障がい者雇用における求められるPCスキルについて(後編)~基本的な操作というのはどこまでなのか?

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◀過去の記事:障がい者雇用における求められるPCスキルについて(前編)~基本的な操作というのはどこまでなのか?

前回のコラムでは、企業が求めるPCスキルを中心に書きましたが、このコラムでは、自分自身が基本的な教科書を読んだだけでは、知らなかった知識や、実習に来られた方のPCスキルで感じたことを書かせて頂きます。就労移行支援事業所を通して就職を目指す障がい者で事務職を目指している方も多くおられると思います。具体的にどのようなスキルが必要になってくるかを自分自身の経験を踏まえて書かせて頂きます。

PC関連の資格は必須ですか?

私自身、精神障がい手帳を持っています。その私が様々な障がいがある方の実習担当として、感じたことを書かせてもらいます。実習前には必ず就労移行支援機関の担当の方と実習を受ける方との面談が有ります。そこでよく聞くフレーズは、現在PCスキルを習得中で自分のPCスキルがどこまで事務職に通用するかを、試したいという言葉を聞くことが多かったです。この言葉を実習に来られるまで、私達OJT(実習生担当者)はそのまま鵜呑みには出来ませんでした。その理由は、本人が認識しているスキルとこちらが認識しているスキルが食い違うことが多々あったからです。

実務に携わっている人間の感覚だとある程度PCが使えるということは、エクセル・ワードがどこまで理解しているかも大事ですが、フォルダーの作成が出来る、サーバーの概念を理解している、入力で全角と半角の違いが理解しているなど細かなPC操作が理解している前提で考えているからです。

PCスキルを習得するために就労移行支援やPC教室などでワード、エクセル、パワーポイントなどテキストを用いて、勉強することが多いと思います。しかしテキストを仮に全て覚えても、実務で使用しない機能などは、ついつい忘れてしまいます。その中で特にエクセルの関数は忘れやすいです。

エクセル、ワードを勉強されている方で、資格取得のため、MOS(マイクロオフィススペシャリスト)検定や日商PC検定(日本語ワープロ検定試験・情報処理技能検定試験)の取得を目指している方も多いと思います。この試験の違いは、MOS検定は機能重視の国際資格で、日商PC検定に関しては実践的な試験と言えます。どちらが優れているとはここでは判断は致しません。私自身の経験と、実際に勉強している人を見て感じたことですが、エクセルだと関数の理解でつまずきやすいです。そのため資格試験に通るため、自分にとって苦手な部分を集中的に勉強しがちです。その結果、テキストに書いていることでも試験に出ない内容をついつい後回しになりがちになります。試験対策の問題ばかり解いていても実際、会社でどういう機能を主に使用するのかは分かりません。しかし、面接などでPCスキルをどこまで理解しているかというアピールポイントにはなると思います。就職活動で履歴書の資格欄に書けます。もし時間が有れば、積極的に取得してみてはどうでしょうか?

PCの基本操作が出来るということはどこまでなのですか?

これから書くことは、これが出来ていると企業が考えている、一般的なPC操作ができると言えることを列挙してみます。
  • 1.どんなパソコンでも、スムーズに電源入れる事ができ、切る事もできる。(普段ノートPCを使用しているので、デスクトップPCに慣れていないなど)
  • 2.キーボードを見ずに文字を打つことができる。目安は10分で500~600文字程度の文字入力ができる速さが望ましいです。
  • 3.ワードで表や絵の入った基本的なビジネス文書が自力で作成できる。
  • 4.エクセルで簡単な関数(SUM関数)を入れることができ、簡単な表を作成できる。
  • 5.作成したファイルを適切な場所に保存ができる。(サーバーの概念の理解の有無)
  • 6.作成したファイルを、フォルダーで管理することが出来、移動などもスムーズにできる。
  • 7.ワード、エクセル、写真などをプリントアウトできる。
  • 8.メールの作成、送受信ができる。(CCとBCCの違いが理解できている)
  • 9.インターネットで自分の探したい情報を検索し見つけだすことができる。
以上のPC操作をスムーズにできれば、障がい者・健常者を問わず企業が求める最低限PCの基本操作ができると言えます。ですがPC検定(主に関数だけに集中して)の資格を取得することに目を向けすぎて、PCの基本操作をおろそかにしがちな傾向が企業実習に来られる方によく見られました。

家や個人でPCを触っているだけならインターネットと自分のPCだけなのでデータ管理に対してそれほど気にすることがないと思いますが、会社のPCとなると、サーバーと繋がっていて他人のPCと共有することが多いのです。現代社会ではインターネットでPCが繋がっていることが前提なっています。このサーバーの理屈をよく理解していないまま企業実習に来られる実習生をたくさん見てきました。

何故これを理解していないとダメなのか?

その理由は、サーバー内のデータをいじると、会社で共有している定型フォーマットが崩れる、大事なデータそのものが消失してしまうなど、会社に大損害を与えてしまうこともあるのです。よくあるPCスキルでの勘違いは、ワードは文字入力ができればOK。エクセルはSUM関数や罫線が引ければOK、という間違った認識です。その程度の認識だと、就職活動はもちろん、入社してから大変な目に会います。

最低限知っておきたいこと

PCのテキストに書いてあることを全て理解する必要はないですが、職種や部署によってよく使用する機能や求められるスキルは変わってきます。面接まではそれ程スキルを求められなくても、入社してからは、自分でスキルアップをしなければならない場面が出てくるでしょう。企業はできれば即戦力になる人財を求めています。障がい者が就職活動する際、どうしてもハローワークの求人票では事務系の求人が多いため事務職を希望するかたが多いと思いますが、決して事務しか職種がないわけではありません。自分の得意な分野で視野を広く持って、就職活動をされたほうがよい場合もあると思います。自分が得意な分野や長所を生かせる仕事を見つかる可能性も大いにあります。

まとめ

「ワードやエクセルが出来る人」というのは、自力でワードを使いビジネス書類作成やエクセルで資料作成が、ある一定の水準でできると考えたほうがよいでしょう。仕事の効率を図るために、ショートカットなどを覚えることも必要になってきます。障がい者枠での事務職を目指して、就職活動をされている方の役に少しでも立てればと考え、このコラムを書かせて頂きました。

tkbn

tkbn

40代男性。30代半ばでうつ病を発症。40代になって発達障害の疑いありと診断される。就労支援機関で自分の特性について学び、最後の就活を終えコラムを書いています。趣味は鉱石収集。年2回大阪・京都で行わるミネラルショーや即売会に行って、気に入ったものをコレクションするのが楽しみですが、部屋で飾る場所が無くなっているのが最近の悩みです。

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