「民生委員・児童委員」の改選迫る。イメージ調査も実施

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民生委員および児童委員の改選が今年の12月全国一斉に行われます。それに先立って民生委員のイメージ調査を3月に実施されました。この流れは3年前の2019年と同じであり、インターネット調査については前回に続いて2度目となります。

調査の中では前回と同じ課題が残っていると分かった一方で、変化もまた見られました。コロナ禍の影響なども併せて結果をお伝えしましょう。

民生委員とは

民生委員は、厚生労働大臣により委嘱される非常勤の地方公務員です。年6万円ほどの活動費を除いて無報酬のボランティアではありますが、市町村ごとに選任された熱意ある住民が、地域の一人暮らしの高齢者・障害者ひとり親家庭などを見回りや相談で支えています。全ての民生委員は児童委員も兼ねています。

家族や地域コミュニティーが薄れていると言われている昨今、見守りや交流を担う民生委員への期待は膨らんでいます。その一方で、委員の高齢化や担い手不足といった問題があり、新しく入った委員も活動のきつさから1期限りで辞めてしまいます。

コロナ禍による生活スタイルの変化は民生委員の活動にも影響しており、相談内容にはワクチン接種のサポートや外出自粛に伴う心のケアなどが加わっています。また、感染予防に則した新たなガイドラインの策定や、メール・SNS・ビデオ通話などを用いたオンラインでの見回り活動など、スタイルを変化させたうえで支援を続けています。

活動までは知られていないが顔は覚えてもらえる

イメージ調査の結果をお伝えしましょう。まず民生委員および児童委員の知名度や周知度についてです。程度を問わず認知している割合は64.0%と、前回から5.8ポイント落ちてはいるものの6割台を堅持していました。60~70代は男性89.0%・女性89.4%と、9割近くに知られています。

活動内容まで周知している割合に至っては、前回から更に2.5ポイント下がって5.4%に留まっています。名前だけでなく活動内容についても知ってもらうPR面の課題が前回よりも深刻になった格好といえるでしょう。

一方で、「お住いの地域の民生委員・児童委員をご存知ですか」という設問では、認知している割合が23.8%にのぼり、約4人に1人が知っているという結果になりました。顔も名前も知っている割合については12.2%と、これでも約8人に1人が知っていることとなっています。

活動の幅広さに加え、地域に密着した地道な訪問活動の継続が、こうした認知を進めている理由と考えられます。民生委員がポピュラーな地域では誰もがよく知る顔として通っていることがうかがえます。

コロナ禍で変化はあったのか

次に、民生委員に相談したいかどうかとその内容についてです。相談そのものをしたいかどうかについて、相談の意思を示したのは39.1%となりました。前回に比べて7.3ポイント下がってはいるものの、コロナ禍による活動制限を加味すれば依然多くから助けを求められているといえます。相談の意欲は年代が上がるほど高まっていき、60~70代男性に至っては5割近くが相談に前向きでした。

具体的な相談内容については、「生活の困りごと」が最も高く37.5%に。次いで「地域の困りごと」が30.5%、「高齢者に関すること」が29.2%と続きました。トップ3の内容も順番も前回と一緒ですが、生活の困りごとは前回から2.0ポイント増加しており、コロナ禍による孤立・雇用不安・経済困窮が反映されています。

「民生委員・児童委員として、より充実させることが望ましい活動内容」については、「地域の困りごと」が最も高く44.8%に。次に「生活の困りごと」が38.6%という結果になりました。前回に比べてそれぞれ3.0ポイント、8.0ポイント上昇しており、コロナ禍を挟んで大きな期待を抱かれていることが分かりました。

より具体的な内容としては、「高齢者への訪問活動」が最も高く35.4%。次いで「生活相談、心配ごと相談窓口の開設」が23.3%、「子育て家庭などへの訪問活動」が21.5と続きました。また「低所得世帯やひとり親世帯への支援(子ども食堂・子どもの学習支援など)」が18.3%と5番目に高い割合を出しています。

興味を持つ若者は増えた

将来的には民生委員となってみたいかという質問についてです。「当てはまる」「やや当てはまる」と前向きな回答をしたのは、男女ともに10~20代が全体平均より高く、全世代で最も高い約25%でした。前回の調査と比較すると、男女ともに4.7ポイント増加しています。

30代や40代も男女ともに約2割と高い水準を堅持しており、若い層のSDGs(持続可能な開発目標)への関心や、社会貢献志向の高まりも背景にあるのではないかと推察されます。委員の具体的な活動内容を20~40代に周知していくターゲティングが、今後の担い手不足を解消する決め手となるでしょう。

障害者ドットコムニュース編集部

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