発達障害のASDとADHDを併発しています!

ヘルプマークについて、PTSD・パニック障害の私が思うこと〜発達障害のASDとADHDを併発しています!<vol.36>

暮らし 発達障害
発達障害のASDとADHDを併発しています!vol.36 <毎月1日連載>

最近ネットニュースで、ヘルプマークを安易につける方や悪用されるケースがあるというのを拝見しました。悪用されるケースは、本当にやめて欲しい。日本の旅行では、ヘルプマークをつけていると、楽に行けるみたいなケースは、悪質すぎます。本当に病気や障害で困ったときに、助けられない、配慮されない方が出てくるのは危険です。

安易につけるケースでは、自分の弱い部分をヘルプマークをつけることによって、優しく接してもらえるということです。ミスが多い、片付けが苦手な方が、自称ADHDを名乗るようなものらしいのです。

見えない障害だからこそのヘルプマーク

私には、発達障害(ASDとADHD)があり、二次障害としてパニック障害、過去には阪神・淡路大震災をきっかけにPTSDも発症しました。ASDの感覚過敏が一番の困りごとで、人混みや特定の音、匂いがどうしても辛い時があります。電車も長く苦手で、新幹線にやっと乗れるようになるまでに、本当に長い時間がかかりました。
外見ではこうした特性は分かってもらえません。だからこそ、ヘルプマークは私のような「見えない障害」を持つ者にとって、外の世界とつながるための小さな目印になってくれます。混雑した駅のホームで動けなくなったとき、電車の中で過呼吸になりかけたとき、カバンに下げているあのマークが、誰かの目に入って声をかけてくださる。実際に何度も助けていただきました。あの一声で、どれだけ救われてきたか分かりません。

ヘルプマークをつけるまでの葛藤

正直に言うと、私自身もヘルプマークをつけるまでには、ためらいがありました。ASDと正式に診断されたのは、わずか5年前のことです。それまでずっと「みんなと違うのはなぜだろう」と感じながら生きてきて、診断が出てもなお、「私が本当につけていいのかな」「もっと大変な方がいるのに」と何度も思いました。

ピアサポーターとして活動していると、同じように悩みながらヘルプマークをつけ始めた方にもよくお会いします。皆さん、軽い気持ちでつけているわけではありません。「見えない自分の困りごとを、社会に少しだけ託してみよう」という、本当に小さな勇気を絞り出してつけているのです。

悪用は、誰の優しさを奪うのか

だからこそ、旅行で楽をするためにヘルプマークをつけるとか、優先的に扱ってもらえるからつけるといった話を聞くと、胸が痛みます。あのマークが社会の中で機能しているのは、たくさんの方が「困っている人がいたら助けよう」という気持ちを、長い時間をかけて育ててきてくださったからです。その積み重ねがあるからこそ、私は何とか外に出ることができています。

悪用が続けば、その優しさは少しずつすり減ってしまいます。「またヘルプマークか」と思われるようになってしまったら、本当に困っている方が声を出せなくなります。困るのは、ヘルプマークをつけた本人ではなく、これからつけようか迷っている人や、症状が一番重い時期にいる人です。私自身、過呼吸でうずくまっていた頃を思い返すと、その方たちのことが心配でたまりません。

「自称ADHD」という言葉に思うこと

「自称ADHD」については、私もずっと気になっていました。ピアサポーターをしていると、「片付けが苦手だから自分もADHDかもしれない」と軽くおっしゃる方に出会うことがあります。誰でも忘れ物をしますし、ミスもします。でも診断を受けて生活している私たちにとっては、その特性は「ちょっと苦手」というレベルではなく、毎日の暮らしを大きく揺さぶってくるものです。

ASDについては、以前のコラムでも書きましたが、「自称ASD」と名乗る方はほとんど見かけません。それくらい、ASDは公表してもメリットが少なく、むしろ差別や偏見にさらされやすい障害です。一方でADHDは、「ちょっとそそっかしい個性」のように軽く扱われがちで、そこに「自称」が入り込みやすいのかもしれません。

軽い気持ちで障害名を使うことは、悪気がないとしても、本当にその診断と向き合っている人たちの存在を見えにくくしてしまいます。発達障害は「スペクトラム」ですから、人によって特性の現れ方は本当にさまざまです。一括りにされること、簡単に名乗られること、その両方が、当事者の生きづらさにつながっているように感じます。

それでも、必要な方には迷わずつけてほしい

ここまで書いてきましたが、私が一番伝えたいのは、「本当に必要な方は、どうかためらわずにヘルプマークをつけてほしい」ということです。妊娠初期の方、内部疾患の方、精神疾患の方、発達障害の方。見た目で分からない困りごとを抱えている方は、私が思っているよりずっとたくさんいらっしゃいます。

ヘルプマークは、便利グッズでもファッションでもなく、「私はここにいて、時々助けが必要かもしれません」という、社会への控えめな自己紹介のようなものだと思っています。あの赤いマークの裏側には、それぞれの方の長い葛藤と、それでも外に出ようとする勇気があります。

つける人がその意味を大切にし、つけていない人がその重みを少しだけ想像してくれる。そんな小さな積み重ねが、私のような見えない障害を抱えた者にとって、もう少し息のしやすい社会につながっていくのだと信じています。

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川田 直美  障害者ドットコム株式会社スタッフ

川田 直美  障害者ドットコム株式会社スタッフ

HSP、ASD(自閉症スペクトラム)、ADHD、LD(学習障害)があり、発達障害をコンプリート。パニック障害もあり、生きづらさも感じながらも、日々楽しくいこうと考えている。今まで、花屋、ケーキ屋、カフェ、デザイン企画、オリジナル雑貨制作などいろいろな仕事を経験。自然と犬と本が大好き。

注意欠陥多動性障害(ADHD) 自閉症スペクトラム障害(ASD)

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