ゲーム障害とは?〜発達障害にとってゲームは悪い物?

発達障害 依存症

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2018年6月に世界保健機構(WHO)でゲーム障害が新しい疾病と認定されました。ゲーム好きの一人として、ゲーム障害って何なのか、発達障害にどんな影響があるのかをお話します。

ゲーム障害ってなんだろう?

ゲーム障害は依存症の一つに分類されています。依存症にはアルコールや薬物といった特定の物質に依存する物質依存と特定の行動から得られる安心感や高揚感に依存している行為依存の2種類があります。ゲーム障害は行為依存の一つでギャンブル依存やネット依存、買い物依存などと同じくくりに入っています。

では実際にゲーム障害だと診断される基準にはどういったものがあるのでしょうか?WHOではこのような状態が見られる場合にはゲーム障害が疑われると公表しています。

①ゲームをする時間や頻度を制御できない
②ゲームが他の関心事や行動に優先する
③ゲームにより問題が起きてもゲームを続ける
④個人、家庭、学業、仕事などに重大な支障が出ている
⑤上記4つが12カ月以上続いている

分かりやすい問題例として挙げられるのは、学校や仕事の欠席・欠勤や昼夜逆転といった生活リズムの乱れ、ソーシャルゲームへの課金などです。私自身の昔のことを振り返ると、小学生の頃はゲームは一日一時間と親に決められていました。そのルールを破って一時的に禁止されたこともありましたが、そこで過剰にイライラしたり、それでもゲームをやり続けようとはしませんでしたがので問題は起きませんでしたが、もしかしたら私もゲーム障害予備群ではあったのかもしれません。私が子どもだった頃はゲームはファミコンといった専用の機械が必要で、携帯ゲーム機というものがどんどん出始めた時代でしたのでまだゲームから離れる時間がたくさんありました。ですが今は携帯電話、特にスマートフォンの登場で常にゲームが出来る環境になりました。携帯・スマートフォンが生活上欠かせない物になっていますので、ゲームへの依存が障害として取り上げられるようになったのは自然なことかなと感じます。

発達障害との関係性

発達障害は依存症との関係性が強いと言われています。特にADHDの特徴がある方は脳内の快感物質であるドーパミンの分泌が弱く、やる気や快感を得難い傾向にあり、快感を得るための行動に依存しやすいと考えられています。その行動をゲームに求めた場合、そこに依存しゲーム障害になる可能性があります。また、発達障害の特徴の一つに関心の幅が狭くこだわりが強いということがあります。ゲームに対する強いこだわりがゲーム障害に結びつくことも考えられます。

私も興味の幅は狭い傾向にあります。学生の頃はゲームの話など一部の話だけ多弁で他のことではあまり人と話せませんでした。学業、コミュニケーションに重大な欠陥がなかったと言うだけだったと思います。辛い時に引きこもってゲームだけしていたいと思ったこともありました。少し何かが違えば家にこもってゲームをする毎日を過ごしていたかもしれません。

ゲームは社会と関わる助けにもなる

ただ、私は必ずしもゲームは悪いだけではないと思っております。学生の頃、私はゲームの話ばかりしていましたがゲームがあったからこそ人とコミュニケーションを取ることが出来ました。興味の幅が狭く、知らない事ばかりの私にはゲームという話題は自分が積極的に話ができ、他人の話に共感したり楽しんだりできる貴重なものだったのです。もし、ゲームそのものを完全に禁止されたりしていたら私は話すきっかけになることを失って、より孤独感を深めストレスを抱えていたと思います。また、他の発達障害の方と話す際にもゲームの話題は話がはずみやすくコミュニケーションの助けになっていると感じています。最近はe-sportというゲームをスポーツの一つとして捉え様々なビジネスにする活動が世界中で行われています。よく言われることですが、発達障害の特性は個性でもあります。特性がゲームという形で強く表れたとしても、それを強みに変えて社会と関わっていく。その環境が少しずつ整ってきていると感じます。

また、ゲームは情緒を養ったり想像性を育むこともあります。全てのゲームがとは言えませんが、ゲームには物語があります。人との関わりが苦手だった自分はゲームの物語を通じて、何がいいことで何が悪いことなのか、どういう時に人が喜んだり怒ったり悲しんだりするのかを学ぶことが出来たと感じています。その経験は今でもいい思い出です。

個人的な体験ばかりではありますが、発達障害とゲーム障害は関係性があると感じています。ですが、何かにのめりこむことは悪いことばかりではなく、ゲームだけが特別悪い物でもないと思います。ゲームに限ったことではありませんが、バランスを取るということが一番大切なことではないかと思います。小学生の時、ゲームやテレビといった娯楽を禁止している厳しい家庭のクラスメイトがいましたが、話に混ざることが出来ない時があり寂しそうにしておりました。過ぎたるは及ばざるが如しという言葉もあります。ゲーム障害という言葉に振り回されずに今の自分と向き合えばいいのかなと思います。

参考文献

行為依存(プロセス依存)とは・特定非営利法人アスク
https://www.ask.or.jp/

ゲーム依存は病気 WHO認定、医療機関に患者の列・NIKKEI STYLE
https://style.nikkei.com/

発達障害と依存症・マリアの丘クリニック
http://www.maria-hill.jp/

日々適当

日々適当

自閉症スペクトラムの20代男性です。いろんなことに毎日悩みながら人生を生きる上でのいい塩梅を模索中。趣味はゲーム。

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