サッカー・フットサルを通じて精神疾患の回復や交流を図る〜日本ソーシャルフットボール協会のメンバーに聞く

スポーツ その他の障害・病気

ソーシャルフットボール協会 

障がい者スポーツは身体障がい者だけではありません。精神障がい者のスポーツもあるのです。「こころの病気」に「フットボール」を取り入れようと、精神障がい者のスポーツとして、2007年に大阪でフットサル大会が始まりました。「人を信頼する」「お互い助け合う」「行動的になる」「自分に自信が持てる」「仲間意識が芽生える」など、精神に障がいを持つ人にとってプラスになる活動です。支援施設や精神医療機関はもとより、これらに関係なく地域単位で構成されたチームなど活動は広がりをみせ、現在のチーム数は全国で160以上とされています。精神障がい者が夢や希望を実現できる力を獲得することを応援するために日本ソーシャルフットボール協会が設立されました。活動の知名度はまだ低いので、この機会に知ってもらえれば嬉しいです。

実績

2013年10月に第1回精神障がい者スポーツ国際シンポジウム・会議が世界8カ国参加のもと開催されました。参加国すべてで実施されていたスポーツがフットボールだったという調査結果を踏まえ、精神障がい者スポーツの国際化モデルとしてフットボールが推進されるようになります。

2016年2月26日~28日に大阪の堺市で第一回ソーシャルフットボール国際大会が開催され、日本代表、イタリア代表、ペルー代表、大阪選抜の4チームが出場し、日本代表が初代チャンピオンになりました。

国内のチームにおいては、北海道、青森、岩手、千葉、埼玉、神奈川、大阪、京都、九州、四国などにチームがあり、競技人口は約2,000名にもなります。

今年も9月7日(土)~8日(日)に第3回ソーシャルフットボール全国大会が、丸善インテックスアリーナ大阪(大阪市中央体育館)で行われます。興味のある方はぜひ観戦してみてはいかがでしょうか。

ルール

基本的には国際サッカー連盟の競技規則に準拠じますが、以下の特別ルールも採用しています。

  • ● 競技形態はフットサル。
  • ● 女子選手を含む場合に限り、最大6人がコートに立つことができます。
  • ● 女子が2人以上でも、最大6人で試合を行います。
  • ● 試合時間、ピッチの広さは大会ごとに規定されています。

支援者さんにインタビューしてソーシャルフットボールの練習を取材させて頂く事になりました。まずは支援者からお話をお伺いしました。

──ソーシャルフットボールを始めようと思ったきっかけは何でしょうか?

精神障がい者を中心としたバレーボールは既に行われていたと聞いていたのですが、サッカーは未だ行われていませんでした。支援者は元々サッカー好きでもあったので、精神障がい者によるサッカーを始めてみようと思い立ったのがきっかけです。

──組織化するに至った経緯はなんでしょうか?

例えば病院のデイケアだけで始めても、そのデイケアの人しか参加できません。ところが地域単位でクラブチームを作れば、通院先や住所を問わず様々な場所からメンバーやスタッフが集まります。デイケア等での口コミから広がる形でクラブチームが結成されていきました。

──指導する上で気をつけている点はなんでしょうか?

運営活動自体もメンバーさんと一緒に考えながらやっていくことで互いの信頼関係を構築しています

──今後の課題はありますか?

施設の準備やチームの運営にあたってマンパワーと資金面で不足していることが課題です。資金面では助成金と自己資金を頼りにしているのが現状です。

──支援者から見た今後の展望について思うことはありますか?

選手として頑張ってもらいたいのは勿論のこと、選手でやっていくことが難しくなってもチームの運営のスタッフとして活動できるという役割もあるので、これからも一緒に続けていけたらと思います。フットボールを通じて自分に自信を持てるようになるなど精神面で良いように作用していますし、健康維持の面でも良い影響があります。

──本日はありがとうございました。

メンバーさんにインタビューして

──ソーシャルフットボールを始めようと思ったきっかけは?

Aさん「誘われて興味を持ったので始めました。サッカーの経験はありましたし、チーム内に知り合いもいたのです。」
Bさん「元々社会人のフットサルをやっていて、自分が精神疾患になったことをきっかけに参加してみようと思いました」
Cさん「元々社会人フットボールをしていたのですが、ここ一年で精神疾患を患ってしまい、人づてに誘われて入りました」

──やっていて楽しい事はなんですか?

Aさん「大会があってそこで自分の思ったようなプレイが出来たりとか自分のチームが結果を出せるとうれしいです。フットサル以外の時間でもご飯を食べに行ったり仲間どうしで繋がれたらいいなと思います」
Bさん「練習や試合が楽しいです」
Cさん「仲間ができることです。最初は人間関係やコミュニケーションなどがつらかったのですが、今ではここが居場所になって悩みも相談しやすいです。」

──やっていて苦しいことは?

Aさん「競技の中でもばっときつめにいわれて、自分はこうしたかったと言えずにため込むとか。プレイ中でいえばそれくらいです。あとは、それ以外ではずっと一緒にいると5年6年の付き合いなんで、その中でちょっと煮詰まって、まぁ、普通の人等と変わらないと思います」
Bさん「仕事などで参加できないことが嫌だ(笑)」
Cさん「最初はコミュニケーションがちょっとつらかったけど、今では全くないです」

──やりがいはどんなことでしょうか?

Aさん「自分の性格をわかって、支援者さんと冗談を言い合えるようになったことが楽しくやりがいにつながります」
Bさん「みんなが頑張っていたら自分も頑張ろうと思います」
Cさん「練習や試合が上手くいったときみんなで一緒にやっていて楽しいと感じ、色々なことをやらせて頂く中で、自分が認めてもらっていることにやりがいを感じます」

──メンバーから見た今後の展望は?

Aさん「メンバーが高齢化しつつあるので若い人にどんどん入ってもらいたいです」
Bさん「女性のプレイヤーにスポットをあてた活動をして、女子の日本代表を作りたい。そのために色々とネットワークを使って活動しています」
Cさん「全国大会優勝を目指して、メンバーの中で切磋琢磨して頑張りたいです」

──色々なお声を頂きありがとうございました。

まとめ

取材をしていて、人によって考えや意見は若干異なりつつも、仲間意識をもって頑張っておられることがよく伝わってきました。スポーツは体を動かすことが主体です。スポーツを通じて徐々に心を開き、仲間をつくり、自信と意欲を持って活動的になっていくことはとても有意義なことだと思います。フットボールのみならず、バレーボールやバスケットボール、野球などでもこういった活動が広まり、たくさんの人達に知ってもらえればと思います。

日本ソーシャルフットボール協会
http://jsfa-official.jp

障害者ドットコムニュース編集部

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「福祉をもっとわかりやすく!使いやすく!楽しく!」をモットーに、障害・病気をもつ方の仕事や暮らしに関する最新ニュースやコラムなどを発信していきます。
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