セコラム!〜伴走者の立場から障害福祉を考えてみる〜

「こんなに丁寧に仕事を教えてもらったのは初めてです…!」(セコラム第30回)

仕事

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『セコラム!〜伴走者の立場から障害福祉を考えてみる〜』 vol.30

先日、新しいメンバーが三休に加わりました。彼の仕事初日は、午前はオリエンテーション、午後は農作業。オリエンテーションでは仕事内容や大切にしていることを伝えたり、彼が三休で働く目的を聞き、それを深めていく対話をしたりと少し長めの時間を取りました。特に「三休で働く目的」を改めてお聞きすること、そして共有し合うことは大切にしています。ここがブレてしまうとスタッフもメンバー自身もぼんやりと過ごすことになりかねない気がします。軸を見つけていく、これは支援を開始するとき、まず最初にすることです。

「どんな作業をお願いしていこう」「どのような声かけをしていこう」「モチベーションを高めるスイッチがどこにあるのだろう」。支援に際しての1つひとつの選択の土台となるのが、先述の「軸」。なにがしたいのか、どうなっていきたいのか。それを蔑ろにし日々を過ごすことは絶対にしたくありません。

オリエンテーションが終わった後の作業。ここで意識しているのが、丁寧なレクチャー。働く場所や作業内容、そして一緒に働く他のメンバー、それは全て初めてのことで不安がいっぱいです。その不安をまず取り払っていくのが「コミュニケーション」と「丁寧なレクチャー」です。

畑に到着したら「今日は収穫です!」とメンバーに号令をかけ、「AさんとBさんはからし菜や黒キャベツを各10枚収穫してください」「Cさんは僕と一緒に小松菜を収穫しましょう」とスタッフと同行する状態をつくり、まず僕が収穫する姿を見せながら説明を。その後収穫をやってもらい、「ここがよかったです!」「あそこはもっとこうしましょう」とアドバイスを伝えました。

やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。」、この山本五十六の名言の「人は動かじ」を意識し、作業方法を伝えました。

仕事終わり、メンバーに日報を記入していただいていますが、新しいメンバーが嬉しい感想を書いていました。「こんなに丁寧に仕事を教えてもらったのは初めてです…!」と。

丁寧に仕事をレクチャーし、不安なく仕事に取り組む環境をつくることが僕たちがまずすべきこと。そこから関係性がつくられ信頼が生まれ、その人が担う役割ができていくでしょう。僕たちがすべきことを見失わずに、「働きたい!」「働いてよかった!」と思われる仕事場をキープし続けていきます。

世古口 敦嗣(せこぐち あつし)

世古口 敦嗣(せこぐち あつし)

就職活動に失敗し、何となく障害福祉の世界へ。障害者が暮らしやすいまちをつくるNPO法人サポネや医療福祉エンターテインメントのNPO法人Ubdobeなどを経て、農業を中心とした障害のある人が働く拠点「三休 – Thank You -」を今年4月にオープン。それ以外にNPO法人月と風と理事やKAIGOLEADERS OSAKAコアメン、ふくしあそび探求舎代表を務める。

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