発達障害と家から出るまでの苦労

発達障害

出典:Photo by Kat Closon on Unsplash

発達障害をもっている自分が、お出かけをする際、健常者の方々には想像がつきにくい困難さを抱えています。出かける際に必要な色々なものの場所が分からない、出かける前に自分がちゃんと、必要なものを持っているか自信が無い、出かけてから忘れ物に気がつく……。

このコラムでは、そんな私が出かける際に気をつけていること、やっていることについて、簡単ではありますが紹介させていただきたいと思います。

出かける前の身支度~必要なものの取り扱い方

発達障害を持っている少なくない方が「あれ?これどこに置いたっけ?」と出かけるのに必要なものがなかなか見つからないという、経験があるかと思います。物の置き場所が分からず、支度をするのに時間がかかってしまい、約束に間に合わないこともあるかもしれません。そうならないために実践していることを紹介します。

まず「必要なものは、全部固めて1か所に置く」です。私の場合ですが、家のカギや財布、時計、定期券など出かけるのに必要なものは、全て固めて自室のテレビの前に置くようにしています。

私が参考にした本では「1つのボックスを作って、そこに必要なものは全て入れるようにする」という内容でしたが、私の場合そのようなことをすると、部屋中ボックスまみれになってしまうため、自室のテレビの前と場所を決めて、必ずそこに帰ってきたら置くようにしています。

疲れていたり、しんどかったりなどで、そこに置けないこともあるかもしれません。そんな場合のために、私は別の対策もしています。それは「大切なものには忘れ物防止タグを付ける」です。

参考にしている本でも同じようなことをしているのですが、私の場合は財布と家のカギに忘れ物防止タグをつけるようにしています。また、そのタグから音が出るタイプにして、そのタグから携帯電話も探せるようにしています。

親から「携帯不携帯」といわれるぐらいには、携帯電話を持った気で出かけてしまい、連絡が付かなくなってしまうこともよくあります。ですから、私はいつもカギや財布の忘れ物防止タグから携帯電話を呼び出して、持っていることを確認するようにしています。

逆に携帯電話からも、タグを探せるように設定しているため、カギなどを持っているかどうかを、実際にタグから音を鳴らして確認するようにしています。そうして忘れ物が無いか確認してから、出かけるようにしています。

部屋を出る前にしていること~パンパンチェック

こうして忘れ物がないように準備していても、発達障害を持っている私は、ちゃんと準備ができているのか不安になる場合があります。その際におこなっているのがパンパンチェックです。

財布やカギなどが、実際に身に付いているかどうか、いつも自分がそれらのものを入れているポケットを軽くパンパンとたたき、実際に物があるかどうか確認しています。これならそこに物が入っているなら、そのものの感触が感じ取れますし、無かった場合はその手は空を切ります。そうすることで不安を取り除くようにしています。

発達障害の子どもを持つ親御さんの場合、親御さんがこのチェックをしてしまうのかなと思います。しかし私の考えですが、それは子どもにさせた方がいいと思います。

自分で忘れ物が無いかどうかのチェックをする習慣をつけることで、自分で気づけるようになると考えているからです。実際私もよく親に「忘れ物ないか確認した?」といわれるのですが、自分で確認していると、自信をもってそれに対して返事ができるのです。

今のご時世だから気を付けること~でかける際のマスクについて

新型コロナウイルスやインフルエンザなどこのご時世、出かける際マスクは必須といっても過言ではないと思います。しかし、発達障害を持つ私たちにとって、マスクも忘れ物のひとつとして挙げられるのです。

ただ、マスクに忘れ物防止タグをつけることはできませんし、部屋で付けてから出かけると決めてもそもそもそれを忘れてしまう。ならどうすればいいのか。私は、次のような解決策をしています。

まずは「玄関ドアの近くにマスクケースを貼りつける」というものです。最近では雑貨店などで、磁石で玄関ドアなどに貼りつけることのできる、マスクの収納ボックスが売られているかと思います。私はそれを購入し、玄関ドアの隣にあるスペースに貼りつけています。

それを活用して、出かける際は、そこからマスクを1枚とってそのままつけるようにしています。また、補充用のマスクも靴箱に置いておくことで、収納ボックス内のマスクが少なくなってきたときに、すぐに補充できるようにしています。

それでも忘れてしまうのが発達障害を持つ私。その場合に備えて「最低5枚はどのカバンにも入れておく」ようにしています。

よくあるのが、駅で電車を待っていて、もうすぐ電車が来るからマスクをつけよう、と思ったときに家からマスクを持ってきていない……という状況です。そんなことないだろうと普通の人なら思うかもしれませんが、発達障害の人ならありえてしまうのです。

そのような状況がおこってもいいように、私の場合は常にマスクを最低5枚、出かけるのに使うカバン全てに入れるようにしています。

5枚マスクを入れておけば、玄関でマスクを取ってこなかった場合に対応できますし、くしゃみや咳などでマスクが汚れてしまったときや、煙などのにおいがついてしまい変えたくなった場合に、すぐにカバンからとりだして交換することができるからです。

こちらの方は、無くなったら補充という形で私はマスクを補充していますが、常に5枚あるようにしてもいいのかな、とは思います。また、カバンに入れるマスクは個包装のマスクを重宝しています。普通のマスクを袋に入れて持ち歩くよりは、衛生的かと思うからです。

これまで私はこの記事で、出かける際のルールとして「必要なものは必ず同じ場所に置く」「忘れ物防止タグを有効利用する」「自分でチェックできる習慣をつける」「マスクについても十分に忘れてもいいような対策を取る」といったことを紹介させていただきました。少しでも私の経験が役に立てば幸いです。


参考文献

【『発達障害サバイバルガイド―「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47』 借金玉著 ダイヤモンド社 第10刷 2021年 19~52p】

猫目漱石

猫目漱石

20歳の頃に広汎性発達障害と診断されて以降、大学を卒業後30歳まで健常者として仕事を行なう。2022年に障碍者手帳を取得し現在は障碍者雇用を目指し勉強中。
座右の銘は「孤高であり、至宝であれ」。一人として自立し自律出来るようにしつつオンリーワンの価値を見出すために日々奮闘中。

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