セコラム!〜伴走者の立場から障害福祉を考えてみる〜

「話し合いをすることで「愛」が生まれる」(セコラム第31回)

仕事

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『セコラム!〜伴走者の立場から障害福祉を考えてみる〜』 vol.31

「うまいメシを食べよう」。三休が大切にしているクレドの1つです。仕事は楽なことばかりではもちろんありません。大変なことやしんどいことも多々あります。でも、その状況をみんなで乗り越えた後に一緒に食べるご飯ってとても、とても美味しいです。

障害のあるメンバーには「これをやってもらって」、僕たちスタッフは「これをしよう」、タスクを別々にすることを極力少なくしていますし、一緒にできる作業はみんなで取り組みます。そうすることで、支援者/被支援者と分断するのではなく「チーム三休」と一丸になれる気がします。関係性がグッと強くなるし、仕事が楽しくなっていくと思うし、何より1人ひとりの役割がそこに生まれていきます。

先日あるスタッフから素敵な提案がありました。「世古口さん、来年度の農業計画をメンバーも交えて話し合いませんか?」と。年末からずっと、何を植えたらいいだろうか、どれくらい育てたらいいんだろうか、どのように売っていけばいいだろうかとスタッフ同士であれやこれやと話し合っています。無意識にメンバーを話し合いの場から排除しスタッフだけで決める。そしてスタッフだけで決められたものを育て収穫し売っていく。その行為は「わたしが決めたんだ!」という主体性を欠いており受け身な状態になります。彼の一言がなければ、そのように進め、支援者/被支援者と分断されていました。

ようし、農業計画をメンバーと一緒に話し合おう。そして何を植えるかを決めていこう。とメンバーに共有しました。ランチタイムの話題に農業計画のことが加わったり、野菜の本を事務所に陳列したりと、話し合いの日が近づくにつれ「農業計画」を決める前向きなムードが漂い始めています。

スタッフとメンバーが納得を持ち、決めた農業計画。その計画をもとに準備を進めていき、春の訪れとともに農業も本格始動。収穫まで野菜たちを愛で、育てた野菜たちを丁寧に収穫・処理しお客様に届けていきます。この話し合いがあるかないかによって、そこにメンバーの心が込められているかどうかが変わってきます。些細な時間かもしれないが、とっても大切な時間です。野菜たちへの一番の肥料は「愛情」ですから。

世古口 敦嗣(せこぐち あつし)

世古口 敦嗣(せこぐち あつし)

就職活動に失敗し、何となく障害福祉の世界へ。障害者が暮らしやすいまちをつくるNPO法人サポネや医療福祉エンターテインメントのNPO法人Ubdobeなどを経て、農業を中心とした障害のある人が働く拠点「三休 – Thank You -」を今年4月にオープン。それ以外にNPO法人月と風と理事やKAIGOLEADERS OSAKAコアメン、ふくしあそび探求舎代表を務める。

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