セコラム!〜伴走者の立場から障害福祉を考えてみる〜

できない"ことを探すよりも、"できる"工夫をしていく(セコラム! 第24回)

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『セコラム!〜伴走者の立場から障害福祉を考えてみる〜』 vol.24
「私たちの使命は何だろうか」とふと立ち返るときがある。三休が提供する就労継続支援B型事業というのは「就労機会と生産活動を通じて次のステップを目指すためのサービス」だそう。ここで言う次のステップというのは就労継続支援A型や一般就労。つまり、できることを増やし、働く喜びをつくり、仕事をするという選択肢を加えること。

先日、実習生が三休に来た。彼に草抜きをお願いしたのだが、こちらの思い描く作業をすることができなかった。このときの僕は「ここのエリアの草抜きをお願い」という声掛けをしたのだが、一部分の草が完全にとり切れるまで作業を続けていた。そう、草抜きができなかった。

翌日の草抜き作業では「ここからあそこまでのエリアの草抜きをお願いします。全部取り切らなくてもいいし、こんな感じで草抜きをしてください」と草抜きの見本を見せつつ声掛けをした。作業をし始めた頃は上手くできていたのだが、少しずつペースがゆっくりとなり、作業があまり進まなくなった。そう、草抜きが少ししかできなかった。

結局、実習期間中、彼に草抜きを任せることはできなかった。どのようにすれば草抜きができるようになっただろうかと考えていた。例えばスタッフが行った草抜きの方法を写真に収め、それを作業横に置いておき振り返りながら作業をするとか、畝の向かい側にスタッフが座り、同じように草抜きをしていくとか、「ついつい自分のペースになってしまい、集中力が途切れてしまう」という彼の特性を理解し、それを解消する工夫を積み重ねていけば、できなかった草抜きができるようになっていくのではないだろうか。

私は"できない"ことを探すのではなく、"できる"工夫をしていきたい。できること/できないことを明確にし、できることばかりをする環境になってしまうのだけは避けていきたい。できないことに疑問符を投げかけ、「なぜできないのだろうか」「どのような工夫があればできるようになるだろうか」という視点をいつも持ち合わせていく。そうすれば1人ひとりのできることを増やしていき、役割を生み、働く喜びが得られるだろう。私たちの使命はそこにある。

世古口 敦嗣(せこぐち あつし)

世古口 敦嗣(せこぐち あつし)

就職活動に失敗し、何となく障害福祉の世界へ。障害者が暮らしやすいまちをつくるNPO法人サポネや医療福祉エンターテインメントのNPO法人Ubdobeなどを経て、農業を中心とした障害のある人が働く拠点「三休 – Thank You -」を今年4月にオープン。それ以外にNPO法人月と風と理事やKAIGOLEADERS OSAKAコアメン、ふくしあそび探求舎代表を務める。

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