分身ロボット「OriHime」が示す新たな働き方

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分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」でおなじみの「オリィ研究所」は、6月から実験店舗として「分身ロボットカフェDAWN(ドーン)Ver.β(以下DAWN)」を東京の日本橋にオープンしています。身長120cm程度のオリヒメを自宅などから遠隔操作して接客するというスタイルは、新たな働き方の形を示してくれました。

接客はロボット、操作は自宅

DAWNは業務の一部をロボットが行うカフェで、オリィ研究所がクラウドファンディングや企業協賛などの助力を受けて開店しました。ロボットの業務は主に接客ですが、コーヒーを淹れるバリスタロボットも存在します。

接客用である「オリヒメディー」は従来のものより数段大きく、腹部のトレーに商品を乗せて運ぶことでウェイター業務が出来るようになっています。そして、オリヒメの例に漏れずカメラやスピーカーを介して遠隔コミュニケーションをとることが出来ます。ログインしている店員の情報が出る名札のようなものも完備しています。

お客さんや現場スタッフと談笑するだけでなく、同じくオリヒメで出勤している同僚とコミュニケーションをとる事も出来ます。こうした社会参加のスタイルは、オリィ研究所の吉藤代表が掲げる「孤独の解消」に根差したものだそうです。

「バリバラの河童」も絶賛の勤労スタイル

主にEテレのテレビ番組「バリバラ」で後ろの河童として出演されている「寝たきり芸人・あそどっぐ」さんも、DAWNの店員として熊本の自宅からリモート出勤しています。わずかに動く下唇と左手親指で、東京の店舗ではオリヒメが自在に動いているのです。

「売れない芸人はアルバイトをするものだから、これで自分も芸人らしくなれた」「簡単な操作で楽しく働けるし、地方よりも時給は良い」と仕事に就いて語るあそどっぐさん。ウェイター業務の傍ら、生身のスタッフや同じくオリヒメで勤務する同僚らと談笑する余裕も見せています。

あそどっぐさんの他にも約60人がオリヒメを介して勤務しており、身体障害だけでなく介護や子育てなどで外に出られない人も含まれています。スタッフの一人は「自分で動ける範囲が狭くとも、オリヒメがあれば繋がりは広がる」と意気込んでいました。

個人的な懸念(個人の意見ともいう)

DAWNのような就労形態は非常に画期的かつ先進的ですが、その分多くの課題も想定されます。単純に何機もロボットを抱えて管理するコストが心配ですし、最近は半導体不足も叫ばれており2号店や類似ビジネスはそう簡単に出ないのではないかと思っております。

仮にロボットによるリモート就労が一般化したとしても、それが本当に障害者就労の切り札となるかと言いますと、DAWNのような形態ひとつでは荷が勝つのではないかと思います。他にも障害者就労における新たなアイデアに基づいた選択肢が生まれるべきです。

一つあり得るのが、ロボットによるリモートカフェを特例子会社として開業し、ロボットを遠隔操作する従業員も重度の身体障害者を優先して雇用するスタイルです。在宅勤務の雇用では、「元々身体障害者の需要は高い」「障害者2人分としてカウントされる」「在宅なので社内のバリアフリーは問われない」といった理由で重度の身体障害者が大人気だといわれています。

企業や人事の現状を考えると「仏作って魂入れず」にならないことを願うばかりです。

参考サイト

寝たきり芸人、分身ロボで“出勤” 東京のカフェへ熊本から遠隔操作で社会とつながり
https://news.yahoo.co.jp

日本橋にオープン、分身ロボットカフェの4つの魅力
https://www.timeout.jp

遥けき博愛の郷

遥けき博愛の郷

大学4年の時に就活うつとなり、紆余曲折を経て自閉症スペクトラムと診断される。書く話題のきっかけは大体Twitterというぐらいのツイ廃。最近の悩みはデレステのLv26譜面から詰まっていること。

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