真面目過ぎるあなたへ~アダルトチルドレンとは何か

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出典:Photo by Juliane Liebermann on Unsplash

自分は、ソーシャルワーカーの方からアダルトチルドレンだといわれました。最初にそう告げられたときはいい気分ではなかったです。正直、今でも「なぜ、私が、そんな異端者のようにいわれなければならないのか」と思うときがあります。 しかし、その嫌悪感の理由は、自分自身でもアダルトチルドレンに対して偏見と誤解を持っていたからだと気付きました。どのようにして誤解を解消できたのか、そもそもアダルトチルドレンとは何かを少しでもお伝え出来ればと思います。

きっかけ

まず、私はお世辞にも家族仲が良好とはいい難いです。両親は私が幼いころから喧嘩が多く、特に夜中によく揉めていました。今でこそ私が大人になったため、ある程度聞き流すことができるようになりましたが、両親はときに暴力にまで発展する喧嘩をします。それが昔からとても苦手です。 喧嘩の内容は様々ですが、私のことでいい争っているときは壁越しでも私の名前が挙がっているのが聞こえました。まるで自分自身が怒鳴られている様な気分になって、安心して眠れる日は少なかったです。一番安心できる場所であるはずの自宅で、警戒状態が続くのが当たり前になっていました。

思えば、小さいときから両親の機嫌をうかがう立ち振る舞いをしていました。特に母が大きな問題です。彼女のアルコール依存症が原因となり、家庭環境は最悪のものでした。現在は治療のおかげでかなり立ち直ったものの、発達障害だと判明。 依存症も発達障害も本人が好きでなったものではない、悪くはないと頭では理解しつつも、共感能力が著しく低く、他責的な言動が目立つ母に振り回され、精神的に疲弊していきました。 意見が食い違い口論になっても、相手は自身の特性を理由に保身し、こちらの意見はほとんど通りません。これは何度かお医者様やワーカーさんにも相談したのですが、結局は「そういう特性だから仕方がない」と返されます。

いつごろからか、私自身も軽い不眠症状を発症して、お世話になっている病院でソーシャルワーカーさんから「アダルトチルドレン」という言葉を聞くことになりました。

勘違いされやすい名前

この「アダルトチルドレン」という名称は、悪い意味で誤解されやすいです。直訳すれば「大人子供」という何だか小馬鹿にしたような言葉になるためか、深く知らずに語感だけで、ニートや社会不適合者のことを指す単語だと勘違いしている人は意外と多いです。かくいう私もそうでした。 なので、初めてアダルトチルドレンだといわれたとき、気分を害したのです。「こちらは主に母親からの理不尽な言動に疲れ、ろくに相談できる相手もいなかったというのに、それすら私の努力不足扱いなのか」と怒りさえ感じました。

しかしソーシャルワーカーさんの話を聞き、自分でも調べ、復職支援の施設に通っているうちに、その認識が誤っていたと分かりました。アダルトチルドレンとは何も、そのまま「大人子供」という意味ではないのです。 アダルトチルドレンとは

・アルコール依存症の親の元で育った人

・機能不全家族(虐待を受けていた、極端にコミュニケーションが少ない家庭だったなど)の中で育った人

を指す言葉であり、診断名や病名ではありません。 簡単にいうと、家庭内で感情の行き場をなくし抑圧されてきた大人、家庭内に何らかの問題を抱え、それがトラウマとなっている大人などを指します。決して悪口や蔑称ではないです。 古くは1970年ごろにアメリカのソーシャルワーカー間で使われていた言葉でした。そのころは、飲酒をやめられない配偶者の世話を焼き、苦悩しつつもその世話焼きに自身の存在価値を見出してしまい相手から離れられなくなった、いわゆる「依存関係」に陥っている方を指すものだったそうです。日本に入ってきたのは1989年ごろですが、当時の日本ではまだそこまでアルコール依存症が問題視されていなかったこともあり、言葉の持つ定義が広がりました。

「家庭環境により過度にいいこであることを求められてきた経験のある人、他者からの期待に応えることに必死になりすぎて生きづらさを感じる人」

と、家庭内の環境により生きづらさを覚えている人全般を表す言葉になっていきました。

特徴

アダルトチルドレンにはいくつかの特徴があります。

・自己肯定感が低い
・極端に自分を責める
・自分に自信がない
・自己犠牲的
・人に嫌われるのを避けるために自分の気持ちを押し殺す
・共依存しやすい

などがおおまかな特徴です。

他にも細かく区分できますが、育った環境に由来した過去のトラウマに悩まされている場合が多いです。私の場合も、自己肯定感の低さや必要以上に自分を責めてしまう傾向があります。それによってまた苦しくなり、さらに自分を責めるという負のループが起きやすいです。ですが、こういった特徴はありつつも、症状や病気、障害ではないとされているので、これといった特効薬や治療法はありません。

アダルトチルドレンとは病気ではなく、しかし確実にその人の心の傷だと私は考えています。ですが、家庭環境に由来する要素が多いので、理解をもらえないこともあります。自分ひとりだけだと自覚はできてもそこから進むことが難しく、一番近い場所にいて頼れるはずの家族が心労の原因になっているパターンも多いので、誰にも話せず抱え込んでしまいがちです。 私の場合は、通っている復職支援のスタッフさんと面談をしたり、同じ所に通っているメンバーさんとおたがいの長所探しあいっこをしたりして、少しずつ自分を認められるようになってきたところです。

この特性を持った人は、私をふくめ自分を異常に過小評価してしまいがちで、正しく自己理解できていないことが多いです。明確な治療法はありませんが、自己理解を深め、第三者のフラットな評価をもらえれば、少しずつでも前向きになれます。 私は、誰かのために真面目でいなければという一種の義務感をちょっとずつ放棄して、楽観的に過ごすよう心がけています。自分の人生は結局のところ自分だけのものなので「自分以外の誰かのために心をすり減らすのは、もったいないな」と思えたからです。そう思わせてくれたのはやはり、第三者からの意見でした。

同じ苦しさを抱えている人にまず、おすすめするのが「自己理解」です。自分がアダルトチルドレンだと認識することは人によって辛いものだと思います。しかし、現在の自分の状況を理解してから行動した方が、仲間は作りやすいです。仮にもし上手くいかなかったとしても、それで自分を責める必要は全くありません。一緒に、気楽に生きてみましょう。

参考文献

【"wikpedia アダルトチルドレン】
https://ja.wikipedia.org/

【社会法人スマイルライフ アダルトチルドレンの特徴と克服するための4つの方法を紹介】
https://smile-l.org/

真夜中

真夜中

アニメや漫画、ゲームが大好きなオタク。
軽度の不眠症持ち。
柴犬を飼いたい。

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