障害を素直に受け入れる〜暗闇からの脱出

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私は統合失調症です。自分の精神障害を受け入れられず、入退院を繰り返し、のべ20年くらいかかりましたが、やっと自分の障害を受け入れることができました。それまでの間、家族に無理やり入院させられて、長年、家族を恨んでもきました。自分にとっても家族にとっても、長く苦しい日々でした。

私は病気じゃない!

自分の耳元で誰かがささやく、意味のわかる話が聞こえてくる、幻聴です。見えない者が見えて、ちゃんと理にかなって見えてくる、幻覚です。そして頭の中で物語が展開する、妄想です。自室に閉じこもり、いない相手との仮想会話を一日中します。家族に「あんたおかしい、変や、病院に行こう。」と言われます。「私は病気じゃない!」と突っぱねて攻撃的な態度をとります。一日中家にいて、一人芝居のように見えない相手と会話をし、その間ずっと、友人とは疎遠になり、家族には攻撃的になります。結果、家族に無理やり入院させられます。ずっと家族を恨んできました。

入院中と退院してから

入院中は、自宅の自室から病室に変わっただけで、相変わらず見えない相手と独り言での仮想会話を繰り返します。幻聴も幻覚もずっと出現します。ただ、入院生活では時間がありすぎて、苦痛なほど退屈なので、早く退院できるように、家族に何度も言います。

退院してからはうつ病の症状が出て寝れなくなります。そうなるとしんどすぎて、幻覚と幻聴どころではなくなってきます。過去のことを思い出して、被害妄想が延々と続き、マイナス思考の物語を頭の中で考えてしまいます。2〜3ヶ月経つとうつ病の症状がなくなって、心身ともに楽になりますが、以前からの妄想を何かしら現実だと思い込むことは続いていました。やはり「私は病気じゃない!」という思い込みは消えませんでした。

病気を受け入れたとき

ある時、友人に自分が精神障害であることを打ち明けたら、その子もうつ病を患っていて、お互い障害の話をして気が楽になりました。何となく元気が出てきた感じがしました。それからは必要に応じてですが、自分が精神障害者であることをオープンにするようになりました。とても気楽になり、罪悪感めいたものもなく、明るくふるまえるようになりました。視界が開けて朝日が昇ったような明るさと爽快感を感じました。やっと、自分が障害者だと言うことを受け入れられて、暗闇から脱出できたのでした。

それからは、家族にも友人にも優しく接するようになったと思います。以前は自分がぎすぎすして、友人を失うことも多かったのですが、障害を受け入れて穏やかな性格に変わると、徐々に友人が増え、また、失った友人とも仲直りをすることができ、楽しさがふえました。障害を受け入れるきっかけはちょっとしたことでしたが、結果はいい意味で大きかったです。

障害のことを隠したくなる気持ちはよくわかりますが、思い切って自分から元気よく「私は精神障害者よ」といってみることをお勧めします。大きなハードルのように思うでしょうが、以外とハードルは小さいですよ。ハードルは自分の身近にあることも多いと思います。深呼吸をして、ちょっと前進!障害を受け入れるきっかけになるかもです。人生かわりますよ!今では障害を抱えながら仕事をしています。障害者雇用のアルバイトです。障害のことをオープンにして働いているので、配慮もして頂いていますし、精神的にも肉体的に苦痛なく働いています。確かに障害者に対する偏見は完全には無くなっていません。ですが、昔に比べたら、障害者雇用率の増加にもみれるように、世間的に障害者に対する理解は浸透していると思います。障害は個性だととらえ、前向きに気楽に考えてみてはいかがでしょうか。

yukoばばあ

yukoばばあ

52歳。30代から統合失調症になる。40代になって強迫性障害も発症する。幻覚、幻聴、妄想状態になり、現実と妄想の区別がつかなくなるが、入院治療と退院後は服薬治療で症状は治まり安定している。強迫性障害は継続中で、すぐに不安になり確認行為が続いているが、少しづつ回復に向かっていると思う。これまでに事務職や相談援助職をを経て、現在人生最後の就職活動中。自分が建てた家の中庭を見ながら過ごす休日に癒されている。

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