セコラム!〜伴走者の立場から障害福祉を考えてみる〜

「僕たちは「利用者」と呼ばず「メンバー」と呼んでいる」(セコラム第32回)

仕事

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『セコラム!〜伴走者の立場から障害福祉を考えてみる〜』 vol.32

三休では、僕たちのサービスを利用し就労訓練をしている方々のことを「利用者」とは呼ばずに「メンバー」と呼んでいます。支援者と被支援者の上下関係を薄めること、そして、チーム三休として一緒に働く一員であることを強調していきたい思いを込めています。ただの言葉の綾じゃないのかと感じるかもしれませんが、言葉は思いの共有ないしそれぞれが抱く考えを合わせる大切な要素なので表現の仕方は統一しています。

前回の記事で紹介しましたが、スタッフだけでなくメンバーも交えて来期の農業計画を話し合いました。僕たちスタッフが一方的に「こうあるべき」を押し付け、「こうしてください」と指示をすることをなくし、「こう考えてるんだけど、どうかな?」と投げ掛けることで議論が交わされる、そして「こうしよう」を一緒に決めることを選びました。みんなで決めた目標だからこそ他人ごとではなく自分ごとにシフトするし、みんなで決めたことだから一緒に達成しようとする強い気持ちが生まれてくるのじゃないかと仮説を立てています。

三休は農業だけでなくアパレル分野や内職作業もいくつかしています。内職作業は1個いくらと明確な対価が可視化されているので、メンバーの1人が「もっとやりましょう」や「1時間でこれだけできるようになりましょう」と自ら目標を立て仕事に臨んでいます。また違うメンバーは「僕は三休で就労継続支援A型事業所をつくりたいのです!」と夢を語ってくれました。彼らがこう思ったのはいくつかの理由が交錯したからかもしれませんが、自分は「利用者」ではなく「メンバー」であることを認識しているからかもしれません。与えられたサービスを享受し、用意された作業を日々こなすのではなく、みんなで決めた「こうしよう」をいかに達成するかを考えながら三休で働いている姿を想像できます。

彼らの姿を通し、三休は「就労」を目的とした福祉事業所なのだと改めて気付かされました。僕たちスタッフは、彼らの期待に応えていかなければいけません。それこそが彼らとの信頼を結ぶきっかけであり、彼らが三休に通う理由でもあります。彼らとともに僕たちも成長していきたい。だからこそ、利用者ではなくメンバーと呼び続けていきます。

世古口 敦嗣(せこぐち あつし)

世古口 敦嗣(せこぐち あつし)

就職活動に失敗し、何となく障害福祉の世界へ。障害者が暮らしやすいまちをつくるNPO法人サポネや医療福祉エンターテインメントのNPO法人Ubdobeなどを経て、農業を中心とした障害のある人が働く拠点「三休 – Thank You -」を今年4月にオープン。それ以外にNPO法人月と風と理事やKAIGOLEADERS OSAKAコアメン、ふくしあそび探求舎代表を務める。

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