

大きな失敗として、はじめにいくら失業給付金が入るのかわからなかったことがあります。あとあとハローワークで確認したところ、初回は1か月分ではなく20日程度の分だったため、生活費が足りなくなりました。

家賃が払えず、泣く泣く社会福祉協議会や生活相談窓口へ足を運びました。しかし、前述した住宅確保給付金と緊急小口資金を利用できない状況だったのです。幸運なことに、民間の社団法人で生活費の相談支援を1度だけ行ってくれる団体を生活相談窓口で紹介してもらったおかげで、ようやく家賃を支払うことができました。

なんとか生活は成り立っていましたが、申請のタイミングや利用できるものを逃してしまったことが、その後の生活を再び苦しくしてしまいました。

しかしその時は申請しませんでしたが、本来であれば障害年金を申請するべきでした。支給されるまで半年ほどかかること、申請書類の用意が大変ではありますが、社会保険労務士に代行を依頼することもできます。費用はかかるものの、成功報酬で支給された後に支払うことが可能の場合もあるので、一度無料相談会へいくべきだったと後悔しています。

とはいえ、障害年金が支給決定されるまで生活保護を受ける必要がある、という部分で筆者は断念しました。生活保護を受けるべき状況でしたし、受けることは当然の権利です。しかし、また新たに生活を監視する人間が増える、という点が筆者にとっては大きなストレスでした。かかりつけ医や計画相談支援員、社会福祉協議会、市役所の生活相談窓口担当者、訪問看護、就労継続支援Bのサービス管理者など、さまざまな人に助けられながら当時生活をしてました。その分、どうしても人に話したくないプライベートなことも、たびたびつっこんで聞かれます。

生活保護を受けた場合、さらに生活指導を受けることになります。生活を立て直すためには必要なことですが「これ以上、生活に他人が入ってほしくない」という拒絶反応が出て申請しませんでした。しかし、利用していればより早い生活の立て直しができたかもしれません。金銭面で苦労したことも考えると、もっと頼るべきだったと思います。

うつ病の療養中は、なかなか頼るということが心理的に難しいかもしれませんが、自身のためにもその後の再就職のためにも、人に頼ることをもっと覚えるべきだと思いました。

頼れるところは頼ることが療養には大切

うつ病での療養中、お金を管理するというのは難しいことです。特に一人暮らしの場合は、すべて自分でやらなければならない大変さもあります。しかし、本当であればさまざまな支援を利用し、苦しむことなく療養に専念することもできたのです。

貯金を生活費の3か月分でもしていれば、違ったかもしれません。筆者は今後のために、生活費の3か月分は貯金をしようと決めました。

働いている場合、人事または担当者に傷病手当についてどういう手続きが必要か確認しましょう。休職中、あるいは退職後の生活でお金に困っている場合は、まず市役所の生活相談員に問い合わせ、面談をすることをおすすめします。そこから、社会福祉協議会に繋いでくれることもあります。または、計画相談支援員に相談しましょう。計画相談支援員から、生活相談員や社会福祉協議会と連携を取って、計画を立ててくれる場合もあります。

支援はあるものの、どうしてもお金はかかります。うまく制度を利用して、療養に集中できる環境作りをしましょう。この記事を参考にしてもらえると幸いです。

参考文献

【障害者の利用者負担|厚生労働省】
https://www.mhlw.go.jp/index.html

【生活福祉資金貸付制度 |厚生労働省】
https://www.mhlw.go.jp/index.html

春水

春水

2年前にうつ病を発症。うつをきっかけに、自身の暮らしや考え方の癖を見直し生まれ変わる努力をした結果、就職が決まり彼氏もできました。どん底から幸せになれたので、今後の再発防止のための情報発信をしていきます。

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