ワーキングメモリーってなに?どんな働きをするの?

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ワーキングメモリー、単語の意味はわかるような、わからないような…。人間の脳は、瞬時に様々な処理を行っていますが、ワーキングメモリーとは、いったいどんな働きをして、どんな機能があるのでしょうか。

ワーキングメモリーとは?

ワーキングメモリーとは、認知心理学で使用される考え方で、日本語では作業記憶あるいは作動記憶と呼ばれています。脳の前頭前野の働きで、私たちの日常生活に必要な能力であり、読む、書く、会話する、計算する、学習する、運動するなど様々な場面で必要になり、行動や判断につながっています。役割としては、一時的に取り込んだ情報を脳内に記憶し、どの情報に照らし合わせるかを考えて整理し、要らない情報を取り除いていく行為が、ワーキングメモリーとなります。このワーキングメモリーは、短期記憶(一時的に記憶する)と似ていますが、異なるもので、違いは記憶したものを使って作業や処理を行う動作が伴うところです。短期記憶は一時的に覚えることを重視しますが、ワーキングメモリーは認知を行いながら、情報処理を一緒に行う事に重点を置いています。人は、ランダムな数字なら7個前後を一時的に覚えることができます。例えば、電話番号を聞いた際、覚えた数字をメモするまでの数十秒間、記憶します。この覚えている時間を「短期記憶」といい、メモが終わった時点で、電話番号は忘れ去られてしまいます。

では、次にこの問題を解いてみてください。25+32-13=?暗算でこの問題を解く時に、頭の中で行われていることは、
①25+32=57計算し、答の「57」を記憶する。
②次に「57-13」の計算を行う。
となります。この「57」の数字を記憶して、次の引き算を行うまでに使われるのが「ワーキングメモリー」です。そして、計算が終わると「57」は忘れます。

他にも、現在進行形で行われている作業、例えば、会話や読書などをしている時に、入ってくる情報を逐一処理するのがワーキングメモリーであり、このワーキングメモリーによって、長い文章や会話の内容を理解していくことができるのです。

ワーキングメモリーの働きが低下するとどうなるの?

ワーキングメモリーにも個人差があります。では、ワーキングメモリーの働きが低下すると、どうなるのでしょうか?

・忘れがちになる
脳内に入ってきた情報を記憶に留めておくことが苦手な場合、必要な事を忘れがちになります。頼まれたことをすぐに忘れてしまう、忘れ物や紛失が多くなる、内容を記憶していられないので文章を理解するのに時間がかかる、思いついた内容を覚えていられない為、文章を書く事を苦痛に感じる、など。

・整理が苦手になる
脳内に入ってきた情報の整理が苦手な場合、何が大事かわからず混乱してしまいます。見当違いな発言をしてしまう、身体を動かす順番がわからなくなり運動が苦手になる、など。

・記憶の削除が苦手
新しく入ってくる情報を取り入れるのが苦手となり、行動を切り替えることや、会話を連続的に続けることが苦手になります。次の作業に移っていても同じことをし続ける、会話の内容が他に移っていても、前の話をし続けてしまう、など。

(注)上記は一例であって、全てがワーキングメモリーの機能低下による原因だけではありません。

自分のワーキングメモリーを調べるには?

ワーキングメモリーを調べることによって、自分がどの部分が苦手な分野なのか調べることができます。調べる方法は主に2つあり、ワーキングメモリーの機能テストを用いること、検査項目にワーキングメモリーが含まれている知能検査を利用して、参考にすることです。発達障害の診断を受けるために、知能検査や発達検査を受けた時にワーキングメモリーの弱さが判明することがあります。

ワーキングメモリーが低下している場合の対処法、トレーニング法は?

子供への対応は、分かりやすい内容で情報を伝えましょう。事前にどのような順番で進めていくのかを伝えるだけでなく、文字や絵も添えて、音読や視覚化して記憶の整理がしやすいようにしてあげましょう。また、学校などでの持ち物確認や連絡事項は、保護者の方や先生と一緒に行いましょう。勉強など集中力が必要な時には、気が散るものは周囲に置かないようにしましょう。そして、少しずつ進めていくようにしてあげましょう。

大人への対応は、自分でできるトレーニングを取り入れてみましょう。ノートに書き出して情報を整理する、優先順位をつける、その時に必要のない情報を取り除く、などです。また、ジョギング、瞑想、読書、外国語を学ぶ、数字を記憶するトレーニングをすることもワーキングメモリーを鍛えるのに適した方法です。また、楽しい事を考えたり、イメージしたりすることも有効な方法です。

ワーキングメモリーは知らず知らずのうちに使われている脳の機能です。しかし、この機能が上手く働かないと日常生活に不便や困難をもたらしてしまいます。子どもに対しては周囲のサポートが必要となり、大人にはトレーニングして機能を高めることができます。脳は絶え間なく情報を処理しています。ですから、脳を休めてあげることもとても重要です。その為にも、十分な睡眠を取るようにして、毎日をお過ごしください。

参考文献

「ワーキングメモリとは」 – 児童・生徒のワーキングメモリと学習支援
https://home.hiroshima-u.ac.jp/hama8/index.html

ワーキング・メモリーとは – TERADA医療福祉カレッジ
https://www.terada-medical.com

ワーキングメモリ(作業記憶)を解説|頭の良い人はどう使っている? – Nomark-Log
https://no-mark.jp

脳の「ワーキングメモリ」を鍛える方法。仕事の能力、勉強の効率アップには、ワーキングメモリの強化と解放が効く! – STUDY_HACKER
https://studyhacker.net

Plumeria

Plumeria

新卒から総合職の営業として働き、会社の変化の流れについていけず、入社14年目にしてうつ病を発症。2年半の休職を経て復職するも、休職前と同じ業務をこなすことを求められ、対応できずに退職に至る。学生時代にホームステイをし、英語圏への海外志向が強かったため、ストレス発散と癒しを求め旅行するのが楽しみであったが、徐々にその気力も無くなっていき、現在はハワイに行くことを目標に日本でハワイ文化に触れ合うことを趣味にしている。

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