高齢・障害福祉分野の職員へ1人5万円の「コロナ慰労金」

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出展:Photo by Patrick Hendry on Unsplash

5月27日に政府が出した第2次補正予算案は、新型コロナウイルスへの補償を見据え過去最大の予算編成となったそうです。このうち厚生労働関係の予算に割かれたのは3兆8507億円で、医療や福祉体制の保全を目的としています。

その一案として高齢・障害福祉分野で働く職員を対象とした「慰労金」を支給する方針が打ち出されました。支給は正規非正規問わず全職員に1人5万円という画期的な方針で、感染者や濃厚接触者が出た施設には20万円が出るようになっています。

社会機能の維持に必要不可欠

高齢者施設ならびに障害者施設が支給対象となった理由は、「遠隔業務の出来ない業種で、重症化しやすい入所者の生活や生命活動を直接支え続けているため」と語られています。つまり、厚労省がその必要性を強く認識した形となります。

介護施設だけでなくデイサービスや訪問介護も対象に含まれます。常日頃から激務+薄給のイメージが根強い介護業界は、コロナ禍のもと心ない誹謗中傷に遭う追い打ちを食らってきました。対症療法的ではありますが、国から出す5万円で職員の給料をひと月だけでも増やせるならば、施設側としても有難いでしょう。

高齢者・障害者施設の職員を対象とした医療相談窓口の開設なども予算に含まれている他、就労継続支援事業所に対しても休業中の工賃を確保する形で動いています。在宅障害者の職場復帰にも力を入れる方針です。

児童分野の見送りに不満の声も

一方、乳児院や保育所など児童分野への支援は見送りとなりました。重症化リスクの低さとクラスター発生の少なさが理由として挙げられています。

特に保育所は介護業界と同じく激務+薄給なのですが、見送りとなった以上は放置されることになります。この対応の違いについて、「児童分野だけ取り残すのは片手落ちだ」とする批判の声も上がっています。

注目の支給スピードは

さて、形や理由はどうあれ給付金が出る運びとなりましたが、問題はその支給速度です。先に話題となった1人10万円の定額給付金にしても、振り込みはおろか前段階にあたる申請用紙すらバラバラに届いていました。巷では「税金で取るのは慣れているので早い。給付金で与えるのは慣れていないから遅い。」と揶揄される始末です。

ところが実際の理由は「自治体ごとに給付方針が定まっておらず、そこでスピード差が出てしまうから」だそうです。それに早ければいいというものでもなく、スピード重視の方針にはそれ相応のデメリットがあります。

給付金支給が遅れる理由について、大阪府四条畷(しじょうなわて)市長の東修平氏がブログサービス「note」にて説明しています。東市長によれば、自治体が取る方式は「全体最適」「一部最速」「直接手渡し」の3タイプに大きく分かれています。

「全体最適」は給付のシステムを先に整える堅実な方式で、手作業を減らすことによるヒューマンエラーの減少や職員の出勤を抑えるメリットがあります。整えば早いとの事ですが、その準備に時間がかかってしまい、給付日自体は遅れてしまうのが弱点です。四條畷市ではこちらの方式を採用しています。

「一部最速」は臨時窓口を設置したり申請に関わる業務を役所が担当したりして、一日でも早い給付を目指した方式です。しかし情報保全のためテレワークが出来ない以上、出勤する職員が増えて感染リスクが高まりますし、作業量が多くヒューマンエラーに繋がりやすい欠点もあります。何より、対象世帯すべてに給付が行きわたるまでの時間はそこまで早まらないそうです。

「直接手渡し」は原文で「力技」と呼ばれており、職員が直接手渡すという単純明快な方法です。手渡しで済むほど「世帯数が極端に少ない」自治体でしか採用できませんが、手続きが限界まで簡略化された最速の給付となります。

他にも不慣れで覚束ないオンライン申請システムや、「マイナポータル」と「住民基本台帳システム」の管轄違いなど給付の遅れる理由は幾つか浮上しています。「与え慣れていないから遅い」という風刺も案外当たっているのかもしれません。

参考サイト

高齢障害分野の職員にコロナ慰労金5万円 児童分野は対象外
http://www.fukushishimbun.co.jp

遥けき博愛の郷

遥けき博愛の郷

大学4年の時に就活うつとなり、紆余曲折を経て自閉症スペクトラムと診断される。書く話題のきっかけは大体Twitterというぐらいのツイ廃。最近の悩みはデレステのLv26譜面から詰まっていること。

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